[212]消費税10%議論は時間の無駄。もう決まっている「できレース」を見ても意味はない。 |
2014年 9月 15日(月曜日) 23:45 |
また、麻生副総理・財務相は12日のアジア欧州会議(ASEM)財務相会議後の記者会見で、「上げないことによって世界中からの信用が落ち、国債を売り浴びせられると、影響が見えない。そうならないようにする対応が大切」と述べ、同じく予定どおりの引き上げを示唆した。 マスコミも最近は、「消費税率の再引き上げ」の議論を活発化させている。エコノミストや評論家も「この状況で引き上げるべきでない」という反対派から「予定どおり引き上げるべきだ」という賛成派に別れて、議論を戦わせている。
■「茶番」「できレース」「アリバイづくり」
しかし、これら一連のことは、すべて「茶番」だ。あるいは「できレース」「アリバイづくり」だろう。なぜなら、いくら議論しようと、景気がどうなろうと、「引き上げ」はすでに決まっているからだ。その判断を最終的にするのは首相となっているのだから、安倍首相が「ゴー」と言った時点で話は終わる。 安倍首相は、14日のNHKの番組で、「法律どおりに(税率を10%に)変えていくか、待ったほうがいいか議論していく。経済は生き物だからニュートラル(中立)に考えている」と述べた。 これを額面どおりに受け止めれば、これまで散々言われてきたように、「7〜9月期の経済状況などを見極めたうえで年末までに最終判断する」ということだ。
■経済数字はある程度ならつくり出せる
しかし、麻生財務省が言うように増税は“国際公約”なのだから、「最終判断する」という理屈は成り立たない。また、経済状況などの数字はある程度なら無理矢理つくれるので、そうすればいいだけだ。 アベノミクスは金融・財政のトリックで、その本質はバラまき政治なのだから、さらにバラまけばいいのだ。 たとえば、麻生財務相は「補正」を口にしている。財務省もそう考えている。4 〜6月期のGDP成長率の落ち込みが想定以上に悪かったので、10兆円規模の補正予算を組む考えのようだ。 さらに、日銀も味方だ。9月4日の会見で、黒田東彦総裁は、増税による景気の下振れには「財政や金融政策で対応できる」と述べたうえで、「さらなる円安進行は日本経済にプラス」との見解を示している。 この人は確信犯だから、追加緩和が必要となれば、確実にやってくる。もう後戻りはできないのだから、どんどんお札を刷るしかない。
■GPIFによる「官制相場」で株価維持
補正予算に追加緩和だけではない。奥の手はまだある。運用資産127兆円を誇る世界最大級の機関投資家GPIFの日本株買いだ。 いまや外国人投資家がほとんど去った東京市場は、完全な「官制相場」。いくらでも株価は買い支えられる。さらに日銀も異次元緩和で国債ばかりかETFも買っているのだから、年末までよほどのことがない限り、株価は維持できる。 というわけで、政府要人発言も安倍首相も、みなポーズとしか思えない。これを彼らはギリギリまで続けるだろう。メディアもまた、“良心ある報道”が基本だから、国民向けのポーズとして「見送るべきだ」という記事を、今後、山ほど流すだろう。 しかし、そんなことに一喜一憂するのは無意味だ。エコノミストや評論家の“増税は是か否か”コメントは無視していい。
■11月7日後か12月8日後に決まる
では、消費税の再増税はいつ決まるのか? 「首相が年末までに最終判断する」という約束事から言えば、年末と言っても12月半ばだろう。 まず、第一関門とされる7~9月期のGDP成長率の速報値が出るのは、11月7日である。ここで、数値が予想外によければ「やる」と言うかもしれないが、どちらにしても見送るだろう。 すると、修正値が出るのが12月8日ごろだから、その後に「やる」と言うはずだ。安倍首相は多少数字が悪くても、すでに決まっていることを、たとえば「将来の社会保障を考え、国民のみなさまのために苦渋の判断をしました」と述べればいいだけだ。
■引き延ばすと来年の予算審議が大もめ
万が一、引き延ばすこともあるかもしれない。それでも20日までには表明するだろう。そうしないと、来年度政府予算案のメドが立たなくなるからだ。 ところで、万が一、最終判断で「見送り」した場合はどうなるだろうか? このときは、来年の通常国会での予算審議は、消費税増税停止の法案審議と併せてやらなければならばくなり、大もめになるのは必至だ。 つまり、すでに消費税の再増税は決まっている。 となれば、これから12月にかけて、消費税の再引き上げの記事も議論も一切読むのは無駄である。そんな時間があるなら、ほかのことをしたほうがいい。 |
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