[300]「森友・加計学園問題」も深刻だが、アベノミクスの失敗も深刻。日本経済は本当におかしくなってきた。 |
2018年 4月 11日(水曜日) 16:04 |
「総理案件」「総理夫人案件」だから、このようなことが起こったのは、関係性を証明する証拠がなくとも、ストーリーとしては、もはや明白になった。
■国家は民間オーナー会社と同じなのか?
民間のオーナー会社で考えてみればいい。社長が「オレの友人だから」「家内がねえ」と言っただけで、なにが起こるか?直接命じなくとも、「よろしく」の一言で終わりだ。 もちろん、なにも言わなくとも、また「よろしく」の一言がなくとも、物事は動く。これを「忖度」と言って日本独特のものなどと言っている人間がいるが、信じがたい。そんなものは欧米でも同じだからだ。これは「unspoken order」であるから、立派な命令だ。
ただ、これは、民間のオーナー会社なら許される。会社は株主や従業員のものでなく、オーナー社長のものだからだ。しかし、民主主義国家はオーナー会社ではない。資産は国民のものだ。これが、森友・加計学園問題の本質で、このことをもっと明白に、テレビのコメンテーターたちは解説すべきだろう。与党の政治家も官僚も真剣に認識すべきだ。
「首相案件」などと官僚は言わない、「総理」と呼ぶと言っていた方がいたが、それがいったいなんの証明になるというのだろうか?意味としては同じではないか?
■ルールよりコネ、真実より嘘が強い国
不思議なのは、「こんな大事な時期(予算審議、北朝鮮問題など)にこの問題にかまけていいのか?」という議論があることだ。どう考えても、森友・加計問題のほうが重要ではないか。なぜなら、この問題をこのまま放置しておけば、この社会は権力と結びついた人々が一方的にトクできる社会になってしまうからだ。さらに、いくら嘘をついても咎められない、むしろトクできるという社会になってしまう。 ルールよりコネ、真実より嘘が強いなら、誰が真面目に働き、努力するのか?日本は「クローニー・キャピタリズム」の国なのか?それ以前に、嘘をついてはいけないという人間として最低限のモラルもない人々の国なのか? というようなことを思うこの頃だが、森友・加計学園問題も深刻だが、日本経済も深刻な状況になってきた。なにしろ、異次元緩和という「異常な状態」を、今後も続けないと持たないからだ。それを象徴するのが、森友・加計学園問題が騒がれているなかで、大きくは報道されなかった、いくつかの出来事だ。
■NY市場と大きく違ってきた東京市場
まず、4月9日、東京の株価は先週末のNY株価が572ドルも下げたにもかかわらず、110円余り上げて約1カ月ぶりの高値を付けた。日経平均はNYダウのコピー相場である。すなわち、NYダウが下げれば連動して下げる。しかし、今回はそうはならなかった。なぜか?
日曜日にトランプが、お得意のツイッターで、中国への制裁関税に関し「知財で取引は成立するだろう」と言ったので、貿易戦争に対する懸念が後退したからだと解説しているアナリストがいた。確かにそれもある。 しかし、そんなことだけが理由ではない。単純な話、日銀が買い支えているから、東京の株価は大きく下がらないのだ。 現在、東京市場のメインプレイヤーは日銀と年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)などの公的資金、それに外国人投資家である。とくに、外国人の売買は東証の売買代金の約7割を占めている。
■日銀が「爆買い」で株価を支えている
東証のデータを見ると、1〜3月を見ると、外国人は先物を含め8.7兆円を売り越している。また、財務省が発表した3月の対外対内証券投資(指定報告機関ベース)を見ると、外国人による日本への株式投資は、売りが買いを4兆416億円上回る「売り越し」で、比較可能な2014年1月以降で最大の売り越しを記録している。外国人は、昨年は「買い越し」だったが、今年は売りに転じている。 この外国人の売りを日銀が買っている。日銀は3月だけで、ETFを過去最大規模の8333億円も買っている。
つまり、外国人が売って、それを日銀が買っていることで、日本の株価はあまり下がらない。日経平均は、NYダウと比べると、年初来の下げ幅は小さい。2月初めにNY株の暴落に連れて下がったとき、2万円割れまで行くかと思われた日経平均は、依然として2万1000円台をキープしている。まさに、「官制相場」で、日銀が「爆買い」で株価を支えているのである。 アベノミクスが始まって5年、日本の資本市場は大きく歪められてしまった。いまや日本は、中国に勝るとも劣らない国になってしまった。これでいいのだろうか? 日銀はいまも、年間80兆円のペースで国債を購入し、3兆円〜6兆円のペースでETFを買い続けている。
■黒田総裁の異例の続投と経済指標の悪化
こうしたなか、同じく4月9日に、日銀の黒田東彦総裁の再任2期目がスタートした。日銀総裁の任期は5年だが、再任は珍しく、今回の再任はなんと60年ぶりという異例の出来事である。 黒田総裁は、安倍首相や麻生財務相と会談後、会見してこう述べた。 「政府との共同声明を堅持し、物価安定目標の実現を目指す」「強力な金融緩和を粘り強く続ける」「毎回の金融政策決定会合で、経済、物価情勢や金融市場を勘案し、適切に決定する」 ようするに現状維持、このままバズーカ砲を打ち続けるということ。そうしなければ、日本経済はもたないのだ。
実際のところ、経済指標は悪化している。内閣府が発表した3月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、近畿2府4県の現状判断指数(季節調整値)は、前月比0.6ポイント下がって50.1になった。好不況の分かれ目となる50や全国平均(48.9)は上回ったものの、悪化は3カ月連続である。 オリンピックを控えた東京は、いまや日本全体の景気の指標にはならない。しかし、関西圏の指数は日本全体を反映すると考えられる。それが3カ月連続で下がっていることは、政府とメディアがいくら「いざなぎ景気を超える戦後最長の景気拡大」と言っても、それが単なる数字だけに過ぎないことを表している。 4月2日に日銀が発表した3月の「全国企業短期経済観測調査」(短観)もよくない。大企業製造業の業況判断指数(DI)はプラス24で、前回調査(昨年12月)より2ポイント下がっていて、これは、じつに2年(8期)ぶりの「悪化」だった。景気が悪くなっていると感じている大企業が多いということである。
■トランプの「(日本の)そんな日々はもう終わり」発言
このような状況のなか、来週、安倍首相は渡米し、“オレさまはすごく安定した天才”(a very stable genius)と思っているトランプとの首脳会談に臨む。 これは、北朝鮮問題を見据えた重要な首脳会談とされるが、もう一つ、日本にとって大きな問題がある。自分の無知を誇りにしているトランプが勝手に決めた「鉄鋼・アルミ関税」の適用除外だ。
ここで、思い出すのが、3月22日、鉄鋼・アルミ関税発効の前日、トランプのホワイトハウスでの発言だ。このトランプ発言を報道で知って、世耕弘成経済産業相は青ざめたという。 トランプはなんと言ったのか、ここに記しておきたい。
《And I will say, the people we’re negotiating with ―smilingly, they really agree with us. I really believe they cannot believe they’ve gotten away with this for so long.》(もう一つ言ってやろうか。われわれの交渉相手はいつもニコニコしながらわれわれと合意する。しかし、ずっとごまかし続けられると信じているとしたら間違いだ)
(日本の安倍首相とそのほかの人たちに言ってやろう------まあ、彼はグレートでオレの友人だがね。彼らはいつも微笑みを浮かべている。その微笑みは「こんなに長くアメリカを出し抜けると思ってなかった」っていう微笑みだね。でも、もうそんな日々は終りだ) ■アベノミクスで自由がなくなってしまった
ここまでコケにされたら、普通は中国のように報復措置を発動させるしかないが、“ポチ外交”が染みついてしまった属国日本の首相にこれができるだろうか? それ以前に、ポルノ女優ストーミー・ダニエルズとセックス(1回だけ)して、それを口外しないように13万ドルを支払ったという老人を、どうやって説得しようというのか?
ラストベルトの街で、朝からダイナーでクアーズのビールを飲み、ステーキをたいらげるプアホワイトのために制裁関税を思いつく“錆びついたアタマ”の持ち主に、いまさら自由貿易の大切さを熱弁しても、聞く耳を持たないだろう。
アベノミクスになってから、日本は政治も経済も自由が束縛される、活気のない国になってしまった。異次元緩和で金融市場は抑圧され、本来の資本主義市場はなくなりつつある。このままでは、人口減が進むなかで、日本経済はますます衰退していくとしか思えない。
別に低成長、あるいはイーブンでもかまわない。アベノミクスの3本の矢「金融緩和」「成長戦略」「財政出動」は本当に必要だったのか? そんな余計なことなどしないで、人口が減っているのだから、素直に縮小均衡に舵を取り、小さな国家を目指せば十分にやっていけただろうに、それをやろうとしなかった。政治家は、できもしない公約(経済成長、経済回復)を掲げ続けている。このままでは、いずれ大きなクラッシュがやってくる可能性が高い。 |
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