[302]「森友・加計問題」が続くなか、静かに確実に進行していく日本の衰退 |
2018年 5月 16日(水曜日) 23:36 |
この2カ月ほど、「米朝首脳会談」と「森友・加計問題」がどうなるのか?ということばかり追いかけてきた。この2つの問題はまったく別の話だが、毎日の展開を見ているだけで、本当にイライラが募る。 しかし、どんなことをやっても「解」を得なければ、日本の未来は暗い。暗すぎる。ただでさえ、人口減社会で、ゆるやかに衰退していくこの国で、1人、意気軒昂に自己弁護をしている首相を見ると、なぜか哀れに思えてきて仕方がない。
日本はあなたが考えるような「美しい国」ではない。アベノミクスが成功と言う根拠などどこにもないのに、「景気はよくなっている」と、毎年実質賃金が下がっている国民に向かって言い続けている神経を疑う。
次は、2010年からのGDP(国内総生産)の推移を、GDP成長率、名目GDP(円ベース)、名目GDP(ドルベース)の3つで見たものだ。
2010年 4.19% 500兆円 5兆7001億ドル 2011年 −0.12% 491兆円 6兆1575億ドル 2012年 1.50% 495兆円 6兆2032億ドル 2013年 2.00% 503兆円 5兆1557億ドル 2014年 0.38% 514兆円 4兆8504億ドル 2015年 1.35% 532兆円 4兆3950億ドル 2016年 0.94% 538兆円 4兆9493億ドル 2017年 1.71% 546兆円 4兆8721億ドル
アベノミクスが始まったのは、2013年である。「3本の矢」でデフレから脱却し、景気を回復させると、安倍首相は高らかに宣言した。そうして、この年の4月から、黒田日銀による「異次元緩和」が始まった。 しかし、アベノミクスはGDPにはまったく効果はなかった。 見ればわかるように、アベノミクスになってからのGDP成長率は2%を超えたことは1度もない。また、名目GDPは円ベースでは少しずつ増えてはいるものの、ドルベースでは減っている。つまり、ドルで見た場合の日本経済は、年々縮小している。
いまや世界経済はデジタルエコノミーが主流になり、ネットをベースとする先端テクノロジー企業が全盛の世の中になった。しかし、過去10年、日本で先端テクノロジー企業は育ってきただろうか?中国では、アリババとテンセントが時価総額でトップ10入りしているが、日本企業はトップ50まで見ても1社もない。36位に旧来型の企業、トヨタがランクインしているだけだ。
「森友・加計問題」は、政治家と官僚のモラル、倫理が地に落ちたことを示した。それが、公文書改ざんと国会での虚偽答弁、言い逃れである。これが罷りとおれば、この国に正義はなくなってしまう。 ところが哀しいのは、官庁以前に、トップ企業で、データ改ざん事件が続出してきたことだ。データの改ざんが行われていたことが発覚した企業は5指に余る。東レ、日立、神戸製鋼、三菱マテリアル、スバル、日産-----、そして東芝は粉飾会計で会社が傾くまでトップは真実を隠蔽し続けた。
これが、私たちが世界に誇れる日本の姿だろうか? この4月、日銀はとうとう「物価上昇率2%」の達成時期を言うのをやめてしまった。もう、あとは野となれ山となれというのだろう。もはや引き返せない量的緩和を続け、国に借金を重ねさせるために、いまだに国債を年間80兆円買い続けている。
そんななか、トランプが「オレはすごいんだ」ということを世界とアメリカの有権者に見せつけるためにやっている政治と外交ショーに振り回される姿を見ていると、哀しみがいっそう募る。別に日本だけが蚊帳の外でなにが悪いのか? 暴力と恐怖で国民を支配する国と、話し合う必要などない。
それにしても、「森友・加計問題なんかやっている場合ではない。もっと重要なことがある」という人々の神経を疑う。それでは聞きたいが、この国のモラルや倫理が崩壊しようとしているのに、それよりもっと重要な問題とはなにか? そして、この問題を長引かせてきたのは誰なのか? メディア報道だけに乗っかって政局ばかりを狙う野党は本当に情けないが、それでもなお、政府・与党の対応は、国民を舐めている。
そんなことを思っていたら、「ビジネスジャーナル」で江川紹子さんの記事を読んで、本当に感銘した。論点が明確で、問題点を端的に指摘しているこういう記事こそ、ジャーナリストの仕事だと思った。 「森友・加計問題」に右も左もない。保守もリベラルもない。これは、人間性の問題である。
→江川紹子の「事件ウオッチ」第103回【柳瀬氏参考人招致】地に堕ちた公務員倫理――それでも支持率が下がらないのはなぜなのか |
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