18/06/22●なぜ書籍の電子化は進まないのか?アンケート結果 |
6月21日、日本電子出版協会が公表した「電子出版における著作権に関するアンケート」は、なぜ電子書籍化が進まないのか、その理由を明確にしている。(回答数136) その最大の理由は、予想通り、「権利処理の手間」(58件)。具体的には「紙版の契約と同時に電子化の契約がなされず、電子化に際してあらためて手間をかけなければならないことが多い」「著作権者が複数おり、許諾の手間がかかる」などだ。 続いては「売上やコストの問題」(56件)。要するに、図版等が多い本だと相応の手間がかかることやOCRスキャンなどによる製作コストが売上に見合わないという問題だ。 とくに過去の紙本については、この二つの点で、大手出版社をのぞいてほとんど電子化されていない。これは、私が『出版大崩壊』を書いた2011年当時と変わらない。 このアンケート調査では、紙の書籍・雑誌を制作する際、どれほど電子化を視野に入れた体制で進めているかについての質問があるが、「ほとんど考慮していない」が年間100冊未満の出版社で41%、100冊以上の出版社では14%と大きな開きが出ている。また、過去の刊行物の電子化事業は、「ほとんど手を付けていない」が年間100冊未満の出版社で49%、100冊以上の出版社で21%と、中小出版社ではいまだに電子化は進んでいない。
■電子化しない/できない理由
■刊行点数のうち電子化している書籍・雑誌の割合
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