19/05/31●幻冬舎の出版中止トラブルは収束したのか? |
作家・津原泰水(やすみ)さんの文庫本の出版中止問題は、幻冬舎の見城徹社長が5月23日に公式サイト上で謝罪することで一応の収束を見せた。しかし、トラブルの発端となった『日本国紀』(百田尚樹著)のコピペによる著作権侵害問題は、放置されたままではないだろうか。 見城徹社長は自身のツイッターを止めることでケジメをつけたつもりかもしれないが、この問題に対しての幻冬舎としての姿勢はいまだに「無視」のままではないだろうか? 幻冬舎は、昨年11月の初版発売から重版を重ねるたびに、この問題を公表することなく、指摘された点の修正も繰り返してきた。私の長い編集者生活で、著作権侵害をしてしまったことがあるが、そのときは経緯を説明して謝罪した。 幻冬舎としては、きちんと校正してきた上でのミスとして修正してきたとしているものの、それだけでは著作権に対してのリスペクトは感じられない。 これは、『日本国紀』という本の内容の問題ではない。作家と出版社が、過去の著作物などに対してどのような姿勢で向き合っているかという問題だ。 |