| [456]トランプがレイムダック化する3つのポイント(Yahoo!ニュース寄稿) |
| 2025年 7月 31日(木曜日) 00:06 |
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その願いを込めて書記、「Yahoo!ニュース」に寄稿したコラム記事を、以下、収録しておく。
関税も80兆円対米投資も消滅!トランプ“独裁”大統領がレイムダック化する3つのポイント
photo:White House / X
■関税も対米投資合意もなかったことになる!?
とうとうトランプ “独裁”大統領が、勝手に設定した期限、8月1日がやってきて、「トランプ関税」が発動されることになった。日本は、当初ふっかけられた25%が15%に下がったが、約80兆円の対米投資(?)を約束させられ、経済への悪影響が避けられない。 しかし、「合意」と言っても「文書」はない。両国政府が持っているのは、単なる合意のメモのようなものだから、協定、条約のような法的拘束力はない。よって、トランプがレイムダック化して失権してしまえば、関税も対米投資の合意もなかったことになる可能性がある。 では、トランプがレイムダック化する可能性はあるのか? 現時点で、予想される3つのポイントを考えてみたい。
■「エプスタイン・ファイルはでっち上げだ」と主張
第1のポイントは、現在、大問題になっている「エプスタイン・スキャンダル」である。“子飼い”の司法長官パム・ボンディが、いわゆる「エプスタイン・ファイル」(顧客リスト)は存在せず、エプスタインが収監中に死亡したのは自殺だったと発表したことで、MAGA派と言われる岩盤支持層ばかりか、多くのアメリカ国民の怒りが爆発した。 この司法省の発表は、これまでの経緯からありえないことであり、トランプは大統領になったら必ず捜査ファイルを公表すると公約していたからだ。 すでに性的人身売買の共犯者として収監されている愛人のギレーヌ・マクスウェルや多くの女性たちの証言から、英国のアンドリュー王子、ビル・クリントン元大統領、マイクロソフト元CEOのビル・ゲイツなどの著名人の名前が挙がっていた。 トランプはそれを材料に、エプスタインの顧客は「ディープステート」の黒幕たちであり、彼らと戦うのが自分の使命だと言ってきた。 ところが、リストに自分の名前があることがメディアによって暴露されると、「エプスタイン・ファイルは、ジェームズ・コミー元FBI長官と、オバマ元大統領、バイデン前大統領によるでっちあげだ」と主張。さらに「私のかつての支持者たちが、こんなデタラメにまんまと引っかかっている」とMAGA派を批判した。
■どこまで暴かれる「小児性愛」(ペドファイル)
エプスタイン・スキャンダルの再燃で、トランプがとった行動は異常だった。なにがなんでも話をそらそうとするので、『NYタイムズ』『ウォール・ストリート・ジャーナル』(WSJ)などの主流メディアは、エプスタインとの過去の“昵懇の間柄“を次々に暴いた。 すると、トランプは、なんと『WSJ』と親会社の社主ルパード・マードックを告訴した。 エプスタイン・スキャンダルの核心は、「小児性愛」(ペドファイル:Pedophile)である。それが行われていたエプスタイン所有のカリブ海の島リトル・セント・ジェームズ島は「ペドファイルの島」と呼ばれ、そこに出入りしていた著名人は多い。 小児性愛は、欧米キリスト教徒にとって、最もおぞましい行為であり、子供への性加害は忌み嫌われる犯罪である。 エプスタイン・ファイルに名前があり、それによってエプスタインとの“本当”の関係が判明すれば、それは間違いなくトランプの致命傷になる。
■議会も黙ってはいられず、弾劾決議もあり得る
トランプは、墓穴を掘るようなことを口走っている。スコットランドからの帰路、大統領専用機の中で記者団に、エプスタインとなぜ関係を絶ったのかを聞かれ、「彼が私のために働いていた人たちを盗んだからだ」と答えた。そして、そのうちの1人がヴァージニア・ジュフリーだと言ったのだ。 彼女は、10代の頃、トランプの別邸マール・ア・ラーゴのスパで働いていたとき、マックスウェルにスカウトされ、著名人たちの貢ぎ物にされた女性だ。彼女は、後年、アンドリュー王子による性的虐待を告発した。 もちろん、当事者たちはすべてを否定し、今年4月、彼女はオーストラリアで自殺している。 いずれにせよ、ここまで来ると連邦議会も黙ってはいられない。マックスウェルに対して、8月11日に下院の監視委員会で証言するよう召喚状を送った。彼女の弁護団はトランプに恩赦を求めているが、はたしてどうなるか? 今後の状況次第では、議会がトランプの弾劾決議をする可能性は十分あり得る。
■国際貿易裁判所は「トランプ関税」を違法と判断
第2のポイントは、トランプにやりたい放題を許している大統領令が違憲と判断されることである。大統領令に基づく関税発動の根拠法は「国際緊急経済権限法」(IEEPA)で、これによりトランプは「国家非常事態」を宣言して、関税を世界各国にふっかけた。 しかし、司法が非常事態ではないと判断すれば、これまでの関税や貿易に関する合意は一切無効になる。 7月31日から、連邦巡回区控訴裁判所(CAFC)では、IEEPAに基づいて関税を課す権限が大統領にあるかどうかについて、口頭弁論が開始された。この弁論は2カ月間ほどが予定されており、その後に最終判決が下されるが、違憲とされるのはほぼ間違いない。 トランプが大統領令によって「トランプ関税」を公表・発動したのは4月初めのこと。これに対して、国際貿易裁判所(CIT)は、5月末に、IEEPAを根拠にしたトランプの関税措置を全会一致で違法と判断。この判決に対してトランプ政権はすぐに控訴した。よって、猶予措置が取られ、その後、連邦巡回区控訴裁判所での口頭弁論を経て、最終的な判決が下るという流れになったのである。
■なぜ、合意文書、協定が存在しないのか?
そもそも、議会が承認しない限り、国際間の協定も条約も結べないし、発効しない。しかし、大統領令なら、議会を通さずにできる。 トランプはこれを利用しているわけだが、では、その大統領令を出すのに必要なIEEPAが認めるような国家非常事態が存在していると言えるだろうか? 日本のような属国、同盟国が、不公正な貿易慣行によってアメリカの経済安全保障を脅かしていると言えるだろうか? ほかの同盟国も同様だ。この点を吟味すれば、現状が非常事態ではないことは明らかだろう。 だから、トランプは交渉の合意を曖昧にし、文書をつくらなかった。つくってしまえば、非常事態ではなくなるからだ。これは、関税をふっかけられた側もわかっており、たとえば、日本の赤沢亮正経済再生相は、なぜ文書がないのかを問われ、こう答えている。 「文書化より迅速な関税引き下げを優先した」 要するに、交渉によって合意した単なる「メモ書き」があるだけで、トランプはそれを「ビッグ・ディール」と言っているに過ぎない。 ただ、いくら法的拘束力を伴わないとはいえ、約束を履行しない場合、トランプは再び次のディール(関税引き上げ)をふっかけてくる。よって、一刻も早くレイムダックになってもらわないと困る。
■最高裁の判決は来年の6月までに出る
IEEPAによる国家非常事態が有効かどうかの判断は、最高裁までいくのは間違いない。いまから2か月後、おそらく9月末か10月初めに連邦巡回区控訴裁判所の違憲判決が出れば、トランプは上訴するに違いないからだ。 ちなみに、控訴裁の11人の判事のうち8人は民主党の大統領、3人は共和党の大統領によって任命されていて、トランプが任命した判事は1人だけ。どう見ても、違憲判決が下る。 規定によると、敗訴した側の最高裁への上訴は90日以内となっている。したがって、トランプが上訴すると、年内には審理が始まり、その後、約半年で最高裁の判決が出るとされている。 このスケジュール通りにいけば、2026年の6月以内に、トランプがレイムダックとなる可能性がある。
■違憲判決で赤っ恥、世界中の物笑いになる
当然だが、最高裁でも間違いなく違憲判決が出る。アメリカの政治アナリストたちは、みなそう言っている。 そうなると、大統領令は無効となり、トランプが各国と合意した関税や対米投資などの約束事は違法となって消滅する。
この場合、企業や個人は、不当に支払った関税の返還要求も可能になるという。よって、日本を含め、世界各国は、合意による対米投資をまともにやる必要などないと言える。 ただし、問題はある。強烈な自己愛人間トランプが、この屈辱を受け入れるだろうか? 赤っ恥をかき、世界中の物笑いになるわけだから、はたして、そのときなにが起こるかは予測がつかない。
■打倒トランプでマスクが立ち上げた第3の政党
第3のポイントは、中間選挙である。 第1、第2のポイントをクリアして、生き延びられたとしても、中間選挙で共和党が敗退すれば、トランプは失権する。議会からノーを突きつけられた大統領ができることは、大きく制限される。 その鍵を握るとされるのが、現時点では、トランプと仲違いして政権を去ったイーロン・マスクが立ち上げた第3の政党「アメリカ党」(America Party)である。 マスクは、アメリカ党設立の理由を、「共和党のマジョリティを阻止するため」としたが、「X」への投稿では、「エプスタインの顧客リストにはトランプの名前がある」とし、それが第3の政党を立ち上げた理由のひとつだと明かした。 さらに続けて、「エプスタイン・ファイルを公開しないなら、国民にトランプを信じろというのは無理がある。ペドファイルを守るなら、それは『国民に敵対する政府』だ」と述べた。
■議席を確保して上下院でキャスティングボートを握る
マスクの狙いは極めてシンプルである。 「X」への投稿で明らかにしたのは、下院で8〜10議席、上院で2〜3議席を確保すること。そうして、議会内に一定の影響力を確保し、キャスティングボートを握ることだ。 上下院の現在の勢力分布(上院:共和党53議席、民主党47議席、下院:共和党220議席、民主党215議席)を見れば、この狙いは的確である。 これまでのアメリカで、一定の支持を得た第3の政党は、「リバタリアン党」(Libertarian Party)と「緑の党」(Green Party)くらいしかない。連邦議会選挙や州知事選挙での当選例はないから、マスクのアメリカ党は成功しないという見方が強い。 しかし、反トランプ議員は、共和党内にもいるし、なによりも、マスクには莫大な資金力がある。
■候補者1番手は、減税法案に反対した共和党議員
アメリカ党のメンバーについて、早くもその名が囁かれている。その筆頭は、ケンタッキー州選出の共和党下院議員トーマス・マッシーだ。 マッシーは、トランプが「大きく美しい1つの法案」と豪語した減税法案に反対票を投じて、トランプの怒りを買った議員である。 また、アラスカ州選出の共和党上院議員リサ・マーカウスキーの名前も挙がっている。マーカウスキーは、減税法案の採決に最後まで懸念を表明した議員だ。もし、寝返ったとしてもアラスカ州はオープンプライマリーのため、トランプから刺客を送られる可能性は少ないという。 この2人以外では、ペンシルベニア州選出の民主党議員ジョン・フェッターマン、ミシガン州選出の元下院議員ピーター・メイジャー、同じく同州選出の元下院議員のジャスティン・アマッシュの名前が挙がっている。ジャスティン・アマッシュは元共和党議員で、リバタリアン党に鞍替え。マスクの考えは、リバタリアンに近い。
■トランプは歴史上最も弾劾訴追された大統領
はたして、アメリカ党にどんな人材が集まるか?戦々恐々としているのは、トランプである。 また、アメリカ党のような第3の政党がなくとも、トランプが支配する共和党は、中間選挙で民主党に敗退すると予測されている。 最新のロイター/イプソス調査によると、トランプの支持率は40%に低下し、2期目としては最低水準に沈んでいる。ギャラップの調査でも同じ結果が出ている。
なお最後に述べておくと、すでに連邦議会下院は、6月に、民主党のアル・グリーン議員が提出したトランプ弾劾決議案を否決している。これは、トランプが議会の承認なしにイランを攻撃したことを「議会が持つ宣戦布告権の侵害」として非難する内容だった。
トランプほど、弾劾訴追された大統領はいない。1期目のときに、なんと2回も訴追されており、これは史上初の出来事だった。弾劾2回目は議会襲撃事件で「反乱を扇動した」として訴追された。 このとき、上院での投票結果は、有罪票57に対し無罪票43で、共和党から7名が有罪に投票した。しかし、有罪には3分の2の賛成が必要なため、トランプは弾劾を免れている。 |
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トランプは大統領令に署名し、ついに「トランプ関税」が、8月7日に発動されることになった。果たして、今後、日本経済はどうなるのか? そして、アメリカはどうなるのか? このまま、とんでもない独裁者によるファシズム国家になってしまうのか? 正直、わからない。思うのは、早くトランプがいなくなってほしいということ。
