G1予想[014]第50回宝塚記念(6月28日) 印刷
6月23日(火)記

アドマイヤフジの逃げ切り、ディープスカイが2着で乾杯! 


 ウオッカが回避することになったため、今年の宝塚記念は盛り上がりそうもない。人気はもちろん、ディープスカイに集中するだろうし、レース自体も、凱旋門賞挑戦という目標があるディープスカイがどのように勝つかが注目されるだけだ。
 もし、ディープスカイが負けるようなことになれば、今年後半のG1戦線の興味も薄れるだろう。

 それにしても、最近の競馬を見ていると、スターホースがいとも簡単に出現し、人気も過度に集中する傾向が強い。とくに、ウオッカは、あらゆる人間がベタボメで、本当にそこまでの牝馬なのかと思う。
 今回の宝塚記念のファン投票では、ウオッカの支持率はなんと76.1%で、これは2006年のディープインパクトの75.6%を抑えて史上1位だというから、驚いた。

 では、予想に移るが、今回はまともな予想を書いてみる。昔は、こういう予想をさんざん書いたので、もう飽き飽きしているが、それでも、いちおうまともに考えてみた。ただし、何度も書くが、このようなまともな予想は、絶対に当たらない。

 まず、この予想は、晴れ良馬場が前提である。
 良馬場なら、文句なしにディープスカイ中心のレースになるだろう。ただし、阪神の内回りコースなので、ディープスカイは、これまでのように後方に控える競馬だと届かない恐れがある。そこで、位置取りはやや前となるだろう。
 となれば、ウオッカがいない以上、ディープスカイより後方に位置する馬がディープスカイを差し切るのは難しい。

 そこで、ディープスカイ以外の有力馬を見ると、天皇賞馬のマイネルキッツ、同2着のアルナスライン、同3着のドリームジャーニー、天皇賞ではなぜか14着と大敗したスクリーンヒーロー、金鯱賞勝ちで勢いに乗るサクラメガワンダー、安田記念4着の古豪カンパニーといったところが挙げられる。

 では、このうち、ディープスカイより前に行きそうなのはどれだろうか? 後方型のドリームジャーニー、カンパニー、サクラメガワンダーは、まず行かないだろう。行くとしたら、スクリーンヒーロー、アルナスライン、マイネルキッツと思われる。しかし、それでもそれほど前ではなく、ディープスカイと同じような位置取りとなるのではなかろうか?

 とすると、有力馬がおのおの牽制し合うという展開が考えられ、2200mという小回りコースなので、先に抜け出しをはかったほうが圧倒的に有利だ。また、逃げ馬も有利である。メンバーを見ると逃げそうなのは、アドマイヤフジか、インティラミか。

 つまり、結論は、ディープスカイを軸に、先行するスクリーンヒーロー、アルナスライン、マイネルキッツの3頭と、逃げるアドマイヤフジかインティラミの2頭、計5頭に流す馬連が中心となる。
 また、この5頭のうち、天皇賞がフロックのマイネルキッツと、14着大敗から常識的には巻き返せないはずのスクリーンヒーローを切り、残りの3頭にディープスカイを入れた4頭の3連複ボックスも買いたい。
 さらに、アドマイヤフジ、ディープスカイの1、2着固定で、残り4頭に流す3連単も勝負だ。

 もし、このなかで1点だけ買えとなったら、アドマイヤフジが逃げ切り、ディープスカイが2着という馬単だろう。ただ、ディープの差し切りもあるので、裏表にしたい。
 以上が、今回の予想による買い目である。アドマイヤフジの逃げ切り、ディープスカイが届かず2着というのが、もっとも美しい結末だ。

 思い出すのは、1990年の宝塚記念である。この年、私は、1年を通していちばん多く競馬場に足を運んだ。バブルが崩壊した年だというのに、そんなことはまったく眼中になく、ダービー後の福島、夏の函館と、競馬仲間のツアーに家族で参加し、ジャパンカップにも暮れの有馬記念も家族で出かけた。

 この年の有馬記念を勝ったのはオグリキャップ(武豊)だが、オグリは春の安田記念も制している。ただ、その後に臨んだ宝塚記念はオサイチジョージに破れた。

 オサイチジョージの宝塚記念勝ちは、騎手の丸山の作戦勝ちだった。
 安田記念でオサイチは、オグリの後方につけ、これをマークするという作戦を取ったが、直線ではオグリの伸び脚についてゆけずに3着に破れていた。
 だから、これを教訓とした丸山は、宝塚記念では、オグリキャップの前で競馬をするという作戦を立てた。この作戦が功を奏し、2番手を追走して早めに抜け出したオサイチは、4コーナーで先頭に立ち、そのまま押し切ってしまったのである。一番人気オグリキャップは伸びを欠き、3馬身半差の2着には入るのが精一杯だった。

 オサイチジョージという馬は、いま思うと、この宝塚記念を勝つためにだけ生まれてきたような馬だ。実際、騎手の丸山も馬も、これが最初で最後のGI制覇になった。
 この年の秋以降のオサイチは、毎日王冠、天皇賞(秋)ともに直線で伸びを欠き4着。 続く、ジャパンカップは13着という大敗。 有馬記念では、逃げたが、あのスローペースにもかかわらず、オグリキャップに差されて4着に落ちている。

 この有馬記念では、私はメジロライアンを軸にし、ホワイトストーンへの枠連3−7、オサイチジョージへの枠連2−3の2点を勝負した(当時は馬連などなかった)。ところが、前記したように勝ったのは、用無しと思っていたオグリキャップ。枠連3−4という決着だった。
 レース後、私は、しばし呆然とした。そして、帰るとき、中山競馬場の門の脇のクリスマスツリーのイルミネーションが、痛いほど目に滲みたのを覚えている。