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 光文社ペーパーバックスは2009年8月刊行の『日本半導体敗戦』よ『大阪破産 第2章』の2冊をもって、幕を閉じた。プリントメディアが衰退していくなかで、今後、もうこのようなシリーズはできないだろう。

 ここでは、短い期間だが開設していた公式サイトから、いくつかの記事をピックアップし、記録のため保存しておくことにした。以下、時系列とは関係なくコピペしてある。

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著者: 山田順 2008年11月13日 20:56

緊急出版!『「大恐慌」以後の世界』の舞台裏

●たった1か月で、スピード完成!

11月20日に刊行の『「大恐慌」以後の世界』は、わずか1カ月で完成させた本です。著者は、ペーパーバックスシリーズの主力著者の1人、国際問題 評論家の浜田和幸氏ですが、最初に打ちわせしたのが、米議会で「金融救済法案」が否決された9月29日、脱稿が10月30日、最終校了がオバマ新大統領が 誕生した11月5日でした。これまで、これほどのスピードで1冊の本を編集した経験は、私にはありません。

タイトルでおわかりのように、現在の金融危機を扱い、今後、危機が大恐慌へと進んでいくなかで、世界がどう変わっていくのかを展望した本ですが、な にしろ、リアルタイムで事態が変化するので、株価、為替レート、米政府やEUの動きなど、その都度修正するのが大変でした。もちろん、著者の浜田氏も執筆 と修正で、息つくヒマもない毎日でした。

●マケイン大統領だったら、発売が遅れた?

じつは、浜田氏と打ち合わせて、米大統領選挙はオバマ候補が勝つという前提で原稿をつくってもらいました。ウォール街が破綻したことで、マケイン候 補の当選の確率はほとんどないと判断したからです。とはいえ、もし、結果が違ったら大変ということで、最終校了は選挙日の11月4日(日本は5日)とした わけです。したがって、当日は、予定通りオバマ候補が勝って、浜田氏も私もほっとしました。

オバマ氏当選確定後、私は「これで修正せず、校了できますね」と、浜田氏に電話を入れました。すると、「いや、本当にそうなってみると、予定稿を書 いたときと気分が違うので、少し手を加えたい」との返事。さすが著者、浜田氏の粘りはすごいものがありました。おまけに、そうしながら、この日の浜田氏 は、大統領選挙についてテレビ局から取材を受け、コメンテイターとしても出演していたのですから、頭が下がります。

●誰もがアメリカの衰退が避けれないと!

リーマンショックから約1か月後の10月20日、8月刊『ニュー・リッチの王国』の出版パーティをやりました。もはや、ニュー・リッチなどと言っていられ ない世界情勢ですが、これは刊行前から決まっていたスケジュールでした。ただ、パーティ会場でのいちばんの話題は、やはり金融危機。「もうアメリカはダメ だね」「衰退は避けられないね」と、誰もが口をそろえて言います。その1人に、『ソロスは警告する』(講談社)の翻訳者の徳川家広氏がいました。聞くと、 現在の事態をズバリと予測したこの本を、彼はたった1か月で訳したそうです。

「1冊をあんなスピードで訳したのは初めて」と徳川氏。「ウォール街がダメになる前に出す」と頑張ったおかげで、この本は、いまベストセラーとなっています。

●アメリカの逆襲はあるのか?

11月15日、ワシントンDCで世界金融危機に対処するためのG20が開かれました。しかし、アメリカ、EU、新興国の思惑はバラバラで、危機沈静 化のためのリーダーたちによるデモンストレーションに過ぎなかったのは否めません。 また、この会議は単に金融危機のためのものでなく、今後の世界の新秩 序をどうするか? アメリカの衰退が避けられないのならドルに代わる基軸通貨をどうするか? が、本当のアジェンダであり、日本のメディアが伝えるような「甘い」ものではありません。

そこで、この『「大恐慌」以後の世界』ですが、このなかで、浜田氏は最後に、アメリカの逆襲についてふれています。ドルに代わる「AMERO」という北米 連合の新通貨を日本の本としては初めて紹介しています。 はたして、今後の世界はどうなっていくのか? ぜひ、本書でそのヒントを得てほしいと思います。

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スペイン・イビサ島ガイドを来春発売です! 

著者:小島2008年10月10日 20:20

2009年4月、日本初のスペイン・イビサ島ガイドを発売します。

クリエイター高城剛さんの責任編集です。乞うご期待!

広告媒体資料はこちら(PDFファイル、1.5Mb)

上の写真はイビサ島最高の観光スポットです。双子岩に沈む夕日は絶品!

モデルの女の子はDJのエリー・ローズさん。立っているのは城壁です。

 

2008年9月、撮影スタッフが大挙してイビサ島に行きました。

左の写真は巻頭グラビア用のカットで、アグロツーリズモが楽しめる最高のホテル。
撮影チーム一行は気合いが入っていましたが、あいにくの天気。

右の写真は、「晴れないかなぁ」と空を見上げる高城さんです。

 

こちらの写真は世界遺産にもなっている旧市街。隣の島フォルメンテーラ行きの船から撮影しています。

世界最高のリゾート地と言われるイビサ島のすべてをご紹介しますので、お楽しみに!

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『「大恐慌」以後の世界4刷り3万5000部に!

2008年12月10日 21:03

注意、新しいウインドウで開いてください。 『「大恐慌」以後の世界4刷り3万5000部に!

浜田和幸・著『「大恐慌」以後の世界』は、その後も部数を伸ばし、4刷り3万5000部に達しました。このなかで、浜田氏はドル崩壊以後の北米共通通貨「AMERO」を紹介していますが、それが現実化するようなシナリオが進行中です。

たとえば、欧州のシンクタンク「LEAP/E2020」は、「国際通貨体制(ブレトンウッズ体制)が根本的に改革されない限り、2009年夏までに制度崩 壊する」という衝撃的な予測を発表しています。ドルが国際基軸通貨でなくなる日が果たしてくるのか? 世界が米国債を買わなくなる日が来るのか?

現在、浜田氏と編集部では、この本の第2弾を進行中です。オバマ新大統領が就任して100日後(ハネムーン期間終了後)までに、最新情報を満載して発売する予定です。

●浜田和幸公式サイトはこちら

●浜田和幸連載サイトはこちら

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2008年11月17日 14:04

 

『ニュー・リッチの王国』出版記念パーティ大盛況

 

2008年10月20日、日本外国人記者クラブ (FCCJ)で、『ニュー・リッチの王国』(2008年8月刊)の出版記念パーティを開きました。これは、著者であり日本の富裕層ビジネスの第一人者でも ある臼井宥文氏と編集部が共同で主催し、取材でお世話になった方々や関係者を招待したものです。

 

 

主な席者は、鳥羽博通(株式会社ドトールコー ヒー名誉会長)、渡邉美樹(ワタミ株式会社代表取締役社 長)、高杉良(作家)、中島薫(アムウェイDCA)、中丸三千繪(オペラ歌手)、徳川家広(翻訳 家)、川又三智彦(ツカサグループ代表)、高橋龍太郎(タカハシクリニック理事長)、上条詩郎(個人投資家)、森木亮(経済評論家)など各界で取材に協力 していただいた方々から、アマゾンでの販売キャンペーンに協力してくれた山本時嗣さん、大谷由里子さん、クリス岡崎さん、マツダミヒロさん、鳥居祐一さん など、みなさん、著書をお持ちで各方面で活躍されている方々、約100名でした。

 

 

パーティでは、ドトールの鳥羽会長にまず挨拶を いただき、ワタミの渡辺美樹社長にカンボジアでの社会貢献活動の模様を、記録DVD上映後に話していただきました。その後、ゲストの方々にそれぞれ楽しい スピーチをしていただきました。パーティは6時半から8時半の予定でしたが、大盛況で、結局9時になっても多くの方が残りました。

 

このパーティの模様は、出席者のかたの何人かがBlogで紹介していますので、ぜひ、ごらんくいださい。

 

ただ、誤解なきように書いておきますが、この パーティは、単にお金持ちが集まったセレブ・パーティではありません。また、本のほうも単にお金持ちを紹介した本でもありません。新・富裕層をとおして現 代の行き過ぎた感のある資本主義社会のあり方と、私たち自身のあり方を問いかけたものです。

 

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著者: 山田順 2009年01月30日 03:48

たちまち増刷! 大前研一『知の衰退から……』

1月23日に当編集部から刊行した大前研一さんの『「知の衰退」からいかに脱出するか?』は、発売わずか1週間で2度増刷、現在、部数4万部に達しました。これは、ペーパーバックス版ではない四六版ソフトカバーです。

漢字の読めない総理、ネットで答えが見つからないとあきらめる若者、金融リテラシーが低いことを気にもとめない大人、おバカキャラで視聴率を稼ぐテ レビ----など、とにかくもの考えなくなった日本人。そんな「知の衰退」現象に巻き込まれていては、この未曾有の大不況は乗り切れません。

本書は、現在の日本の「政治」「経済」「社会」「ネット」「教育」「教養」に見られる「知の衰退」現象を取り上げ、私たちがそこから抜け出すために はどうすればい いのか、そして、いま起こっている問題についてどう考え、どうやって解決策を見つけ出せばいいのかを、大前さんと一緒に考えていく構成になっています。

本書を読み終えたとき、あなたは「考えること」の大切さに改めて気づき、「考えるため」のいくつかのヒントを手にしているはずです。

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著者: 山田順 2009年05月29日 00:29

新刊『永久国債の研究』が好評、アマゾンのランクキングで上位に!


今月の新刊『永久国債の研究』が、今日(5月28日)のアマゾンのランキングで総合22位になった。ジャンル別の「金融・ファイナンス」「経済学・経済事情」では1位になり、著者の1人・藤井厳喜氏からも喜びの電話が入った。
発売前、「こんな地味なタイトルでいいの?」「ペーパーバックスらしくない」と周囲から言われたが、今回はあくまで直球勝負で、ストレートに内容をタイトルにした。だから、一般の読者受けはあまり考えなかった。

しかし、かなり受け入れられたようで、それがアマゾンのランキングに現れたことを素直に喜んでいる。
また、読者レビューの1つに、《このペーパーバックス系シリーズでは初めての「最後が暗くない」珍しく前向きな本だったのも安心できる。》とあり、これにも素直に喜んでいる。
というのは、こういうことを書いてくれる方は、これまでにペーパーバックスを何冊も読んでくれたに違いないからだ。

たしかに、金融・経済・政治を扱ったこれまでの本は、ほとんどが暗い結末になっていた。それで私は、「ペーパーバックスは感動を売っているのではなく、絶望を売っているんです」と自嘲気味に答えてきた。
しかし、いまや、金融危機、世界不況で、本の結末より現実のほうがはるかに暗い。国家財政の破綻、格差社会の拡大などというテーマを、ペーパーバックスで は数年前から先駆的に扱い、絶望的な近未来を描いてきた。だから、読者の方から「読後感が暗すぎる」と、何度もお叱りを受けた。
しかし、いまや現実が本を追い越してしまった。

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日本初のイビサのパーフェクト・ガイドブックついに完成!

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スペインのバルセロナから船で約10時間。ヨーロッパの人々の避暑地として親しまれるバレアレス諸島の北にその島はある。1970年代、この島は 「ヒッピーの聖地」となり、自由を求める若者の楽園だった。そして、いまも、シーズンになると、世界中から、若者たち、クラバー、有名DJが集まり、24 時間パーティアイランドとなる。

もちろん、セレブたちもしばしばこの島を訪れるし、ジェットセッターも一般トラベラーもやって来る。だから、最先端、最高級のホテル、レストランから、エコノミーのホテル、レストランまでなんでもそろっている。

そして、世界一美しいとされるサンセットに、地中海の歴史をたどれる世界遺産。まさに、地上のパラダイスが、イビサ島である。

このイビサの魅力にすっかりトリコになったハイパーメディアクリエーターの高城剛氏に、責任編集を依頼してできたのが、この本、『ゴー!イビサ楽園 ガイド』。日本で初めてのイビサのパーフェクトガイドブックだ。発売は4月17日。同時に、E-BOOKもアップロードされる。

また、本、E-BOOKばかりか、専門ウェブサイト『GO-IBIZA』もオープンしている。

GO! IBIZA [go-ibiza.jp]

「いままで、なぜ、イビサの本がなかったのか不思議」と、現在は、バルセロナに住む高城氏は、この本の巻頭で、イビサの魅力を大いに語ってくれている。イビサについて知りたい、イビサに行ってみたい人は、ぜひ、本、E-BOOK、サイトに、いますぐアクセスを!

 

『ゴー!イビサ楽園ガイド』

主なCONTENTS

イビサのトレンド情報がこの1冊に結集!

【巻頭グラフ】 Here in HEAVEN/モデル:Elli-Rose

【インタビュー】なぜ僕はいつもイビサ島にいるのか/高城 剛

【スペシャル】高城的イビサスタイル/高城剛のイビサ・ダイアリー

【徹底ガイド】

■Beach「七色の地中海で遊ぼう!」

■Heritage & Nature「イビサの世界文化遺産を訪ねて」

■Gourmet「イビサを食べつくす!」レストラン・カタログ

■AGRITOURISM & STAY「風が誘う、光が誘う、イビサの滞在スタイル」ラグジュアリーからブティックホテルまで

■Music「チル・アウトのススメ/ダンスミュージックのススメ」

■Beauty & Organic Mics.

オリーヴ、ソルト、デリ、アメニティ、お酒、市場、お菓子、花、風車、クラブグッズ、コスメ、お土産、カート遊び

■Transportasion ~イビサの行き方/LLC

【イビサは24時間パラダイス!】

■Night Life:クラブ/バー&ラウンジ/カフェ/DJ、パーティの遊び方徹底ガイド

【Why We Visit IBIZA?】イビサ島滞在人スナップ&インタビュー

【I Love IBIZA】イビサの魅力って?著名人がイビサを語る

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3月新刊『排出権取引は地球を救えない』裏話と

小島君の送別会

著者: 山田順 2009年03月 6日 00:43 注意、新しいウインドウで開いてください。

3月の新刊は、環境問題のうさん臭さを排出権取引にしぼって描いた『排出権取引は地球を救わない』(藤井耕一郎・著)。藤井氏にとって、ペーパーバックスで4冊目にあたるが、今回も、彼の真骨頂が発揮されている。

すでに、「編集長Blog]の1本にも書いたように、環境問題の切り札とされる「排出権取引」というのは、相当うさん臭いものだ。なにしろ、CO2を出す権利をお金で買うのだから、まずもって、そんなものに値段をつけるのがどうかしている。
しかも、CO2を出す量(排出量)は、あらかじめ割り当てられ、その枠の過不足分が売買される。こんなハンディキャップ取引が、まともな取引なわけがない。

このことを、藤井氏は克明に、そしてくり返しわかりやすく描いている。

世界不況でCO2の価格が急落している

排出権取引は、2005年に、EUが域内に導入してからは、世界的なブームになり、オバマ米大統領の「グリーン・ニューディール」政策も、この排出権取引が目玉になっている。

しかし、この排出権取引が、金融危機以後の大不況で、どうやら成り立たなくなる可能性が出てきた。

2009 年3月4日の朝日新聞の「環境は救世主か?」連載(中)は、「世界不況 CO2価格急落」というタイトルで、その模様を伝えている。ただ、記事の論調は、「地球温暖化問題の長期的な取り組みを遅らせる懸念も出ている」と、この 現象を悲観的に捉えているのだからバカらしい。

世界中の工場が操業しなくなればCO2は出ない

実際、CO2価格は、どんどん下がっている。
2月29日のサンケイ新聞も「CO2排出枠価格、半年で4分の1に暴落 「買い時」も手を出せず?」という記事を載せていた。

《世 界同時不況による実体経済の低迷で、地球温暖化対策の一環として国際的に取引されている二酸化炭素(CO2)の排出枠の価格が下げ止まらない。国際協力銀 行(JBIC)などが公表している国内取引の1トン当たりの価格は、昨年7月の4000円弱をピークに下がり続け、今や1000円割れ目前と、ほぼ4分の 1の水準にまで低下している。取引関係者からは「底が見えない」との悲観的な見方も出ている。》

CO2の価格のピークは、原油価格が1バレル=147ドルに達した昨年7月だった。以後、ずっと下がり続けているのだ。これは欧州のほうがひどく、取引価格は昨年7月上旬の最高値に比べて、今年2月末時点で35%も下落している。

なにしろ、世界同時不況で、いまは、ほぼすべてモノの生産が止まっている。自動車にいたっては、前年比で6割しか売れていない。こうなれば、世界中の工場が操業を半減させるか停止させるしかない。結果的に、輩出されるCO2の量は減るのは当然だ。

排出権取引は地球を救えない

私は、地球環境がクリーンになることには賛成だが、温暖化を食い止めるためにCO2の排出を減らすという論理に、相当なうさん臭さを感じている。
じつは、このうさん臭さを私以上に感じていた藤井耕一郎氏なのだ。だから、私は、排出権取引だけにしぼって今度の本を書いてもらった。

排出権だけにしぼるというのは、かなり大胆な決断だが、藤井氏は延々とそのうさん臭さを暴いてくれた。その熱意が、行間から伝わってくる。

また、そもそも地球温暖化自体が、ここ数年では成立しなくなっていることも書いている。

藤井氏とはかつて『幻の水素社会』という本もやった。当時、次世代のクリーンエネルギーとして水素がもてはやされていたが、そんなものはマヤカシだというが、この本のポイントだった。もちろん、まったく売れなかった。

ある有名エコノミストが書いた排出権クズ原稿

じつは、排出権取引が始まり、ゴアの『不都合な真実』が話題になった昨年の初め、ある原稿が私のところに持ち込まれた。それは、すでに何冊も著書が ある有 名なエコノミストが書いたもので、排出権取引の仕組みをていねいに解説したうえで、「これにより地球温暖化は防げる。わが国も一刻も早く排出権取引を始め るべきだ」と主張されていた。

私は、これを読んで驚いた。こんなアホな原稿、うちの編集部で出せるかと思った。第一に、一流エコノミス トともいうべき人間が、こうしたことになんの疑いを持っていないことに、唖然とした。もちろん、原稿はお引き取り願ったが、もちろん、別の出版社から出版 され、そこそこに売れた。

そんなこともあって、藤井さんには、彼の持ち味である「うさん臭さ」から排出権問題を書いてもらった。担当は、小島くんで、この本が彼がペーパーバックスで担当する最後の本になった。

神楽坂の夜風が身にしみる

3月2日、神楽坂のレストランで小島くんの送別会をやった。これまで、彼が担当した本の著者のうち、20人以上が来てくれた。この不況のなか、週初めの月曜、それも会費制にもかかわらず、こんなに集まってくれたのは、彼の人徳か?

それはともかく、そのなかに、藤井耕一郎氏もいて、当然、今度の本の話になった。私が前記した、さるエコノミストの話をすると、「やはり山田さんて、バカですね」と彼は笑った。そして、自嘲気味にこう言った。
「私の本より、そういうストレートな本のほうがよほど売れるはずでしょう。そっちを取る選択のほうが編集者として正しいのでは」
そばにいた翻訳家の徳川家広氏も、同じ意見だった。ただ、それは彼らのホンネではない。

本は出す以上、売れなければならない。しかし、それだけが本を出す意義ではない。今回の藤井氏の本のサブタイトルは「環境問題でカモられる日本」である。排出権取引が、いかに日本にとってソンなゲームか克明に書いてある。
ブームにのれば、この出版不況でも本はそこそこには売れる。最近は、オバマ演説集とか、経済、政治などのわかりやすい解説本ばかりだ。

しかし、そんなことでいいのだろうか?

送別会後、神楽坂の商店街を下りながら、夜風が身にしみた。3月になったのに、まったく春の気配が感じられないなか、2次会へと向かった。