12/08/02 ●米新聞サイトのペイウォール導入が加速。しかしまだビジネスとしては成立せず 印刷

米国のウェブメディア「paidContent 」が、米国新聞協会 (The Newspaper Association of America)が行った「Webサイトでペイウォールを導入している156紙を対象とした調査」の結果の分析記事を掲載した。それによると、156紙のうちの87%がアクセス可能な記事の本数を制限するメーター制を採用している。これは、何本かの記事を無料で見せ、有料会員を募る方法だが、それらの平均許容記事数は月間11.2本となっている。最近『ニューヨークタイムズ』が許容記事数を20本から10本に半減させたが、10本が平均数ということなのだろう。

  ペイウォールを導入している新聞のうち6%が25万部以上、4%が15~20万部、89%は15万部以下となっている。また、ペイウォール導入新聞の53%がプリント版(紙版)購読者へのデジタル版無償提供を行っていて、残りは割引価格で提供している。

  米国の新聞が次々とペイウォールを導入するようになったのは、『ニューヨークタイムズ』が踏み切ったからだが、無料登録→有料への転換は依然として低いようだ。すでに、無料読者の広告価値が期待したほど高くないことも判明し、ウェブ広告の伸びは止まっている。新聞社がデジタル事業で1ドル稼ごうとすると、代償としてプリント事業で7ドル失う(Pew Research Center)という調査結果も出ており、ペイウォールの導入は、ビジネスモデルとして確立したとは言い難い。

  業界では、30万人の有料購読者獲得が一つの目標値とされているが、これに達したのは、これまでのところ『ファイナンシャルタイムズ』だけだ。『WSJ』は成功したが、ニューズ・コーポレーションが成りもの入りでスタートさせたデジタル日刊紙『The Daily』は大不振。すでに、人員を削減している。

  次の表はウェブメディア「eByline」に掲載されたもの。ビジネスとしてはまだ無理とはいえ、ペイウォール導入に進むしか、新聞が生き残る道はないようだ。

  

  Newspaper Paywalls Accelerating by Susan Johnston on Jul 30 2012