10/07/02●取次のトーハンがなんと電子書籍の取次ぎサービスを! 出版社と書店をサポート!? 印刷
   取次ぎ大手のトーハンは、7月1日、電子書籍の取次ぎサービスを年内にも開始すると発表した。これまでのリアル書籍に加えて、電子書籍の分野にも進出する。電子書籍の普及で「中抜き」が懸念されている取次ぎ会社だが、こうしたサービスを始めるのは相当な危機感がある現れだろう。

 トーハンが始める新サービスは、出版社から書籍の電子データを預かり、電子書籍端末や携帯電話、パソコンなど、それぞれの形式に加工したうえで、アマゾン、アップルのような電子書籍配信会社に送付するというもの。いわゆるバーチャル上の取次ぎサービスだ。このサービスでは、配信会社からの集金や著作権の管理なども代行するという。また、オンライン書店「e-hon」を通じて電子書籍を販売し、出版社と書店を電子書籍ビジネスにおいてサポートするという。

 これを聞いて、「なんら目新しいことはない」「単に紙の取次ぎを電子に移しただけ」「結局は、中間業者であることには変わりない」という声が強い。現在、配信会社は100社を超えているが、より出版社に近い位置にある取次ぎ会社がこのようなサービスを開始することで、リアル書籍市場がどうなるか? 本来、電子書籍は読者と著者がダイレクトにつながる流通形態だけに、間に入る業者が多いほど、出版社も著者も収益は落ちるはずだが。