10/07/15●村上龍氏が出版社を介さずに「iPad」に作品を配信で、既成出版社は真っ青! 印刷

 の件を日経が記事で伝えると、出版界では「まさか」「これは困った」「日本でもやはり始まったか」など、さまざまな声が飛びかった。今回の村上氏の動きは、最新の長編小説『歌うクジラ』(講談社「群像」の2006年3月号〜2010年3月号)に連載を、ソフトウエア会社と協力し、電子書籍として紙書籍より先に発売するというもの。

 しかも、紙の書籍ではできない映像や音楽を盛り込み、音楽はを坂本龍一氏が担当するという画期的なものだ。アップルの承認が得られ次第、配信が開始されると、日経記事は伝えている。(その後、すぐに承認出て『歌うクジラ』アプリは販売が始まった)

 これは、著名作家によるいわゆる「出版社中抜き」で、こうした動きが波及すると、既存の出版社は、いまの紙出版中心のビジネスをやがて維持できなくなる可能性がある。すでに、アメリカではスティーンブン・キングなどが電子書籍ファーストを実行しているが、それはKindleなどの端末普及で電子書籍市場ができつつあるから。
 日本のようにケータイ中心で、しかもコミックしか売れない市場で、はたしてこの動きが成功するかどうかはまだわからない。しかし、この村上氏の決断は間違ってはいないだろう。