11/12/21●東野圭吾さんら人気作家が電子書籍「自炊」業者2社を提訴も問題解決は不可能 印刷

12月20日、自炊代行業者が作家たちから東京地裁に提訴された。提訴されたのは、自炊代行サイト「スキャンボックス」を運営する有限会社愛宕(川崎市)と「スキャ ン×BANK」を運営するスキャン×BANK株式会社(東京都)。提訴したのは、作家の東野圭吾、作家の浅田次郎、大沢在昌、林真理子、漫画家の弘兼憲史、永井豪、漫画原作者の武論尊の7氏。

 この件は、もうずっと問題視されてきたが、正直「そこまで」という感じ。なぜなら、提訴しても問題はなにも解決されないばかりか、さらに出版界の衰退に拍車がかかる。

 以下は、この件を伝える『産経新聞』記事。

 

 ■自炊代行業横行の背景に、電子書籍市場未成熟も(2011.12.20 19:18 )

  自炊代行業者は昨年初めには全国で数社だったものが、今年9月には全国で約100社の存在が確認されるまでに急増していた。大手出版社や作家、漫 画家らは同月、それぞれの業者に法的問題点を指摘した上で、今後も事業を継続するかどうかを尋ねる質問書を98社に送付。回答があった43社のうち37社 は「今後は事業を行わない」などとし、サービスをやめた業者も出てきたが、「今後もサービスを継続する」旨の回答をした2社が今回、訴えられた。

 この日、原告側は東京都内で会見を開き、東野圭吾さんは「こんな違法な商売がまかり通ると、漫画家や小説家といった職業が成立しなくなる恐れがある」と訴えた。電子化された作品は容易にコピーされ、海賊版が大量に流通しかねないことも、作家側の不安を引き起こしている。

  自炊代行が横行する背景には、利用者にとって欲しい電子書籍の点数が、少ないという現状がある。出版業界に詳しい編集プロデューサーの山田順氏は「代行業者がもうかるのは、日本の電子書籍市場のサービスが乱立しており、単価も高いから。著作者保護のために提訴は当然だが、勝訴したとしても問題が解決するわけではない。電子コピーが容易な時代に対応した新しい著作権のあり方を検討する必要がある」と話している