12/01/20●ネットビジネスはSOPA/PIPAに抗議やストライキで対抗。議会も割れる大騒動に! 印刷

SOPA/PIPA法案をめぐって、アメリカのネットビジネス、議会は大騒ぎになっている。最近では、Wikipediaが抗議して1月18日を「ブラックアウト・デイ」としてサービスを停止、サイトを1日閉鎖したが、これまでも、グーグル、アマゾン、フェイスブックなどの名だたるネットビジネスも続々と抗議をしている。そうして、20日には、ネット関連企業による大規模なストライキも行われた。

  Wikipediaの抗議画面

  SOPA/PIPA というのは、現在アメリカ議会下院で審議中のSOPA(Stop Online Piracy Act)と、同上院で審議中のPIPA(Protect Intellectual Property Act)のこと。二つ合わせて、これまで野放し状態だったネットの著作権使用の規制を大幅に強化する内容になっている。といってもネットには国境がないので、アメリカ国外にある著作権侵害コンテンツを含むサイトへのアクセスを遮断する条項も入れられている。

  SOPAは、テキサス州の共和党員で下院法務委員会議長でもあるラマー・スミス(Lamar Smith)議員が去年の10月26日に提案。その後、下院両党の賛成票を集め法案を可決するために11月16日に聴聞会が、12月15日にマークアップ(法案の最終詰め段階)が開かれてきた。PIPAはSOPAの上院版とされ、内容は大差ない。

  SOPAのだいたいのポイントは、以下のとおり。

  ・著作権侵害コンテンツを含むサイトへのアクセス遮断をISPに命令できる(DNSブロッキングなどによってISPが通信を遮断する)。

  ・サイトに著作権侵害コンテンツが1つでも含まれていれば、(条文の解釈によっては)サイト全体を停止できる。

  ・著作権侵害コンテンツへの資金提供を停止させることができる。たとえば、グーグルやペイパルなどに、著作権侵害コンテンツを含むサイトとの取引停止命令を出せる。

  ・検索エンジンの検索結果から著作権侵害コンテンツを含むサイトの削除を命令できる。

  ・著作権侵害コンテンツのホスティングだけではなく、著作権侵害コンテンツへのリンクも対象となる。

  これが実施されると、ウェブ上のコンテンツホールダー(映画、音楽、ゲーム、書籍、ソフトなど)にとっては、大きな武器になる。たとえば、ある音楽業者が「うちの楽曲がインドのサイトで違法ダウンロードされている」と訴えれば、グーグルはそのウェブページが検索にかからないようにする必要があり、ペイパルはそのページの決済を取りやめるよう、広告業者にそのページの広告を取り下げるようリクエストしなければならない。これが面倒なら、そのページをブロックしてアクセスさせなくすることも可能になる。

 だから、「これはネットの自由を侵害する。ネットの自由を守れ!」と、ネットビジネスは猛反対してきた。

  オバマ大統領も自身のブログで「表現の自由を抑制し、サイバー・セキュリティ・リスクを高め、ダイナミックで革新的なグローバルなインターネットの基盤を損なう」と表明してきた。ただ、拒否権を行使する気はないので、法案が修正されれば、法案を支持する可能性もある。現在アメリカでは、大統領が非常時にインターネットを遮断することを可能にする法案も検討されているからだ。

  では、当の議会はどうだろうか?

  

  プロパブリカ(ProPublica)が調べたところ、SOPA-PIPAを支持する議員63名に対して、反対は122と急増している。以下が、1月19日PST 5:15PM現在(日本時間1月20日午前10時15分)にProPublicaが数えたSOPA賛成と反対の議員数だ。

  • 合計: 賛成63, 反対122
  • 上院: 賛成37, 反対22
  • 下院: 賛成26, 反対100
  • 民主党(上下院計): 賛成40, 反対55
  • 共和党 (上下院計): 賛成22, 反対