12/03/02●角川グループがアマゾン「Kindle」向け電子書籍の配信契約を締結 印刷

出版業界誌『新文化』が3月1日付で伝えたところによると、角川書店、アスキーメディアワークス、エンターブレイン、角川学芸出版、富士見書房、メディアファクトリーなど角川グループ傘下の全出版社が、アマゾンと電子書籍の配信に関する契約を締結した。

  この契約では、アマゾンが今後(4月とされている)日本で発売する「Kindle」上で、角川グループが提供する電子コンテンツを販売するほか、同サービスが対応 しているPCや各種スマートフォンなど、すべてのデバイスにも配信する。角川グループは1年越しにアマゾンと交渉してきたが、最大のポイントである「価格決定権」でアマゾンの要求を受け入れたという。つまり、エージェンシーモデルを放棄したわけで、電子書籍における日本の流通に与える影響を大きい。

  現在、講談社、小学館などが中心になって設立された出版デジタル機構は、価格決定権をあくまで出版社側が持つことを主眼としている。いずれにせよ、「Kindle」がいくらで売られるかもわかないので、今後の市場については予測不能だ。

  ただ、「Kindle」が1万円を切る値段(アメリカでは79ドル)で売られ、爆発的に普及すれば、状況は変わる。角川は日本の出版社として、先行者利益を独占する可能性がある。逆に売れないと、決断は裏目に出る可能性もなくはない。