12/03/08●電子書籍の利用経験はPCがいちばん――ジャストシステムの調査は市場と乖離 印刷

ジャストシステムが2月に実施した「電子書籍に関するアンケート調査」の結果を、3月7日に公開した。サンプル数は 2224件。このうちの約3割が、電子書籍の「利用経験がある」と回答。利用経験がないユーザーも、そのうちの半数は、「置き場所」「可搬性」などの観点から電子書籍の利用を検討しているという。

  また、電子書籍利用ユーザーの実際の閲覧環境としては、PCがほかを大きく引き離しており、スマートフォンやタブレットでの閲覧はまだそれほど浸透していないという結果になっている。さらに、日本版Kindleが発売された場合は、33.5%が購入を検討すると回答している。また、仮に電子書籍リーダーが無料配布された場合、約 88%が電子書籍の利用機会が増えるとしている。そのほか、電子書籍の価格に関する設問では、「紙の本の50%以下が妥当」とする回答が約8割を占めている。

 さて、この結果をどう見るかだが、結論から言うと非常に甘い調査としか言いようがない。PCで電子書籍を読む読者は、実際は減っており、現在の電子書籍の売り上げを支えているのは、ほとんどが携帯、スマホの読者だ。これは、私がマネージメントしている電子書籍制作の現場から見て、間違いない。いったい、なんでこんな結果になるのか? サンプルの取り方が間違っているとしか言うしかない。

  

  また、「電子書籍リーダーが無料配布された場合、約 88%が電子書籍の利用機会が増えるとしている」なんて調査は、する意味すらない。調査しなくても回答はわかる。いずれにしても、このようなネット上で回答を求めるアンケート調査の結果を鵜呑みにすると、市場を読み誤る。