12/03/24●朝日新聞社、全社員を対象に内線番号を割り当てたスマートフォンを配布で見えてくる「ハムスターの日々」 印刷

朝日新聞社のデジタル化は加速している。デジタル化によってコストカットと効率化を図ろうというのだ。その一環となったのが、全社員に内線番号を割り当てたスマートフォンを配布するというもの。これは、昨年12月に名古屋本社から実施され、2月末までにほぼ配布を終えたと、各種サイトで報じられている。配布されたのは、NTTドコモのスマートフォン「GALAXY SII」(韓国・サムスン製)だ。

    GALAXY SI

  この措置で、社内の固定内線端末は現行の3分の1程度となり、出稿や記事の点検などの業務がやりやすくなるという。全社員がスマートフォンを持つことで、業務用のメールをより手軽に閲覧できたり、社内業務専用アプリを提供したりすることで、作業の効率化も図れる。さらに、ツイッターやフェイスブックといったアプリがより使いやすくなるといったメリットもある。

  いまや新聞記者の必需品はペンでなく、スマホだ。こうなると、記者は記事を書くと同時にソーシャルメディアによるオンライン発信も行い、読者からの声にもリプライするというようなことまでしなければならなくなるだろう。それは、目が回る日々だ。

  アメリカでは、ここ数年で新聞記者の生活は激変した。ソーシャルメディアなどなかったころは、取材にも原稿にも時間が割けた。しかし、いまや取材は短時間で切り上げ、ネットに速報を送り、紙面原稿を書き、そのうえ記者ブログがあればそれを更新し、さらにツイッターでつぶやく。しかも、サラリーは上がらずボーナスも減額。

  hamster reporter

  こうした現実を、新聞記者たち自身が自虐を込めて「ハムスター・リポーター」と呼んでいる。カゴのなかで回り続ける回転車輪(ハムスター・ホイール)から永遠に脱出できず、走り続けなければならない生活。それが、ハムスター記者の生活だ。