12/04/25●講談社のネット新事業「プロジェクト・アマテラス」が始動 印刷

講談社が、この4月25日から、「プロジェクト・アマテラス」 という、ネット上で新人発掘をしたり、コンテンツをユーザーと共同でつくっていくというサイトを開始した。このサイト内にはさまざまなプロジェクトが立ち上がり、登録した一般ユーザーが、そのプロジェクトの制作に参加し、コンテンツをつくりあげていくようになっている。講談社では、公開数カ月以内に約50のプロジェクトを立ち上げるという。会員登録は無料だ。

 

開設にあたって、「プロジェクト『姑獲鳥の夏』」、「こんな書店さんがあったら絶対に行く!」など10以上のプロジェクトが用意されている。「姑獲鳥の夏」では、著者・京極夏彦氏の原作をもとに、今後の電子書籍のあり方を模索し、開発していくという。ユーザーは、デジタル化のアイデア、挿絵・写真、フォーマット、キャッチコピー案などを投稿。 それらを反映させながら、最終的に電子書籍として発売するという。

はたして、どれほどのユーザーが集まるのか?また、こうしたプロジェクトに参加するユーザーがどれほどいるのだろうか?いまのところ、まったく予測がつかない。ウェブの双方向性がこうしたことを可能にしているが、プロジェクト自体にユーザーのインセンティブがないと、ビジネス化は難しいのではないだろうか?いまところ、いちばんユーザーが集まっているのは小説投稿の「「ワルプルギス賞プロジェクト」だが、投稿作品はたいしたことはないようだ。電子書籍化をめざす「プロジェクト『姑獲鳥の夏』」には、投稿はほとんど来ていない。

  このような企画が出てくるのは、きまってIT側で、彼らはそれを旧大陸の会社に持ちかける。しかし、彼らはネットの可能性を限りなく追求しても、ビジネスになるかどうかは追求しない。なぜなら、彼らにギャラを払うのはユーザーではなく、旧大陸の会社や投資家だからだ。つまり、たいていは企画倒れで終わる。「プロジェクト・アマテラス」がそうならないように、願うばかりだ。