12/04/29●電子書籍普及に向けた「著作隣接権付与」を含む著作権法改正試案がまとまる 印刷

作家、出版社と超党派の国会議員らで構成する「印刷文化・電子文化の基盤整備に関する勉強会」(座長:中川正春衆院議員)はこのほど、電子書籍の普及に向けた著作権法の改正試案をまとめた。この試案の最大の注目点は、出版社に電子書籍の複製やネット送信、貸与を認める「著作隣接権」を付与すること。ただし、この権利を行使できるようにしつつ、作家側の声にも配慮して、いったん出版社に与えた権利を著作権者(作家)が引き揚げることも可能とすることなどを盛り込んでいる。

  試案で新設を検討している「出版物に係る権利」は、出版社が編集し発行する紙の書籍、雑誌と電子書籍、雑誌を対象とし、出版社に(1)複製権、(2)送信可能化権、(3)譲渡権、(4)貸与権――を付与するとしている。

 ただし、( 1)書籍の重版や電子書籍の発行などは作家の許諾を必要とする、(2)作家が出版社から権利を引き揚げ、別の出版社から同じ書籍を再発売すること を可能とする、(3)争いが解決できない場合に備えて、裁判外紛争解決手続(ADR)の仕組みを用意する――といった規定も盛り込まれている。