[162]日本、アジア、世界の富裕層ランキング(長者番付)を読む |
2013年 5月 10日(金曜日) 01:52 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
まずは、最近の画期的なトピックから。 先日、ロンドンから来たビジネスマンの方から「The Sunday Times」の25周年特別編集版「RICH LIST 2013」(金持ちリスト2013年)をもらった。これは英国とアイルランドの富裕層をランキングして網羅したものだが、英国の総合477位に、なんと日本人の浅井将雄氏(46)が入っているのに驚いた。おそらく、日本人がこのランキングに入ったのは初めてのことだと思う。 「RICH LIST 2013」http://www.thesundaytimes.co.uk/sto/public/richlist/
浅井氏は知る人ぞ知るヘッジファンドマネージャー。ロンドンに本拠を置く「キャプラ・インベストメン・マネジメント・エル・エル・ピー」Capula Investment Management LLP)の共同代表者だ。 浅井氏は、旧UFJ銀行(現三菱東京UFJ銀行)の出身。UFJ銀行と東京三菱銀行の合併が決まった際に、同僚の中国系アメリカ人ヤン・フー氏とともに14人を引き連れて独立。ロンドンでファンド設立以来、その運用利回りは年平均14%と、抜群の実績を残してきた。そのため、世界中の年金や政府系ファンドから資金が集まり、現在、その運用総額は「The Sunday Times」記事によると80億ユーロで、2011~12年で1億3800万ユーロの利益を上げている。浅井氏の資産総額は1億2500万ユーロとなっている。
■『週刊現代』日本の大金持ち「トップ100人」
毎年5月は、昔なら「長者番付」の発表があった。これは、高額納税者公示制度のことで、政府から発表されたが、2006年(2005年度分)に廃止された。それで、いまでは、雑誌が独自取材で番付発表を行うようになった。 いわゆる「富裕層特集」だが、これにもっとも力を入れているのが『週刊現代』。今年も『週刊現代 2013/05/11・18日号』は、「GW合併号特別企画 これが日本の大金持ち「トップ100人」 最新版 全国長者番付を掲載する」として、番付を掲載している。 このランキングのトップ10は次のようになっている。 1位:笠原健治(37歳、ミクシィ社長、資産1347億3200万円) 2位:篠原欣子(78歳、テンプスタッフ会長兼社長、資産751億8800万円) 3位:渡邉哲男(41歳、比較.com社長、資産715億8800万円) 4位:田中良和(36歳、グリー社長、資産658億3800万円) 5位:水野泰三(64歳、アルペン社長、資産625億5400万円) 6位:松本寶蔵(66歳、フジブレアム社長、資産528億9000万円) 7位:前澤友作(37歳、スタートトゥデイ社長、資産258億400万円) 8位:玉木康裕(63歳、タマホーム会長兼社長、資産202億900万円) 9位:南場智子(51歳、DeNA取締役、資産188億1900万円) 10位:高島秀一郎(55歳、共英製鋼会長、資産176億1500万円) このランキングの特徴は、笠原健治氏、渡邉哲男氏、田中良和氏、南場智子氏など、IT業界の第一人者たちが居並び、いまの時代を象徴する顔ぶれになっていること。そして、世代が若返っていることだ。
■『フォーブス』誌「Japan's 50 Richest(日本の富豪50人)」
長者番付といえば、アメリカ『フォーブス』誌(Forbes)が有名。『フォーブス』誌では、2013年4月3日に、「Japan's 50 Richest(日本の富豪50人)」を発表している。1位は前年に続いてファーストリテイリングの柳井正社長で、資産155億ドル。2位サントリー佐治忠信社長、3位ソフトバンク孫正義社長など、5位まで前年と同じ顔ぶれが並ぶ。『週刊現代』でランクインしたIT長者では、グリーの田中良和社長は15位(前年7位)、スタートトゥデイ(ゾゾタウン)の前澤友作社長は42位(前年ランク外)となっている。 以下が、ランキングトップ50人である。
(Japan's 50 Richest 2013, Forbes)Japan's 50 Richest
■世界長者番付億万長者ランキング 2013年
なお、『フォーブス』誌は「日本の富豪50人」発表に先立つ2013年3月4日に2013年版「The World's Billionaires(世界長者番付)」を発表している。これによると、1位は前年同様メキシコのカルロス・スリム氏で、資産730億ドル。2位ビル・ゲイツ氏、資産670億ドル、3位アマンシオ・オルテガ氏、資産570億ドル(約5.3兆円)となっている。
このランキングでは、資産10億ドル以上の億万長者は1,426人で、純資産合計5.4兆ドルで過去最高。国別では、アメリカ442人(前年425人)、日本22人(前年24人)、中国122人(前年95人)、韓国24人(前年20人)、台湾26人(前年24 人)、フランス24人(前年16人)、ドイツ58人(前年55人)、イギリス37人(前年37人)、ロシア110人(前年96人)などとなっている。日本は前年より2人減り、台湾・韓国は前年より増えて人数では日本より多くなった。 以下が、そのランキングの20位までである。
(The World's Billionaires 2013, Forbes)The World's Billionaires
■成長表しいアジアの「アジアの大富豪/富裕層」
『フォーブス』誌の「世界長者番付」を見ると、成長表しいアジアに大富豪や富裕層がどんどん誕生しているのがわかる。そこで、ランキングからアジアの大富豪たちを上から見ていくと、次のようになる。 彼らに共通するのは、いずれも香港ベースであこと。華人であること。主に不動産で財をなしたことだ。これは、日本の最近の富豪たちとは大きく異なり、また資産額も巨大だ。日本とは、ヒト桁違っている。 香港や中国では相続税や固定資産税のような資産税は一部を除いてない。このことが、華人大富豪が不動産投資で巨額の富を築ける原因になっている。 かつて、『フォーブス』誌のランキングでは、アジアでは日本人が1位を占めていたことが多かった。また、堤義明氏(西武グループ・元総帥)、森泰吉郎氏(森ビル・元社長)は、世界ランキング1位だった。まさに、時代は大きく変わっている。
■世界の富は先進国から新興国へ移る
米シティグループと英不動産コンサルタント会社のナイト・フランクが、2013年3月末に発表した「2013年版ウェルス・レポート」によると、1億ドル以上の可処分資産を持つ超富裕層(ビリオネア)の人口で、アジアが初めて北米を抜いた。 北米のビリオネアの人数は1万7000人、欧州が1万 4000人。これに対し、アジア(中国や日本、東南アジア)のビリオネアの人数は1万8000人となっている。また、2016年の予測では、アジアが2万 6000人に増加するが、北米は2万1000人、欧州が1万5000人に留まるとされている。 また、3000万ドル以上の資産をもった富裕層(HNWI:High Net Worth Individual=$30M)の数は、次の順になっている。北米6.6万人>欧州5.4万人>アジア4.4万人>ラテンアメリカ1.5万人>中近東4700人>オーストラリア4000人>アフリカ2500 人となっている。10年後の予測も示されていて、2020年には、世界のHNWI数は50%の伸びを示し、なかでもアジアとラテンアメリカのHNWI数は88%アップするという。 このレポートでは、2050年の世界のGDP総額上位10カ国の予想も示されている。それによると、2050年には、上位10カ国に入る先進国は米国と日本のみ。ほかの8カ国は現在の新興国である。とくに、インドや中国のGDPは、現在の日本の20倍程度、米国の6倍程度になると予想されていて、思わず「本当なのか?」と目を疑う。 経済は国家体制、社会体制に大きく影響されるので、中国、インド経済がここまで大きくなるとは言えないが、新興国全体でみると、こちらに世界の流れはシフトしていくの間違いないだろう。
前記のナイト・フランクのレポートでは、アジアの3000万ドル以上の富裕層(HNWI)の動向(人数)を2012 年(実績)と2022年(予測)で比較している、これを見ると、今後、どのような国で富裕層が増えていくのかがわかる。 以下が、伸び率によるランキング(上にある緑色の表をテキストに起こしたもの)。
国・地域、 2012年 2022年 伸び率(%)) それに対して、ミャンマー、インドネシア、モンゴルの伸び率は凄まじい。とくにインドネシアは、今後、急成長すると見られている。 10億ドル以上の大富豪人口でも、2012年の31人から22年には90人まで増加し、アメリカ、 中国、ドイツ、イギリス、インド、ブラジル、ロシア、香港に次ぐ世界9位に入ると予測されている。資産3000万ドル以上の富裕層だと、2022年の富裕層人口は中国、インド、日本に次ぐ域内4位となり、香港、シンガポールを上回るというのだ。 インドネシアには2億4000万人という巨大な人口がベースにあり、平均年齢も若い。もし、この予測通り富裕層が増え続ければ、インドネシアに隣接する現在の富裕層大国シンガポールが、2022年世界ではアジアの中心になっているだろう。
■富裕層の多い都市ランキングにも変動が
ナイト・フランクのレポートでは、HNWIの多い上位30都市圏のランキングも発表されている。これによると2012年のランクは、1位はニューヨークの7580人、続いて、2位ロンドン6015人、3位東京5440人、位サンフランシスコ4590人、5位ロスアンゼルス4520 人、6位香港3205人、7位大阪2970人、8位パリ2860人、9位シカゴ2615人、10位メキシコシティ2585人となっている。 が、これが2022年(予測)になると、6位北京、7位ムンバイ、9位サンパウロ、10位リオデジャネイロと、新興国4都市がトップ10にランク入りして、大阪、パリ、シカゴ、メキシコシティが圏外に落ちる。 |
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