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[185]エコノミックポルノ読者のために、アベノミクスは「買い」なのか検証する
2013年 10月 01日(火曜日) 00:56

前回のブログ記事を「ヤフー個人」にもアップしたら、「ついこの間までアベノミクスを叩いていたかと思えば、安倍さんのスピーチが魅力的だと持ち上げている。日本の言論人だの、知識人だのというのは、こんなのしかいないのか?」というトンチンカンな内容をツイートした人間がいた。

 つくづく、ツイッターは「バカ発見器」だと思った。「バカ発見器」とは、『日本が世界一貧しい国である件について』の著者・谷本真由美さんも言っている。ついでに言わせてもらえば、最近はアマゾンレビューも「バカ発見器」と化している。

 ツイートする人間は、モノを深く考えない。瞬間反応である。前回ブログのタイトルは「安倍首相のNY演説に驚嘆!アベノミクスが成功すれば世界史が変わる!」だが、私は、演説はよかったとしても中身はどうか?と疑問を投げかけ、いまのままではアベノミクスが成功するはずがないと言ったのである。

 つまり、タイトルおよび本文は反語表現である。異次元緩和でカネを刷り、それをバラまくだけででは経済は復活しない。復活したら世界史が変わる出来事だと言ったのだ。それを、アベノミクスを持ち上げていると取るのだから、こうした読み手は読解力ゼロだ。

 そうでなければ、エコノミックポルノ本に洗脳されているかどちらかだろう。

 

■情弱読者を狙って「日本は素晴らしい」と洗脳

 

 最近は、「日本経済が最強」「日本経済だけがなぜ復活できるのか」「日本大復活の真相」「アベノミクスで超大国日本が復活する」などという経済本がよく売れている。しかし、これらはすべて希望的観測に基づいて書かれており、書店の経済本のコーナーに並べられていても、経済本と言うのも怪しい本だ。

 なぜなら、著者は実体経済をほとんど見ておらず、初めにタイトルありきで本を書いているからだ。確かにデータは載っている。しかし、都合のいいものしか載せていない。それでも、情弱読者はこれらの本の内容を信じ込む。

 なにしろ、日本国債はいくらでも刷っていいし、国は際限なく借金でき、お金をバラまけば景気はよくなると言うのだから、読んでいて嬉しくなってくる。この国に生まれてよかったと、読んで癒されるのである。

 しかし、これらの本には「癒し効果」はあっても、それ以上の効果はない。

 だから、私は、これらを「エコノミックポルノ」と呼んでいる。

 私はかつて編集者だったから、なぜこのようなエコノミックポルノが大量生産されるのか熟知している。ここで、そんなことを書いてもどうしようもないので書かないが、エコノミックポルノを読めば、日本はすごい国で、その日本に生まれた自分はすごいと錯覚できる。反日の韓国・中国より、日本はずっとすごい国なのだと溜飲が下がる。

 しかし、日本政府自体は、そうした読者をけっして救ってはくれない。

 前記した谷本さんは、世に溢れる自己啓発本を「キャリアポルノ」と呼んでいる。なぜ、彼女がそう呼んだのかわかれば、私が「日本経済最強本」の類いをなぜエコノミックポルノと呼ぶのかわかるだろう。

 

■アベノミクスは買えない、これだけの事実

 

 さて、安倍首相はNY証券所でのスピーチで、「Japan is back」(日本は帰ってきた)とし、「世界経済回復のためには3語で十分です。バイ・マイ・アベノミクス(アベノミクスは買い)」と力強く宣言した。

 では、アベノミクスは本当に「買い」なのか、エコノミックポルノの読者のためにも、現時点で検証してみよう。

 まず、安倍首相が就任以来、円安になり、株価は上がった。昨年のいま頃と比べれば、日本経済を取り巻く状況がよくなったことに異論はない。しかし、それは円安の恩恵を受けた企業の業績が上がったことと、株価上昇でもともと「持っている者」の資産が増えただけのことで、実体はなにも伴っていない。

 一般国民、つまり、私たち「持たざる者」はなにか恩恵を受けただろうか?

 以下、最近のニュースからいくつか拾ってみよう。

 

★日本一の企業トヨタの国内生産・販売とも減少

 8月の自動車各社の生産・販売台数が発表され、トヨタの業績が以下のようになっていることがわかった。

 国内生産 −10.9%(233,514台)

 国内販売 —12.6%(107,872台)

 海外生産  —0.5%(429,086台)

 輸出    −0.3%(138,561台)

 国内生産・販売とも、2ケタも減少。海外生産と輸出も減少している。しかし、トヨタの業績は上がって利益も増大している。ということは、その原因は円安の効果以外に考えられない。つまり、円安がなければ、トヨタは業績を落としていたことになる。

 しかし、エコノミックポルノに洗脳されると、トヨタは史上最強の日本企業として、華々しく復活したことになるのだ。

 

★東京エレクトロン 世界最大手と経営統合へ

 9月25日、半導体の製造装置メーカーで世界3位の「東京エレクトロン」は、世界シェアトップのアメリカの「アプライドマテリアルズ」と経営統合したことを発表した。しかし、これは経営統合ではなく、アプライドに買収されたに等しい。なぜなら、新会社株の68%はアプライドが握ったからだ。

 これで、かつて世界一を誇った日本の半導体産業は、ほぼ壊滅した。東京エレクトロンのようなファブレスもダメとなれば、この分野における日本の復活はない。

 

★ルネサスの早期退職希望者が計画を下回る

 日本最後の半導体メーカーとなったルネサスは、8月から2度にわたって実施してきた早期退職優遇制度への応募結果を発表した。それによると、応募人数は2316名で、3000人という計画に届かなかった。これは、なんとしても会社にしがみつこうという人間が多いということを現している。

 こうなると、「追い出し部屋」に行くしかないが、ソニー、パナソニックなどの「追い出し部屋」も、もう人が溢れて限界になっている。

 

★消費者物価0.8%上昇(8月)、デフレ脱却か

 総務省が9月27日発表した8月の全国消費者物価指数CPI、2010年=100)は、値動きが激しい生鮮食品を除いたベースで100.4となり、前年同月に比べて0.8%上がった。これで3カ月連続の上昇。電気料金が上がり、テレビやパソコンを含む娯楽用耐久財が約21年ぶりに下げ止まった。

 このことで、甘利明経済財政・再生相は、同日の閣議後会見で、「長いデフレから脱却しつつある」との認識を示した。

 デフレ脱却ということは、インフレがやってきたということである。とすれば、給料が上がり、預貯金金利が上がらなければ、今後、「持たない者」の生活は苦しくなる。それなのに、メディアは最近、物価高とは書かず、「プラスに転じた」などと書く。だから、エコノミックポルノ読者は、これをデフレ脱却でいいことが起こっていると勘違いしている。信じ難いことだ。

 以下、値上がりした主なものを列記してみよう。

 

 ・電気代 前年同月比8.9%

 ・ガソリン代 13.2%

 ・ハム・ソーセージ 平均8%

   ・  冷凍食品 3〜7%(最大10%値上げ)

   ・  輸入ワイン 約5〜10%  

   ・  牛乳 最大4%

 

★物価の優等生「鶏卵」が高騰

 9月29日、卵の価格下落を防ぐため、鶏の処分に国が奨励金を交付する農林水産省の制度の反動で、卵の価格が昨年の同時期と比べて 5~2割も値上がりしていることがわかった。

 

★消費者態度指数、3カ月連続悪化 8月の動向調査

 内閣府が9月9日発表した8月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は43.0となり前月から0.6ポイント低下した。これは、3カ月連続の悪化だ。

 

★サラリーマン年収 2年連続減

 9月27日 、国税庁が発表したところによると、サラリーマンなど民間企業で働く人の去年の平均年収(2012年)は408万円で、前の年より1万円少なく、2年連続で減っていた。これは、ピークだった平成9年の467万円に比べて59万円も少ない。

 

■景気が回復すれば給料は上がると錯覚できる

 

 もし、アベノミクスで「持たざる者」に恩恵があるとすれば、給料が上がるという一点である。しかし、そんなことが本当に起こるだろうか?

 あなたが、たとえば自動車会社の社長となって考えてみてほしい。円安による為替差益だけで利益が増大した分を、社員の給料アップに反映させられるだろうか? もし、そんなことをしたら、次に円高になったときどうやって給料を下げるのか?

 さらに、食料品会社の社長になって考えてほしい。輸入物価が上がって仕方なく製品価格を上げている。そんななかで、どうやって社員の給料を上げるのか?

 それでなくとも、日本は人口減社会で、消費は日一日と減っている。つまり、国内市場に立脚している企業の売上と利益は減らざるをえない。そんななかで、どうやって給料を上げられるのか?

 一部、勝ち抜く企業での給料のアップはあるだろう。しかし、日本人全体の平均給料が上がるなどというのは夢物語だ。しかし、エコノミックポルノを読んでいると、景気が回復すれば給料は上がると錯覚してしまう。

 

■国家と自分の運命を一緒だと考える情弱

 

 エコノミックポルノの読者は、自分の人生と国家の命運が一緒だと思い込まされている。このグローバル化の世の中で、日本一国だけが栄えることが可能だと信じ込まされている。だから、現実を見ないし、見られなくなっている。したがって、なんの努力もしない。 

 また、彼らは新自由主義が悪い。市場原理主義が悪いと信じ込まされている。冗談ではない。日本経済がここまで衰退したのは、政府が市場原理に逆らって、無理矢理、経済に手を突っ込み、カネをバラまいたり、増税したりした結果だ。放っておけば、落ち着くものを、過剰に介入した結果だ。

 アベノミクスは、それを大規模にまだ続けようというのだ。

 たとえば、学校のテストで100点を取った生徒に、取り過ぎだからと20点を取り上げて、80点にする。そして、取り上げた20点を、50点以下しか取れなかった生徒に与える。しかし、こんなことをすれば、この学校の生徒は誰も努力はしなくなるだろう。日本経済が衰退したのは、人口減という大きな原因もあるが、これをやり過ぎた結果だ。バラマキのやり過ぎなのだ。

 日本国民は馬鹿ではない。政府が経済に介入しなければ、ここまで衰退しなかった。つまり、新自由主義、市場原理が働かなかったので、ここまで衰退したのだ。

 

■エコノミックポルノは人間としてのモラルを破棄する

 

 カネを刷ってバラまけば景気が回復する。そして、経済成長できると、あなたは本当に信じられますか? アベノミクスはまだ「第三の矢」に達していない。第三の矢で必要なことは、思い切った規制緩和と国民の血と汗を流す必死の努力だ。

 つまり、外国人、移民を受け入れ、外資を呼び込み、東京を本当の意味での国際都市にするようなことだ。

 しかし、政府は本気でそれをやるだろうか?

 そして、甘えるだけ甘えてきた日本国民が、そんな大胆な規制緩和を受け入れるだろうか?

 前回のブログで書いたように、このままの状況でアベノミクスが成功すれば、今後、世界どこの国も緊縮、財政均衡などやらなくなるだろう。ギリシャもスペインも、現在緊縮財政に転じているイギリスでさえ、バカらしくてなんの努力もしなくなるだろう。ドイツのメルケル首相の言うことは、誰も聞かなくなるだろう。借金はしたもの勝ちだからだ。

 エコノミックポルノを読み過ぎると、「借りたお金は返さなくてもいい」ことになり、人間としてのモラルも破壊される。

 

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