[204]W杯初戦負け。予想された敗戦なのにそれを伝えず、完敗したのに「完敗」と言わない“言霊信仰”が腹立たしい |
2014年 6月 17日(火曜日) 00:11 |
だから、普通なら、日本のメディアも「日本、予想通りの敗戦」あるいは「日本、完敗」と書くべきだろう。それほど、日本チ―ムの負け方はひどかったし、とくに後半は、手も足も出なかったと言っていい。 ところが、日本のスポーツマスコミの見出しに「完敗」の文字はなかった。また、多くのテレビ番組も、「惜しかった」という編集の仕方をしていた。実際、そう言って悔しがるコメンテーターばかりだ。しかも彼らの多くは、「まだ次がある」「終わったことは忘れよう」と言うだけで、まったく批判精神というものがない。
私が見た限り、今回は、実力不足もあるが、完全な戦略、戦術ミスを犯したうえの敗戦ではなかろうか。とくに指揮官、コーチ陣はなっていない。 また、日本の特徴は「チームワーク」「心を一つにした戦い方」とされるが、今回はバラバラに見えた。おそらく各選手は、それほど仲などよくなかったのではないか。もしそうなら、そういうことを報道しないのは、日本のスポーツマスコミの常道だ。 しかし、これらを指摘した人はほぼいない。
さらに、この敗戦で日本は、よほどの幸運に恵まれない限り、予選リーグ突破の可能性はなくなった(初戦黒星の予選突破の確率は約8%:『日刊スポーツ』6月16日)というのに、それを誰も言わない。日本のW杯は事実上「終わった」と言っていいのに、それを口にしない。言うと、スポーツ新聞は売れず、テレビは視聴率が取れないこともあるが、実際は、言ってはいけない雰囲気になっている。 これは、やはり、不吉なことは考えない、言わないという日本人独特の「言霊信仰」があるからだろう。 不吉なことを言う、あるいは考えること自体が、不吉なことを招き寄せると考える。これが言霊信仰だ。だから、冷静な予想をし、「今回は負けるだろう」と言うと、周りから「敗戦を望んでいる」と受け取られ、ヒンシュクを買ってしまう。こうして、実現してほしくないことは、けっして口にしないという言霊信仰が、スポーツ報道を歪めている。
しかし、もういい加減に、この言霊信仰はやめるべきだろう。そうでないと、選手もかわいそうだし、私たちも不幸になるばかりだ。言霊信仰によって、選手は自分たちの実力が通用しないとは口に出せないし、メディアも専門家も冷静な予想ができない。 それで試合前は、「勝てますよ」「いや必ず勝てます」というようなコメントばかりになる。過剰に期待を煽り、あたかも勝てるようなムードがつくられる。 日本のスポーツ報道は、ともかく応援一辺倒である。これはジャーナリズムではない。「がんばってほしい」式の報道ばかりでは、逆に選手のプレッシャーにもなる。
また、言霊信仰に捉われると、戦いにとって大事な敗戦から学ぶということがおざなりになる。不吉なことは口にしてはいけないので、負け戦は検証されない。敗因は究明されない。なぜなら、負けたことは忘れるべきことであって、それ以上ではないからだ。 これを続けると、また同じ失敗を繰り返す。 私はサッカーファンではない。だから、今回の敗戦に関して思うのは、こんなことしかない。ただし、これは極めて重要だと思う。サッカーの戦略、戦術などより、私たちがもっと考えなければならない問題だと思う。
そこで、この言霊信仰から脱して、日本が本当に世界のトップクラスを目指すためにはどうしたらいいだろうか? それは、日本の組織やスポーツが持つ「純血主義」を捨てることだ。日本人だけで日本代表チームをつくり、それで世界と戦うのには限界がある。ならば、世界の優秀な人間に日本人になってもらえばいいのだ。 つまり、移民をもっと受け入れれば、言霊信仰などなくなる。彼らはそんなものは、はなから持っていないからだ。 しかも、サッカーに関して言えば、フィジカル面でも戦術面でも日本代表は強くなるはずだ。すでに欧州の代表チームでは、フランス、イングランド、ドイツ、オランダ,ポルトガルなど、みな移民が大活躍している。
すでに日本でも、ブラジルの日系3世の田中マルクス闘莉王選手など、日本国籍を取得してW杯で日の丸をつけてプレーした選手もいる。ならば、日本はもっとスポーツ移民制度を充実させるべきだろう。さらに、一般の移民もどんどん解放すべきだろう。 そうしたほうが、はるかにスポーツも、実社会も充実し、楽しいものになると私は思う。 しかし、これは現状では少数意見だ。日本は、このグローバル時代に鎖国主義を続けている。 |
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