G1予想[019]第140回天皇賞(11月1日) |
10月28日記
府中の魔物にさらわれるウオッカ。ならば買うしかない!
秋の天皇賞ほど、多くの改正がなされてきたG1競走はない。なにしろ、昔は春と同じく3200mで行われていたのだ。それが1981年、ジャパンカップが創設され、グレード制が導入されたことにより、1984年からは2000mの中距離戦となり、勝ち抜け制度もなくなった。また、1987年からは、出走資格を4歳(現3歳)以上牡馬・牝馬に変更したので、それまで出走できなかった3歳馬が古馬と激突するようになった。そしてその後、地方馬、外国産馬、外国馬にも開放されて今日にいたっている。
しかし、このように多くの改正がなされたにもかかわらず、外国馬の参加がいまだにないのは、とても残念だ。今年も1頭も参加がないということは、このレースはいまだに「日本の中距離チャンピオン決定戦」にすぎない。 東京競馬場、府中の森は、この天皇賞からジャパンカップにかけての秋のシーズンがいちばん気候がいい。秋風もさわやかに吹き抜け、芝生の色もあざやかだ。そんななか、外国馬も参加した天皇賞を見たいと、私はずっと思ってきた。天皇賞に外国馬が参加すれば、当然、ジャパンカップまでいるだろう。
天皇賞からジャパンカップへというステップをつくらなければ、いつまでたっても、ジャパンカップだけが国際レースとして単独で存在するという、間抜けなレース体系となってしまう。近年、ジャパンカップの価値は下がり続け、外国馬の質も落ちている。インビテーショナルなのにこのざまだから、情けないというしかない。
私は、欧州やアメリカの競馬より、日本の競馬のほうが質が高く、はるかに面白いと思っている。それなのに、国内のレース体系が貧困だから、日本最強馬は名誉を求めて凱旋門賞などに遠征する。凱旋門賞はG1レースとしては、もっともつまらないレースである。ただ、そこに欧州の名馬が集まり、華やかなお祭り気分があるから、各国の競馬関係者の目標になるにすぎない。あんなレースに勝つために、競走馬を養成していくバカバカしさを考えたら、日本に外国の最強馬を呼び込むようにしたほうがよほどマシだ。 JRAは、もっとマーケティングを考え、このグローバル時代に適した競争体系を確立すべきだ。たとえば、法的問題があるにせよ、レースが毎週の土曜日曜の2日間しかないなどというのはバカげている。5日間開催ぐらいにしないといけない。それから、G1は1日に少なくとも3レースぐらい行うべきだ。毎週1つしかやらず、それを「いよいよG1ウィーク開幕、これからは5週連続」などと言っているマスコミは、本当になにも考えていない。
というわけで、天皇賞の予想に入るが、前記したように、このレースは「日本の中距離チャンピオン決定戦」である。府中の2000メートルは枠順に不利有利があるが、それを差し引きしても、2000mに適したスピード馬を選ぶのが、予想の王道だ。思えば、2000mに距離が短縮された最初の天皇賞(第90回)は、ミスターシービーが1番人気で優勝した。それまで1番人気は19連敗したが、あの追い込みは忘れられない。
「府中の森には魔物が住む」と言われ、秋の天皇賞は荒れるというイメージがある。メジロマックイーン、サイレンススズカはこの魔物にさらわれた。しかし、最近では、1番人気はよく来ているので、魔物もしばらくは休眠中ということなのだろう。 が、もうそろそろ魔物が起きてもいい頃だとは言えまいか。ウオッカが2連覇できるかできないかは、この魔物次第である。メジロマックイーンもサイレンススズカも武豊が騎乗していたことを思うと、不安はどんどん募る。 そこで、私が今回買うのは、ウオッカだ。魔物が目を覚まし、ウオッカが着にも来ないなら、買うしかないだろう。負けるために馬券を買う以上、結論は当然こうなる。つまり、今回は、誰もが「着には来るだろう」と考えるウオッカから馬連の総流しを買って、「やっぱりね。だから言っただろう」と言ってみたい。
じつは、本当ならウオッカを真っ先にハズし、オウケンブルースリ、アサクサキングス、エイシンデュピティ、キャプテントゥーレ、ヤマニンキングリーの5頭を候補馬に選んでいた。この5頭の組み合わせの馬連すべてを買おうと考えていた。 というのは、この5頭は、ヤマニンをのぞいていずれもG1馬だから実力は十分である。さらに、天皇賞にふさわし馬名を持っているからだ。
オウケンブルースリは「オウ」(王)、アサクサキングスは「キング」(王)、エイシンデュピティは「デュピティ」(副官、代理)、キャプテントゥーレは「キャプテン」(隊長、リーダー)、ヤマニンキングリーは「キング」(王)である。この5馬のなかでは、前走の毎日王冠で死んだふりをして人気を落としているヤマニンキングリーがいちばんこわい。本当は、この馬が今回の天皇賞馬ではないかと思う。 もし、こっちが本当に来たら、どうしようか? |