[290]日本経済は成長していない、できない。「戦後2番目の景気拡大」は現実無視! |
2017年 12月 17日(日曜日) 18:19 |
あっという間に「年の瀬」である。寒さもいよいよ本格化してきた。今週はクリスマス、そしてすぐ大晦日だ。 メディアによると、いまの日本の景気はいいのだという。1カ月ほど前、「景気拡大がいざなぎ景気を超えた」というニュースがあった。9月の経済データが出そろい、2012年12月から続く景気回復が戦後2番目の長さになったことが確定したためだ。そして、それと歩調を合わせるように、つい先日、日経平均株価は25年ぶりの高値をつけた。これでは、どのメディアも「景気がいい」と書かざるをえない。 しかし、日本の景気がいいはずがない。景気がいいのは、おカネが回っている一部だけで、一般庶民の暮らしはまったくよくなっていない。
日本経済新聞は今週「景気 脱デフレへ薄日」とう連載記事を4回にわたって掲載した。以下がその4回のタイトルだが、タイトルだけを見ると「景気がいい」と思える。
(1)動き出す設備投資・雇用 成長へ好循環の兆し(12月12日) (2) 中間層に動きじわり 消費、節約から体験へ(12月13日) (3)訪日客効果、地方潤す 人手不足、取りこぼし懸念(12月14日) (4)世界プラス成長そろい踏み 好景気が隠すリスク(12月15日)
しかし、この記事をよく読むと、日本の景気が本当にいいとはどこにも書いていない。むしろ、悪いと読める。なぜなのだろうか? 理由はあまりにも単純だ。一般庶民が使えるおカネが増えるどころか減っているからだ。名目で少々上がっても、実質賃金はかえって下がっている。それに、消費税増税の負担、社会保険料の負担増が追い打ちをかけ、家計の可処分所得がまったく増えていないからだ。 こうした現実を無視して、安倍内閣はここ5年「アベノミクスは成功している」というアナウンスを繰り返してきた。このアナウンス効果は、心理的には効き目があった。しかし、日本が直面している大問題、「少子高齢化」が解決できないかぎり。景気回復などありえないのだ。 どんな経済データよりも、人口データは重要だ。人口が減る、しかも生産年齢人口がどんどん減る国で、経済が拡大するなどということが起こるわけがない。
総務省のデータによると、2016年は出生数が初めて100万人を割って98万人になった一方で、死亡者数は過去最高の130万人を記録している。つまり、現在の日本では年間30万人以上の人口が失われている。 人口30万人といえば、地方の中規模都市の人口に匹敵する。こうした都市が1年に一つ消えていくとうことはその分の消費も消えてなくなるわけだから、経済成長するわけがない。 アベノミクスの「新・第3の矢」で唱えられたGDP600兆円は、あまりにも非現実的だ。もちろん、数字だけなら、急激なインフレと超円安で達成できるが、そのとき庶民生活は窮地に陥る。 というわけで、「現在の世界経済がどうなっているのか? そして今後どうなるのか?」を12月3日発行のメルマガに書いたので、それを以下、再録しておきたい。
-------------------------------------------------------------------------- 山田順の「週刊:未来地図」No.339 2017/12/05 アメリカの好景気はいつまで続くのか?そして日本は---?
■税制改革法案の可決を市場は大歓迎
まず、アメリカの状況から見ていきたい。 先週の時点で、アメリカ経済を考えるうえでの最大のニュースは、12月1日に、ついに税制改革法案(=減税法案)が上院で可決されたことだ。これは、トランプが共和党とともに通した初めての重要法案で、これでなんとかトランプは大統領としての格好をつけたと言っていい。なぜなら、これまでトランプは口先だけで、重要法案を1本も通したことがなかったからだ。ただし、今後、上院案と下院案を1本化する必要があり、この調整に手間取るだろうと見られている。 それでも今回の税制改革法案(=減税法案)の上院可決に意味があるのは、これを市場が大歓迎したということだ。それも当然、この法案の柱は、法人税率を2019年に35%から20%に引き下げることだからだ。実際、この法案成立への期待感から、NYダウは上がり続け、11月30日に、ついに史上初となる2万4000ドルの大台を突破した。 トランプが大統領に当選した昨年11月のNYダウ平均は1万9762.60ドルだったから、この1年間でなんと4000ドル以上も上がったことになる。さらにさかのぼって、昨年1月のNYダウ平均を見ると1万6466.30ドルだったから、 この2年間での上昇率は、まさに急階段を登るような勢いだった。
■景気はいいが一般庶民の暮らしは厳しい
アメリカは日本と違って、家計資産に占める「株・投資信託」の比率が47%(日本は16%)もあるから、株価の上昇は可処分所得の増加に結びつく。つまり、一般庶民にも恩恵は回るので景気はいいとなる。 ただし、一般庶民の大多数を占めるミドル以下の人々までは、恩恵が及ぶかどうかは微妙だ。ちなみに、2016年のアメリカの家計所得の中間値は、約5万9000ドル(約670万円)である。この額をどう見るかには異論があるが、これがアメリカの一般庶民の平均的な所得ではないのはたしかだ。 ニューヨークで毎朝地下鉄に乗っていると、出勤する人々の群れの中に放り込まれる。そうして、人々の様子をじっくり観察すると、日本の通勤サラリーマン、OLと比べると、彼らのほうが貧しいのではないかと思う。とくにOLはそうだ。 冬のニューヨークでは誰もが黒かグレーのコートを着ているが、日本ではよく見かけるモンクレールやマッキントッシュのようなブランドのコートは少ない。 ニューヨークはとくに物価が高い。いくら給料が上がっても、家賃や食費などで暮らしはいっぱいいっぱいだ。金融マンや弁護士などの専門職をのぞいて、単なるオフィスワーカーの給料は高くない。 それで、朝はカフェで1杯1.5ドルのコーヒーと1本50セントのバナナを買ってオフィスに行く。スタバだとエスプレッソで1.95ドル、ラテで3.25ドルも取られるので、街角の安いカフェでコーヒーを買うのだ。
■上位1%の“中間層”(?)だけが恩恵を受ける
今回の共和党の税制改革法案では、法人税のほか、所得税も大幅に減税される。それで共和党は、「年収45万ドルの“中間層”」にかかる個人所得税の最高税率を39.6%から35%に引き下げることを、盛んにアナウンスしてきた。 「年収45万ドルの“中間層”」? そんな中間層がいるわけがないので、これには批判が殺到した。年収45万ドルといったら、上位1%に属すからだ。 結局、今回の税制改革で減税の恩恵を受けるのは、高所得のアッパークラスだけで、ミドルクラス(中流)以下は恩恵がないということになった。 政治サイト「POLITIFACT(ポリティファクト)」によると、年収7万5000ドル以下の家庭は長期的に増税になるという。 →http://www.politifact.com/search/?q=tax+bill また、『フォーチュン』誌によると、トランプ政権の閣僚らは合計15億ドルも減税され、トランプ自身の実質税率は4%以下になり、毎年数百万ドルの減税になるという。 さらに、減税しても富裕層の消費が増えて「トリクルダウン」が起こるかどうかは、やってみなければわからないという。歴史的に見て減税は景気をよくするが、トリクルダウンに関しては、エコノミストたちは懐疑的だ。
■アメリカ人は過去数年でもっとも楽観的
一般庶民に減税の恩恵が及びそうもないといっても、これまでの好景気が一般庶民の生活を潤しているのは間違いない。 先週のブラックフライデーから始まった年末商戦の消費は、ネットではなんと前年比で20%も伸びた。失業率は今年、過去17年間で最低レベルの4.1%となり、企業収益も堅調で、インフレ率も低いままだ。 ただ、原油価格だけがじわじわと上昇している。とはいえ、2014年夏に100ドルだったことを思えば、心配するほどでもない。アメリカ人は、昔のように消費文化にたっぷりと浸って暮らしているのだ。 このようなことから、11月29日に出た2017年7~9月期の実質国内総生産(GDP)改定値は、前期比年率3.3%増と、速報値から0.3ポイント上方修正された。パウエル次期FRB議長は、上院の公聴会に出席し、この好景気を受けて、今後も緩やかな利上げを続けていく方針を受け継ぐと表明した。 11月15日に発表された「ギャラップ」の調査によると、アメリカ人のほとんどが楽観的になっている。この調査では、経済が最重要問題と回答した人はわずか15%で、リーマンショック後の2009年以来、もっとも低くなった。そのため、レポートはこのように総括されている。 「現在のところ、失業率が低く、経済成長が持続し、株価が歴史的な高値を維持していることから、アメリカ人は過去数年のうちで、もっとも経済を心配していない」 「Mentions of Economic Issues as Top Problem Lowest Since 1999」→ http://news.gallup.com/poll/222299/mentions-economic-issues-top-problem-lowest-1999.aspx
■借金で回るバブル経済は必ず崩壊する
しかし、好景気が続くと必ず登場する「警告」が早くも発せられるようになった。米メディアを検索していくと、そのような警告に出会う。 どの警告も問題視しているのが、量的緩和のやり過ぎで債務が膨らみ、その反動が必ず来るというものだ。実際、アメリカの家計債務は、現在、過去最大規模に膨れ上がっている。 もちろん、いくらテンパーリングに入ったとはいえ、最大の債務者はFRBである。FRBの総資産規模は歴史的に見て最高水準であり、GDP比では20%を超えている。これを正常化する、つまりが金融危機前の資産規模に戻すには、ざっくりあと5~10年はかかるとされている。 つまり、アメリカ経済は完全に借金で回っているわけで、いつ消費が減少に転じてもおかしくないと言うのである。事実、家計の債務である自動車ローンやクレジットカードローンなどの延滞率は、最近、じわじわと上昇し始めている。 そしてさらに、警告者は、いまの株価はバブルだと言う。リーマンショック後の株価は借金バブルによって支えられ、それがここまで長期化したので、いつバブルが崩壊してもおかしくないと言うのである。アメリカでは2000年にITバブルが崩壊し、2008年にはリーマンショックによる大崩壊が起こっている。そのいずれも、前の年は「楽観ムード」が支配していた。したがって、いまの楽観ムードは市場崩壊の前兆だと、警告者たちは口をそろえるのだ。 とはいえ、どんな好景気もいずれは必ず息切れする。それがいつになるのかは誰にもわからない。ただ、大方の見方では、2018年も好景気は続くとされている。景気後退が起こるとしたら、それは2019年以降だと言うのだ。
■「いざなぎ景気」を超えて戦後2番目の長さに
それでは、日本経済のほうはどうだろうか? この11月15日に、内閣府から発表された2017年7~9月期GDPの第1次速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.3%増、年率換算1.4%増と、16年ぶりの7期連続プラスとなった。 1.4%というのは、アメリカが前記したように3.3%、ユーロ圏が2.5%なので、かなり低い数字だ。しかし、それでも安倍首相は「成長している」ことを強調し、アベノミクスの成果だと言っている。たしかに、このような数値だけを見ていくと、日本は好景気である。 たとえば、総務省が10月31日に発表した9月の「労働力調査」によると、完全失業率(季節調整値)は2.8%と限りなくゼロに近づき、4カ月連続で低水準を記録している。そのため、人手不足も問題になっている。また、正規社員の有効求人倍率も1.01と、統計史上初めて1倍を超えている。 そして、なによりも株価が上昇を続けてきた。日経平均株価は、NYダウに引っ張られるように、9月初めの1万9000円台から2カ月間で約4000円も上昇し、バブル後の最高値をあっさりと更新してしまった。 こうしたことにより、2012年12月から続いているとされるいまの景気回復局面は、「いざなぎ景気」(1965年11月~1970年7月)を超え、戦後2番目の長さになった。
■少子高齢化社会では経済成長はイーブンがやっと
しかしここで、アメリカと同じように、一般庶民がこの好景気の恩恵を受けているかと問えば、実感としてそうとは言えないのではなかろうか? とくに株価がいくら上がろうと、日本の場合、その持ち主は家計が16%にすぎないから、一般庶民には別世界のことである。日本の家計資産の中心は銀行預金であり、ほぼゼロ金利が続いているのだから、もしデフレでなかったら、景気回復などと冗談でも言えないのである。 安倍首相は、いまも自信満々のようだが、残念ながらアベノミクスは、まったく機能していない。第一の矢の金融緩和以外すべて的外れで、実質では日本経済は回復していない。 これは単純に言えば、日本という国が世界の先進国のなかでも異常なまでの少子高齢化社会になってしまったことが原因だ。こういった社会が、実質的に経済成長を続けることはありえない。よくてイーブンにするのが精一杯なのだ。
■政府による官製相場で企業は国有化も同然
日本は経済成長をしていない。イーブンがやっと。これが日本の現在の姿で、先の成長率1.4%というのは、上出来とも言えるのだ。 ただ、この1.4%も実際の経済成長が生み出したものではなく、円安という為替変動によるところが大きい。このことは、あとで触れるとして、まずは、日本の株価上昇が、アメリカと違っていかに異常かを述べておきたい。 現在の日本の株価は、黒田日銀のETF買いとGPIFなどの5頭のクジラ(公的資金)の株買いによってつくられた「官製相場」である。それに外国人が乗って利食いしているにすぎない。 なんと日銀は、年間6兆円のETF買いを続けている。GPIFも株を買い続けている。こうした公的資金は買うだけで、ほとんど売らない。したがって、相場は維持されるが、この先いつか、世界的に景気の後退局面が来たらどうするのかという懸念がある。おそらくそのときは、いま以上に買うしかなくなるはずで、そうなれば、日本経済は完全な国家統制経済に突入してしまうだろう。 もうすでに、日本の名だたる大企業は筆頭株主が日銀やGPIFとなっている。つまり、実質的な国有企業となり、日本は中国よりひどい国家資本主義体制になってしまった。 これまで日本企業は、少子高齢化による国内需要の減退を乗り切るため、必死になって海外市場を開拓し、海外生産を増やしてきた。しかし、政府に株を買い占められてしまったので、最終的には政府の言うことを聞かざるをえない状況に追い込まれている。
■日本企業の好業績は実力によるものではない
その日本企業の実績も、ここ数年の推移を見ていくと、為替(円安)と原油安に左右されてきただけで、実質的にはほとんど変化していない。 たとえば売上と利益が改善され、好決算だったときを見ると、それは企業が成長したためではなく、円安と原油安という2つの外的要因があったからにすぎないことがわかる。好業績は、企業の実力によるものではないのだ。 このことを、「ダイヤモンド・オンライン」で、野口悠紀雄氏がデータに基づいて、ズバリ指摘している。 「株価高騰・好決算は円安による一時的なものに過ぎない」(野口悠紀雄) これは、非常に重要な指摘なので、以下、要約してみたい。この記事によると、2012年以降で、顕著な株価上昇が生じた期間が、次の3回あった。 (1)2012年半ばから13年末まで-----日経平均は1万円未満から1万5000円程度に (2)2014年秋から15年秋半ばまで----日経平均は1万5000円程度から2万円程度に (3)2016年11月から現在まで----日経平均は1万2000円程度から2万円程度に それでは、この3回の株価上昇の原因を、野口氏はどのように分析しているのだろうか?(野口氏は図とグラフを使って解説しているが、ここでは省く)
■円安の恩恵が2回、原油安の恩恵が1回
(1)2012年半ばから13年末まで この時期は、円安によって企業利益が増加した。企業の売上高が顕著に伸び、売上原価もほぼ同率で増加した。そのため、企業の決算は軒並みよくなった。 (2)2014年秋から15年秋 この時期も、企業の営業利益が伸びたが、これは原油安の影響。原油安により製造原価が下がり、その分、営業利益が増えた。 原油価格は、2014年7月ごろは1バーレル=100ドルを超える水準だったが、同年8月頃から急激に下落し、2016年2月には30ドルに近づいた。この結果、日本の原油粗油輸入額は、2014年の14兆円から、2016年の5兆円にと、約8.3兆円も減った。液化天然ガスも、4.6兆円減少した。これだけで約13兆円の輸入減になる。 これによって貿易収支は大幅に改善され、リーマンショック後に赤字に転落していた貿易収支は、2016年には黒字に転じた。 (3)2016年11月から現在 トランプがアメリカ大統領に当選し、その後、経済政策への期待感とFRBの政策で金利が上昇し、それによって日米金利差が拡大したために、円ドルレートが円安方向に動いた。この円安の恩恵で、企業決算が好調に転じた。 結局、こう見てくると、「日本経済=日本企業群」は、成長しているわけでなく、円安と原油安によってしか利益を生み出していないことになる。これでは、景気がいいなどとはとても言えない。
■日本経済の現場はすでに減速に入っている
それでは、日本経済をもう少しミクロ的な視点、国内事情で見てみよう。 ここで、「好景気=景気がいい」ということがどういうことか?と改めて考えてみたい。一般的なイメージで言うと、景気がいいというのは、給料が上がって、モノが売れて、街に活気があるといったことになるだろう。つまり、みんながおカネを気前よく使っている、おカネがぐるぐる回っている状態が、景気がいいということになると思う。 したがって、そうなれば、経済成長率、株価、失業率、消費者物価指数などの経済指標の数値はみなよくなる。しかし、数値はたしかによくなってきたが、前記したように一般庶民には景気がいいという実感がないのだ。 なぜなのだろうか? これは、おカネは回ってはいるが、それは一部の上の層の人々の間だけで、一般庶民の間では回っていないということだからだろう。 一般庶民の暮らしにとって、もっとも重要なことは、給料が上がることである。じつはこの給料が上昇していない。厚生労働省が11月7日に発表した9月の「毎月勤労統計調査」(速報値、従業員5人以上)」によると、物価変動の影響を除いた「実質賃金」は前年同月比で0.1%減少。4カ月連続でマイナスとなった。 これは9月の消費者物価指数が0.9%上昇となったため、実質賃金を押し下げたからだ。 http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/29/2909p/dl/pdf2909p.pdf
最近、日本の物価はじわじわと上昇している。9月の0.9%上昇というのはかなりの数値で、このままいくと年末には1.5%は確実に突破すると予測できる。物価が上昇すれば、その分給料が上がらなければ、消費は減速する。それで、前述したGDP成長率が1.4%と発表された2017年7~9月期の消費を見ると、実質で前期比0.5%減、名目でも同0.4%減となっている。つまり、物価上昇と消費の減速が同時に起こっているのだ。 これは、明らかに景気の後退ではないだろうか? 株価は上昇していても、日本経済の現場はすでに減速に入っていると言えるのだ。 消費の減退ということで言えば、いまの高齢者、いわゆる年金生活者の消費力は年々落ちている。年金が年々減額され、支給年齢も上がったからだ。私の周囲にいる年金生活者は、みな生活が苦しくなったとぼやいている。 現在、日本の年金生活者は約4000万人いて、総人口の約3割に達している。この3割の人たちの消費力が落ちているのだから、景気がよくなるわけがない。 ■2020年に“借金経済”は限界に達する
この先、日本経済で懸念されるのが、日銀が量的緩和を縮小することができるのかどうか?ということだ。 11 月8日、会計検査院は決算検査報告書で、日銀に対し「財務の健全性確保に努めることが重要だ」と指摘した。日銀の国債大量保有を受けて「日銀の資産と負債は過去に例をみない規模で急速に拡大している」と懸念を表明した。 その日銀は11月28日に、9月の中間決算を発表したが、それによると国債の平均運用利回りは上半期としては過去最低の0.277%となり、国債保有残高は435兆9081億円で過去最高を記録した。 この国債保有残高は、今後もどんどん増え続けて、あと1年ほどで500兆円に達するのは確実だ。国債保有残高は日銀の負債であり、これが GDPと同じ規模、つまり100%になろうとしている。前記したように、アメリカではFRBの総資産規模(負債)がGDP比で20%以上あることで、エコノミストが懸念している。 GDP比100%がいかに異常かわかるだろう。 このままでは、市場に出回る国債が減少し続けて、国債市場が枯渇する。日銀が市場から国債を買えなくなる時期がやってくる。その時期は東京オリンピックの年、2020年になるはずだ。 はたして日本経済はどうなるのか? “借金経済”だけに、いまのところ破綻をなんとか引き延ばす以外に、有効な解決策は見出せない。
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