G1予想[224]第62回大阪杯(2018年4月1日) |
2018年 3月 27日(火曜日) 02:02 |
もっとも気にいらないトリオンフを買う2016年のセレクトセールにおいて、常連の里見治氏や金子真人氏に混じって億超えの高額馬を競り落とし、総額約7億円も使った新進の馬主がいた。なんとこの新進馬主は、1歳馬の最高価格となる2億6000万円で「オーサムフェザーの2015」を落札したため、セリに来ていた関係者、取材に来ていたメディアなどが騒然となった。 この馬主とは、KTレーシング。2013年に馬主登録したばかりで、代表は黒川哲美氏という52歳の保険代理店オーナーだ。 黒川氏は1966年横浜生まれで、大手メーカーの保険部門に入社後、石油ディーラーの子会社である生命保険募集代理店「アローファイナンシャルサービス」の代表を経て、2004年に独立。株式会社TFKを設立して、この会社を生命保険14社・損害保険10社の商品を扱う総合保険代理店に育てあげたという経歴の持ち主である。
黒川氏の保険営業は、法人を白地から開拓するもので、そのやり方は「セミナー営業」として有名。このやり方で黒川氏は、全国に27もの本支社を構え、保険の総合代理店や退職金などのコンサルティングを大々的に手掛ける企業をつくりあげたのである。簡単に言うと、黒川氏は「保険成金」と言うことになる。 じつは私は、このような「平成立志伝」になる人物が大嫌いである。おまけにそういう人間が馬主になって高額馬を買い、それで重賞レースを勝つことが気に入らない。じつは、里見治氏も金子真人氏もそういう方なのだが、こちらのほうは、あまり嫌いではない。所有馬が飛び抜けてすごいので、素直に認めてしまうからだろう。
と、長くなったが、この大阪杯に、黒川氏の馬が出走している。トリオンフである。強い4歳世代のなかで、スワーヴリチャード、アルアイン、タンビュラントに次ぐ4番手評価。前走、小倉大賞典を勝ったばかりの馬だ。そこで今回は、この馬を買うことにした。 なぜ買うのか? その理由は、上記したように馬主が大嫌いだからだ。好き嫌いと馬券とはまったく関係ない。どんなギャンブルでもそうだが、嫌いだからベットするというのは、じつは「やるべき一手」の一つと考えるからだ。最近、このやり方をしていないこともある。
トリオンフは、黒川氏が高額馬を買いまくった2016年の1年前、2015年の北海道サマーセールで864万円 でセリ落とされた馬である。この時点で、黒川氏は馬に大金を投じていなかった。 2014年4月21日誕生という“遅生まれ”のトリオンフは、洞爺湖町のレイクヴィラファームの生産馬。父はタートルボウル(アイルランド産、父ディームダイヤモンド)。仏G1のジャンプラ賞(芝1600m)の勝ち馬で、社台スタリオンステーションがフランスでの種牡馬実績に目をつけて導入した種牡馬だ。 ところが、そんな安馬、生産牧場、血統ともにそれほどでもない馬が、ここに来て急成長、ローカル重賞を勝ってG1に出走してきた。 長いこと競馬を見てきたが、こういう馬はほぼ負ける。ほんの稀に勝ってスターダムにのしあがることがあるが、それは10数年に1回ぐらいの話だ。ただ、一つだけ書いておきたいことがある。昨年、トリオンフが函館の新馬戦を勝つ1カ月ほど前、父のタートルボウルは種付け後に心不全を起こして死んでいる。人間で言うと「腹上死」ということになる。 本当に、どこからどこまで、好きになれない馬である。
結論:トリオンフから枠連、馬連総流し。 |