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[303]なぜフィンランドはギャンブル大国なのか? 同じギャンブル大国・日本とのギャップを思う
2018年 5月 31日(木曜日) 01:43

連日、気温が20度以上で快晴という「異常気象」が続くなか(5月としては59年ぶりとか)、田舎町のKannus(カンヌス)郊外で、草競馬のトラックを見つけたので立ち寄った。フィンランドでは、競馬と言えば「ハーネス」(harness:繋駕速歩競走)である。

 

 トラック脇のミニ厩舎に厩務員と馬(サラブレッドではなくハーネス用のフィンランド馬)が1頭いたので、近づいて話してみると、調教師はスウエーデンに出かけていて、この馬(3歳コルト)を預けられているとか。

「日本の競馬はどんな競馬か?」と聞かれたので、「サラブレッドの競走だ」と言うと、「そうではないハーネスかジョッキーレースか?」と言うので、「ジョッキーレースのみでハーネスはない」と答えた。

「これから、何周か調教する」と言うので、しばらくその様子を見せてもらった。馬を繋駕に繋ぎ、コースに出ると、速歩(トロット)で軽快にトラックを回っていく。広いコースにたった1頭だけ。北の大地ののんびりとした田園風景をしばらく堪能した。

 

 ハーネスは、フィンランド中で行われていて、Kannusの近辺ではYlivieska市(ユリヴィエスカ)とOulu市(オウル)に競馬場がある。首都Helsinki(ヘルシンキ)では、郊外のEspoo市(エスポー)に、フィンランド一のVermo(ベルモ)競馬場があり、この白夜の夏シーズンは、毎週競馬が開催されている。

 こちらに来て驚いたのは、福祉国家、教育国家、IT大国といったイメージとは相容れない「ギャンブル大国」としてのフィンランドの姿だ。

 

   

 

 なにしろ、ヘルシンキ中央駅の構内にスロットマシンが置かれていて、現金(ユーロのコイン)を入れてプレイができる。駅を出ると、左側の広場を挟んでカジノの「CASINO HELSINKI」が営業している。 

 さらに、スーパーマーケット、KIOSKI(コンビニ)にもスロットのマシンが置かれ、どこでも市民がギャンブルを楽しんでいる。もちろん、バーに行ってもマシンは置かれている。

 さらに、KIOSKIでは「ユーロジャックポット」という「lotto」やそのほか各種の「lotto」(宝くじ)、サッカーくじの「toto」から競馬の馬券まで、なんでもかんでも売っているし、ネットでも購入できる。

 まさに、福祉大国はギャンブル大国でもあるのだ。

 

   

 

 世界指折りの福祉国家、しかも1人あたりのGDP(2017年)が約4万6000ドルと日本(約3万8000ドル)をはるかにしのぎ、国連の「世界幸福度ランキング」(2018年3月発表)で世界一の国の国民が、なぜ、こんなにギャンブルに熱中しているのだろうか?

 ちなみに、日本はこの幸福度ランキングで51位と、完全に低迷している。

 

 フィンランドに行って驚くのは、やはり税金の高さだ。日本の消費税にあたる「VAT」(付加価値税)は24%だから、たとえばマリメッコで1万円の服を買えば1万2400円になってしまう(旅行者は免税申請すればVATは免除される)。もちろん、軽減税率があり、医療費、学費は無料で、本、薬などは10%、食料品は14%である。ただし、アルコールは29.9%で、タバコにいたっては81.3%だから、とんでもない高さではないだろうか。

 もちろん、所得税、住民税も高い。住民税は日本の場合10%だが、フィンランドでは20%。こうした結果、フィンランドの国民負担率は約65%に達しているのに、なぜか国民は不満を持っていない。

 

 

 これはおそらく、税金の使途の透明度が高いからだ。普通なら、所得の半分以上を国に持っていかれれば反乱が起こる。しかし、フィンランドは、政治家の汚職が世界一少ない国であり、税金の使途は政治家と役人が国民の目にみえるようなかたちで決められ、常に発表されている。

 首相のオトモダチが補助金をたっぷりもらって、教育者でもないのに大学をつくるなどということが起こりようがないのだ。また、公共事業に関する税金を政治家とゼネコンが山分けする“ハコモノ行政”もない。

 つまり、こんな国だと、国民は心置きなくギャンブルが楽しめるのではないだろうか。

 

 というのは、ギャンブルの収益は社会に還元されるのが、原則であるからだ。フィンランドではこれが徹底されていて、たとえばRAY(フィンランド・スロットマシン協会)というギャンブル運営組織は、その収益金のほとんどを、障害者、ホームレス、退役軍人といった人々の健康福祉のための支援資金に充てている。前記した草競馬のレーストラックがあるカンヌスにも、こうした資金で建てられた退役軍人の引退後のホームがある。

 要するに、スロットをやったり、「lotto」を買ったりして負けても(ほぼ間違いなく負ける)、その負けたおおカネが福祉に役立っているなら、負けても意義があると、フィンランド国民は納得しているのだ。

 

 ひるがえって日本はどうか? 

 日本はフィンランド以上のギャンブル大国である。競馬、競輪、競艇、オートレース、宝くじ、toto、パチンコと、メニューは盛りだくさんである。ところが、大きく違っている点がある。

 

 日本でも宝くじや競馬の収益の一部は、フィンランドと同じく社会還元されている。宝くじの場合、収益全体の約40%が発売元の都道府県などに回され、高齢化少子化対策、教育及び社会福祉施設の建設改修などの公共事業に使われている。しかし、その実態はよくわからない。役人が勝手に予算化してバラまいている可能性がある。

 また、競馬の場合、たとえば私たちが馬券を100円買うと、還元されるのは75円であり、25円のうち10円が国庫に納付される。この国庫納付金は4分の3相当額を畜産振興事業に、4分の1相当額を社会福祉事業に充当すると法律で定められているが、本当にそうなっているのかどうかは確かめられていない。

 

 また、日本最大のギャンブル「パチンコ」は平均9割を還元しているとされるが、そもそもパチンコはギャンブルとして政府が認めていない。そのため、表向き現金に換金できない、いわゆる三店方式という形態になっているのだから、ここに不正が行われる余地が十分にある。

 

 つまり、このような国では、気持ちよく負けられないのだ。ギャンブルは負けることを楽しむゲームである。そして、その負けが、社会のほかの人々に役に立ってこそ、やる意義がある。

 それなのに、この国では、赤字自治体の役人の給料の補填になったり、必要のないハコモノの建設に使われたり、成功するわけがない事業の助成金に使われたりと、プレーヤーはただの集金マシンとして扱われている。「宝くじは愚者の税金」という言葉があるが、まさにその通りである。

 それなのに、政府は性懲りもなく、IR法を成立させ、日本にカジノをつくり、新たな税収をもくろんでいる。カジノ事業者に対して約30%の「カジノ税」を課す方向というのだから、あきれてしまう。

 

 フィンランド人は貯金をしないという。将来不安がほとんどないからだ。リストラされても、病気をしても、離婚をしても、ちゃんとやっていける社会システムがつくられているからだ。それを維持するためにも、じつは、彼らはよく働いている。常に世界の最先端を走ることを心がけ、ハイテク産業では世界をリードし続けている。

 日本人もよく働いている。いくら残業をやめろと言っても、やめずに働いている。そうして、おカネを稼ぎ、将来不安のため貯金に励む。

 そしてとうとう、個人金融資産は、1831兆6564億円(2017年12月)に達した。ところが、その一方で「貯蓄なし世帯(2人以上)」は3割以上に上っている(金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」)。

 個人金融資産というのは、政府が莫大な借金をかかえ、出口なき量的緩和を続けているから、あってもやがて吹き飛ぶ可能性のある資産である。

 

 とまあ、ここまで書いてみて、これほど社会のあり方と国民の生き方が違うので、同じギャンブル大国でも、フィンランド と日本は比べられない。イギリスともアメリカとも比べられない。しかし、カジノでも競馬でも、日本でベットすることはまったく気持ちのいいものではない。本当にバカらしく思えるのだが、どうだろうか?

 

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