[330]メディアは騒ぎすぎ!「武漢肺炎」はそんなに怖いか? |
2020年 2月 14日(金曜日) 11:37 |
ただ、昨日、厚労省などから発表された国内感染例は衝撃的だった。まず、神奈川県在住の80歳代女性が死亡していたこと。これは「武漢肺炎」(新型コロナウイルス)による国内初の死亡例である。また、タクシー運転手はこの女性の義理の息子という。 さらに、千葉県県内に住む20歳代の男性会社員、和歌山県湯浅町の済生会有田病院に勤務する50歳代の外科医師の男性の感染も発表された。いずれも、中国への渡航歴がなく、中国人との接触も確認されていない。となると、もはや「水際作戦」は失敗し、ウイルスは国内に入り込んで感染者を増やしていることになる。
この点をふまえると、タクシー運転手より和歌山県の医師のほうがよほど問題だと思うが、ワイドショーはあまりふれない。なぜなのだろうか? 済生会有田病院はなぜ 記者会見しないのか?メディアはそれを強く求めないのか? 今日まで、発表はすべて厚労省や各県など、役所ばかりである。だから、まったく要領をえない。専門家がキチンと会見して、今後の予測を述べるべきだ。
横浜港にはいま、監禁状態にした乗客3700人を乗せたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」号が停泊している。もう10日以上経つ。その映像、状況は連日報道され、船内の感染者数が日毎に増えている。 最初はわからなかったが、この封鎖することにして感染拡大を防ぐという対応は、完全に間違っていたようだ。 船にはアメリカ人も乗っているので、米メディアは業を煮やして、この対応を批判しだした。NYTは、専門家の見解として、「公衆の衛生に関わる危機について、『こうしてはいけない』と教科書に載る見本だ」と伝え、さらに日本政府の広報の仕方について「信頼を低下させた」としたうえで、「すでに汚染されたクルーズ船にこれほど多くの人を閉じ込めておく以外に他の手段があったのではないかと思わせる」と批判した。
今回の武漢肺炎の騒ぎが起こってから、家内はNYに住む娘を心配して、何度もライン、メールしている。アメリカでは史上最悪のインフルのアウトブレークが起こっていて、コロナウイルスどころではないからだ。すでに何万人もの死者が出ている。だから、こちらのほうが心配であり、死者もまだ少なく、それも持病を持つ高齢者などの例が多い武漢肺炎をこれほど騒ぐのか、よくわからない。 おそらく、それは、中国が発生源だからだろう。
ここまで日本の報道で使われる「新型肺炎」ではなく、武漢肺炎と書いてきたが、それは、当初、中国ではそう呼んでいたからだ。欧米メディアも「Wuhan coronavirus」、あるいは「China coronavirus」としていた。ウイルスは病原であり、症例は肺炎とほぼ同じなので、「Wuhan pneumonia」(武漢の肺炎)と呼んでいるところもある。ただ、いまや単に「coronavirus」としている。わざと「武漢」を使わないほうが、偏見・差別を助長することになるのを日本のメディアはわかっていない。結局、WHOは、「COVIT-19」と名付けた。
いま私が心配しているのは、このまま日本で感染者が増え続けると、アメリカは中国と同じように、日本への渡航を禁止しかねないことだ。すでにユナイテッド、アメリカン、デルタは、中国全便を欠航している。他国の航空大手も同じだ。となると、娘は当分、帰国できないことになる。欧州経由としても、ルフトハンザ、BAなども中国便を欠航しているので、アメリカに追随するだろう。 このまま日本の感染者が増え続け、数百人ということになれば、そうなりかねない。 昨日、2人の医者と別件で会って話したが、「オリンピックは大丈夫か」と心配していた。
ただ、今回のコロナウイルスに関して、それほど心配していない。心配なのは騒ぎすることで、ウイルスそのものに対しては心配していない。健常者なら感染したとしても発症しないか、発症したとして軽くてすみ、よほどのことがないと死に至らないと思うからだ。 そこで、致死率に注目しているが、これまでの報道によるとたいしたことはない。 「ブルームバーグ」の2月13日の報道では、こうなっている。
《医療専門家は死亡率の推計に取り組んでいる。死者数を確認症例数で割った大まかな分析では、死亡率は約2%だ。診断未確定の軽い症例を含めれば1%近くに低下する。世界保健機関(WHO)のチーフサイエンティスト、スーミャ・スワミナサン氏は「検査を受けた患者の数が増えるにつれ、死亡率は日ごとに低下している」とインタビューで述べた。》
しかし、「ナショナルジオグラフィック」(2月11日)の記事は、こう解説していた。
《単純に致死率を比較するだけでは、どれが最悪の感染症かを判断しがたい場合もある。例えばインフルエンザは、従来型のものであれH1N1のような新型のものであれ、感染者は何百万人にも上りうるが、死亡に至る割合は比較的低く、そのうち0.1%ほどだ。対して、SARS(重症急性呼吸器症候群)、MERS(中東呼吸器症候群)、そして今回の新型コロナウイルス感染症「COVID―19」は、致死率の点でははるかに深刻だ。ただし、SARSは致死率が10%ほどに上ったが、感染が確認されたのはわずか8000例ほどだった。 現時点で、新型コロナウイルスの感染者数はSARSを大きく上回っている。そのうち死亡に至るのは2%ほどだ。致死率でいえばインフルエンザの20倍ほどということになる。新型ウイルスの脅威は早期に終息するだろうと予測する科学者もいる一方、中東で2012年から流行が続いているMERSではそうなっていない。》
いろいろな見方があるものの、最大の問題は、この騒動がいつ終息するかだ。この点に関しては、あと2カ月ほどではないだろうか? すでに、中国では感染者がピークアウトしたと思えるからだ。そして、もう一つ、中国が現在、ウイルス撲滅に全力で取り組んでいるからだ。 これを確信したのは、「In Deep」というサイトで、中国の武漢ウイルス研究所に人民解放軍の陳薇(チェン・ウェイ)少将が最高責任者と赴任したということを知ったからである。武漢ウイルス研究所は、今回の新型コロナウイルスの発生源と一部で言われているところだ。とすると、このウイルスは人為的なものだが、ともかく、そこに人民解放軍の高官が赴任して陣頭指揮に当たっている。
この少将は女性である。軍人であるが、中国の最高レベルの科学者であり、SARS とエボラ出血熱のエキスパート。SARSとの戦いでもっとも貢献した学者で、生物化学兵器部門の最高責任者だ。 「In Deep」では、「1月30日に、中国科学ニュースというメディアが、チェン・ウェイ少将に独占インタビューをおこなっている記事を見つけました」として、その内容を紹介している。 以下、その一部を、ここに載せておきたい。
《インタビュアー: SARS と比較して、新型コロナウイルスは、より「狡猾」な感じを受けます。特に、潜伏期間中の隠れたキャリアによっても感染が起きるようですが、このように潜伏期間中に引き起こされる感染を防ぐことはほとんど不可能ではないでしょうか。 チェン・ウェイ氏:それぞれの疾患には新しい特徴がありますが、対策としては、最終的に、病原体、伝染経路、影響を受けやすい集団という 3つのリンクを制御することに他なりません。 隠れたキャリアによる感染を防ぐ方法としては、最も原始的な方法である「分離」(人と触れ合わない)が最良の方法です。人と接触する必要がある場合は、1〜 5メートル以上離れてコミュニケーションをし、できるだけ早く手を洗って消毒し、手で目をこすったり、鼻や口に触れたりしないでください。 もちろん、中国はとても大きな国で、人口も非常に多いので、これを誰もがうまく行い続けるのは難しいことだとは思います。これには、グリッドベースの社会的管理が役割を果たす必要があり、すべての管理者は、まず自分たちの足場を維持する必要があります。今、すべての中国人が一緒に動く必要があるのです。》
《インタビュアー:誰もが、この流行を打ち負かせる必要があると言いますが、本当の勝利は何でしょうか? チェン・ウェイ氏:感染症との戦いにおける、いわゆる勝利にはいくつかの種類があります。最も大きなものは「根絶」です。これが最も理想的な状態であり、私たちの努力の目標でもあります。しかし、人類の歴史で根絶された感染症は、迅速に根絶された天然痘とポリオなど限られたものしかなく、病原体が完全に根絶された例はほとんどないのです。 新しい病気に遭遇したとき、私たちはそれを完全に排除したいと思い行動します。しかし、時には、過剰な介入が病原体を刺激して急速に変異させてしまうことがあるのです。したがって、新型コロナウイルスに対しての「勝利」がどのような形になるかはまだ予測できませんが、すべては進展していっています。》 |
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