[378]自民総裁選の虚しさ。結局、日本は変わらず、衰退していくだけだろう。 |
2021年 9月 24日(金曜日) 21:51 |
毎日、自民党総裁選挙の4候補、河野太郎(58)、岸田文雄(64)、高市早苗(60)、野田聖子(61)の4氏の動向と政策が、これでもかと報道されている。今日まで、同じ話を何度聞いただろうか。 選挙は29日。ここで決まった新総裁は、10月4日召集の臨時国会で、新首相に選出される。しかし、1カ月後には総選挙があり、その結果次第では首相交代もある。
今日は、ほぼすべての新聞が、競馬予想よろしく選挙予想記事を出しているが、どれも同じだ。まとめると、次のようになる。
《1回目の投票では、誰も過半数が取れず、河野氏が1位で、2位と3位に岸田、高市のどちらかがつける。高市氏は追い上げているが、現状では2位は岸田氏になる。その結果、決選投票となり、2位・3位連合で、河野氏は逆転され、岸田総裁が誕生する》 ということは、いくら政策論争をしても無駄であり、最終的は派閥の力学で決まるということ。つまり、自民党政治は変わりようがないということだ。 ©︎毎日新聞 今日まで、4氏の政策と野党の政策を見てきたが、いろいろ言われてはいるものの、私にはみな同じに見える。ともかく、貧しい層、恵まれない層にいま以上に援助し、格差を是正する。そして、大規模な財政出動によって経済を復興させる。量的緩和は継続させる。大雑把に言うと、これだけだ。
しかし、これらの政策を実行するためには、おカネがかかる。そのおカネは税金か国債発行でまかなうほかないが、この点については誰も踏み込まない。日本の財政が最悪で、国庫は火の車なのに、このことにはふれない。そればかりか、高市氏と立憲民主の枝野党首にいたっては、PBを凍結すると言うのである。
つまり、誰もがみなバラマキをすると言っているにすぎない。給付とか、投資とか言っているが、本質はこれに尽きる。バラマキを税金で行うなら、誰かから奪った金をほかの誰かに配るというだけの話で、それ以外ではない。持っている者から取り上げ富を持たざる者に配っても、経済は成長しない。国は豊かにならない。
日本はバブル崩壊以後、経済衰退を防ぐため、過去30年間にわたってバラマキという財政出動を行ってきた。つぎ込んだ公共事業費などは莫大だ。しかし、経済衰退は止まらず、給料は上がらなかった。財政出動の財源を国債に頼ったため、赤字が積み上がり、それが経済を圧迫して消費を減退させた。つまり、財政支出の拡大が逆に消費などの国内需要を減少させる「非ケインズ効果」が起こり、それが30年も続いてきたのだ。
本来、どこかでこれを止めなければならなかった。しかし、アベノミクスは逆に量的緩和、ゼロ金利まで行って、日本の成長力を完全に削いでしまった。 それなのに、与野党とも、コロナ禍から立ち直るためにも、まだ大規模な財政出動が必要だと言っている。政府主導、官僚主導の投資が、イノベーションを起こしたことなどない。
現在の日本は、世界的に見ても突出して政府債務比率が高いので、本来なら財政出動などできる状況にない。財源を国債に頼ったら、いつか金利が上がったときに、予算が組めないところまで追い詰められる。いま、世界はインフレに向かっている。そのことを考えると、日本の政治家のあまりのノーテンキぶりは異常だ。
いつも政局が起こるたびに、「今度こそ」と思ってきた。今度こそ日本は変わるのではないかと期待した。しかし、今回もまた期待は裏切られた。おそらく、私が生きている間、改革は行われず、日本は衰退していくだけだろう。 そんなことを思いながら、一昨夜、中秋の名月を山下公園で見た。氷川丸の脇から上り、雲間に姿を現した。しばらく、月を見ながら公園を歩いた。 |
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