[397]ついに「円安、株安、賃金安、年金安」の「4重苦」が到来。打つ手なし。 |
2022年 6月 14日(火曜日) 14:05 |
先週末にNYダウが800ドルを超える下げを記録したうえ、ドル円が135円超えと大幅な円安になって、今週に突入。予想通り、NYダウはまた800ドル以上続落し、日経平均も昨日、今日と大幅に続落している。 この状況に、今日はワイドショー(「昼おび」)でも、「円安物価高」が取り上げられた。先ほどまで見ていたが、コメンテーターはみな「困った」と言うほかなく、もはやお手上げといった雰囲気である。
©️New York Stock Exchange すでに、世界経済はスタグフレーション(不況下のインフレ)に突入している。とくに日本は、「円安、株安、賃金安、年金安」の「4重苦」で目も当てられない状況になっている。 しかし、これに対する有効な対策などない。実際、日本政府、岸田内閣はなにもしていないので、「岸田無策」と言われている。しかし、そのせいで支持率60%超えだから、不思議すぎる。
先日、国会で、立民の泉健太代表は、政府・与党の対策について、生活者目線に欠けており、「岸田インフレ」だと批判し、内閣不信任案を出したが、維新、国民民主も反対に回って、完全否決されてしまった。岸田首相は、インフレ無策の批判に対して「欧米諸国においては物価高騰7%から8%と言われるなかで日本において2%台を維持している」と言う始末だから、緊張感すらない。
さらに、日銀の黒田総裁にいたっては、先週「家計の値上げ許容度も高まってきている」と発言し、猛烈な反発を招いた。最終的に「表現はまったく適切でなかった」と撤回・陳謝したが、なにもしないことには変わりない。異次元緩和続行、ETF買い続行である。 金利を上げたら、国家財政はもたなくなる。利払い費がかさむうえ、国債発行ができなくなる。厳しいのは国家ばかりではない。借入金で生き延びてきた中小企業や、変動金利で住宅ローンを組んできた家計ももたない。
いまの円安は「悪い円安」という見方が定着したが、いまだに円安メリットを提唱する人間たちがいる。黒田日銀総裁も、ついこの間までそう述べていた。 株式評論家も、「円安メリットがある銘柄を買え」などとぬけぬけと言う。つまり、自動車、電機、精密機器、機械などの輸出企業にとっては、円安は収益拡大要因だというのだ。
しかし、グローバル化による世界的なサプライチェーンのなかでモノはつくられ、適地生産、適地輸出が定着している。また、国内生産するにしても、肝心なエネルギーや資源は輸入頼みである。 それなのに、円安で工場が日本に戻ってくるなどという“寝言”を言う向きがあるが、いまさら日本が「世界の工場」になるわけがない。そうした産業はすべて中国や新興国に持っていかれてしまった。
この10年間で、いまを除いてもっとも円安になったのは2015年6月で、このときドル円は125円86銭をつけだ。しかし、この年、製造業の国内回帰という動きはいっさい起こらなかった。いまもまた、そんな動きはない。 なにより、円安は金利差による為替レート変動だけが原因ではない。日本が続けてきた「失われた30年」と莫大な対GDP債務、そして経常収支のマイナスが大きく影響している。
市場が総悲観、国民マインドも総悲観、国民生活も総悲観のなか、今後の注目は、15日に開かれるFRBのFOMC(連邦公開市場委員会)になった。 ここで、0.75%の利上げが決まると、どうみてもNY株価はさらに下落し、つられて日経平均も下がり、円安も底なしになっていくだろう。 1985年のプラザ合意以後、一貫して円高が続いてきた。円安になっても一時的で、それも1998年の140円台が底。ここを抜けると、それは「未知の世界」だから、なにが起こるかは予測できない。 わかっていることはただ一つ。もはや、対策などなく、日本政府は「無策」だということだ。
日本政府はこれまで、意識しようとなかろうと、国民全員を守りながら等しく貧しくなろうという社会主義政策をとり続けてきた。つまり、バラマキだ。 それは、国民が求めたことであるから、いまさら誰も責められない。アベノミクスにしても、それが単なるペテンだと一部識者もメディアも知っていた。しかし、誰も真面目に指摘しなかったのだから、もはや手遅れだ。
つまり、この結果は、ほとんど国民が招いたことなので、いまさら、国に対策を求めても、国民主権の民主主義国家なのだから、自業自得としか言いようがない。身も蓋もないが、「岸田無策」を受け入れて、日本はこのまま全員で貧しくなっていくほかない。 それが嫌なら、この国を出て、グローバルな日本人として生きるべきだろう。現在、インフレをどう乗り切るか、個人レベルで様々な対策が言われているが、国内にいる限り、このスタグフレーションを乗り切る有効な手立てなどほとんどない。 |
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