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Home [071]シャープもソニーも期待外れ。電子書籍元年は幻想に過ぎなかった

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[071]シャープもソニーも期待外れ。電子書籍元年は幻想に過ぎなかった
2010年 11月 30日(火曜日) 04:37

11月29日、シャープがついに電子書籍用タブレット型端末「GARAPAGOS」(ガラパゴス)の2機種を12月10日に発売すると発表し、都内で記者会見が開かれた。この会見には、芥川賞作家の平野啓一郎氏が出席し、初の恋愛小説となる「かたちだけの愛」(中央公論新社、1470円)をガラパゴス向け新刊と紙の本と同時発売することを明らかにし、電子書籍に関してメディアの質問を受けた。まさに、「電子書籍元年」の掉尾を飾るにふさわしい光景だったが、はたしてこれで日本の電子書籍市場は本当に立ち上がっていくのだろうか?

 

    

       左の10.8型が5万4800円で右の5.5型が3万9800円

 

  すでにNTTドコモのタブレット型端末「ギャラクシータブ」は 26日に発売され、この後はNECビッグローブのタブレット型「スマーティア」が12月6日に発売される。さらに、ソニーが電子書籍専用端末「ソニーリーダー」をシャープと同じ10日に発売することになっているので、これで、日本の電子書籍端末はほぼ出揃ったことになる。

   これを受け、大手メディアは「国内市場が動き出す」「競争が激しくなる」などと書いているが、本当にそんなことが起こるのだろうか?

 

ガラパゴスが100万台売れたら奇跡だ

 

シャープの「ガラパゴス」は、「雑誌が見開きで読める」という10.8型の「iPad」を意識した「ホームモデル」と、スーツの内ポケットに入り「文庫本感覚で手軽に楽しめる」という5.5型の2種。 10.8型が5万4800円で、5.5型が3万9800円。メーカー直販商品で、電子書籍購入には、同社の電子書籍サービスへの加入が前提となるっている。タッチパネル操作のほか、指で回転させることでページめくりなどを容易に行えるトラックボールを装備しているほか、あらかじめ設定した時間帯に新聞や雑誌などのコンテンツが自動で届く定期配信サービスなどもある。

コンテンツは、新聞、雑誌が「Mainichi Times」(毎日新聞社)、日経新聞電子版(日経新聞社)、週刊ダイヤモンドDigital(ダイヤモンド社)、NHKラジオ基礎英語(NHK出版)など。書籍は、岩崎夏海の「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーのマネジメントを読んだら」(ダイヤモンド社、1470円)、石田衣良の「親指の恋人」(小学館、598円)などだ。

  シャープは明らかに「iPad」を意識しており、アップルの垂直統合型モデルを採用した。しかし、そのサービスはカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)との共同出資会社が行い、当初のタイトル数は3万と貧弱。OSは「Android 」ベースだが「Android Market」には非対応。グーグルの各種サービスにも非対応だから、こんな不便な機種はない。おまけに値段も高い。クラウドの時代に、いったいなにを考えているのだろうか。これでは「打倒アイパット」にはなっていない。

   シャープは2011年の早い段階で100万台の販売を目指していると言っているが、掛け声倒れに終わるのは間違いないと思う。

 

ソニーの端末にはなんと通信機能がない

 

  ではソニーのほうはどうだろう。

    こちらは、「Kindle」と同じモデルの電子書籍専用端末で、5型ディスプレイ搭載の Pocket Edition「PRS-350」と、6型ディスプレイ搭載のTouch Edition「PRS-650」の2機種。価格は「PRS-350」が2万円程度、「PRS-650」が2万5000円 程度になる見込みというから、これも高い。アメリカでは、年末商戦で「PRS-300」は99ドル(約8500円)で売られている。バーンズ&ノーブルの「Nook」も99ドル。「Kindle」でさえ、139ドルだから、ぼったくりにしか見えない。

   対応しているファイルフォーマットはXMDF/ PDF/ TXT/ JPEGなどで、DRM付きのXMDFもサポートするのはいいとしても、最悪なのは、通信機能がないことだ。3G、WiFiがなく、PCで電子書籍を購入するという、6年前「リブリエ」で失敗したのと同じパターンを繰り返している。しかも、専用ソフトをウィンドウズで立ち上げなければならない。それからダウンロードして、リーダー本体にUSBでつないで転送する。

    

 こんな中途半端なデバイスはない。

   サービスも貧弱。ストアはKDDIなどと組んでソニーが運営する電子書籍配信ストア『Reader Store』で、そのタイトル数はたった2万というから「ガラパゴス」より少ない。「kindle」はすでに70万冊をそろえている。

 

そのほかの陣営はどうなっているのか?

 

    NECビッグローブの7インチ端末の「Smartia」(スマーティア)は、電子書籍専用端末ではなくアンドロイドのタブレット端末という点は救われるが、価格は4万2800円と、これも高い。2011年1月末までは、端末購入と同時にNECビッグローブのインターネット接続サービスに加入する場合は、同サービスの24カ月継続利用を条件に1円で発売するというから、瞬間的にはタブレットとして売れるかもしれない。

  ただ、7インチ画面に適したゲームなどのソフトを数多く揃えなければ、見向きもされなくなるだろう。

 

    「Smartia」(スマーティア)4万2800円

 

  こう見てくると、残るのは東芝だが、凸版印刷と配信サービス開始を検討しているというが、いまのところ日本発売は決まっていない。

  これでは、2011年が「電子書籍元年」などというのは、悪い冗談。単なる幻想にすぎなかったと言うしかない。過去にも「電子書籍元年」と呼ばれた年はあった。しかし、そのたびに各メーカー、業界の取り組みは挫折した。それが今年もまた繰り返されたということになるだろう。

 

昔は「PDA」と呼ばれた電子端末

 

 電子書籍の歴史は、電子辞書などを含めれば意外と長い。ただ、いまにつながる電子書籍がつくられるようになったのは、やはりネット時代が到来してからだ。ウィンドウズ95が登場して本格的なネット時代を迎えると、本をPCや電子端末で読むという動きが起こった。

 日本では1999年に、政府からの支援を受け、出版社やメーカーが参加した「電子書籍コンソーシアム」が設立された。ここでは、出版社の財産である既刊本をデジタル化し、電子端末で読むという実証実験が行われた。コンテンツが進化し、多様なソフトが生まれ、端末も進化すれば、ゆくゆくは電子書籍市場ができる。うまく行けば、2005年には紙の出版市場規模の10分の1にあたる2000億円のマーケットになるという皮算用だった。これが、日本における「電子書籍元年」の最初だ。

   ただ、当時は現在のように黒船来襲というような切迫感はなく、「いずれそういう時代になるだろうな」ぐらいに、業界も捉えていたと思う。

 

  当時、端末はPDA(Personal Digital Assistant)と呼ばれ、電子書籍は、このPDAにダウンロードして読むものとされた。思えば、この先陣を切ったのがシャープだった。シャープは、「ザウルス文庫」を立ち上げて、同社のPDA「ザウルス」で読む仕組みをつくった。しかし、タイトル数が数千と少なく、普及しなかった。ここでの教訓はタイトル数が少ないと選ぶ楽しみがないということ。仕組みだけでは電子書籍市場は成立しないということだ。

  それでも、この時期を出発点として、日本の電子書店(オンライン上でダウンロードして書籍が買える書店)は活発化し始めた。当時、小学館でデジタルを担当していた鈴木雄介氏が立ち上げた「イーブック・イニシアティブ・ジャパン」、文庫を出している出版社が手を組んだ「電子文庫パプリ」、凸版印刷の「ビットウェイ」、パソコン通信時代から営業を始めていた「パピレス」、さらに「青空文庫」などが、それぞれに電子書籍の点数をどんどん増やしていくようになった。

 

「シグマブック」「リブリエ」の登場

 

  次の「電子書籍元年」は、2004年だ。

   この年の2月、パナソニック(当時は松下電器)は、画期的な電子書籍リーダー「シグマブック」を発売した。やや遅れてソニーも「リブリエ」と名付けられた電子書籍リーダーを発売し、ネットを通じての電子書籍配信サービスを開始した。

   「シグマブック」は、見開き画面のディスプレイで、これは紙の書籍を開いたかたちを意識してつくられており、ディスプレイは目に優しい液晶を採用していた。つまり、「読みやすさ」を最大限に追求したものになっていた。価格は3万7900円。いま思うば、第一世代の「Kindle」が399ドル(当時のレートで約4万4000円)だったから、値段はたいして高くはなかった。

    

                       「シグマブック」(左)と「リブリエ」(右)

  一方の「リブリエ」もオープン価格で4万円前後。こちらは、いまの「Kindle」と変わらない単一画面で、EInkを採用したモノクロ表示だったが、読みやすさは「シグマブック」と遜色なかった。

  日本を代表する2大メーカーが鳴りもの入りで発売した端末だけに、メディアは好意的で「ついに電子書籍の時代が来た」と書いたところもあった。しかし、どちらもまったく普及せず、「シグマブック」はカラー表示の次世代機を投入したが、2008年3月には製造を終了、同年9月30日には配信サービスも停止した。また、「リブリエ」も2007年5月をもって生産を終了してしまった。

 

失敗の教訓がまったく活かされていない

 

  なぜ、日本の電子書籍リーダーは売れなかったのだろうか?なぜ、電子書籍市場はできなかったのだろうか? 

  それは、「Kindle」が登場したときに、はっきりわかった。「Kindle」は発売当初から10万タイトル以上の電子書籍をそろえていたのに対し、「シグマブック」も「リブリエ」も数千タイトルしかなかった。 

   さらに、ソニーの「リブリエ」は会員制で、せっかく買ったコンテンツが2カ月で読めなくなる仕掛けが施されていた。また、「シグマブック」も「リブリエ」もファイルフォーマットの独自形式にこだわり、シグマブック形式やBBeB形式という、イメージファイルでは一般的なPDFに対応しないばかりか、テキストファイルでも青空文庫形式のファイルに対応していなかった。

  ソニーの「リブリエ」とアマゾンの「キンドル」を比べてみると、製品自体には技術的な差はない。しかし、読者が電子書籍を買うという行為から見ると、そのサービスに決定的な違いがある。

   「Kindle」は、PCに接続しなくとも、WiFi環境さえあれば直接ダウンロードできるうえ、通信料金もかからない。それで399ドルなのだから、一見同じような価格に見えても、日本の電子書籍リーダーに比べてはるかに割安だった。

  そして、いまや電子書籍端末は、アメリカでは100ドル以下になっている。日本はいったい、どうしてしまったのだろう。

  今回のシャープの「ガラパゴス」は本当にガラパゴス端末だし、ソニーリーダーも同じ。挫折の経験がまったく活かされていないのは、なぜなのだろう。日本でこの先、電子書籍リーダーによる電子書籍市場が形成されるとしたら、タイトルをそろえ、消費者の利便性を増す。このことに以外にない。ハードな技術面などどうでもいいのだ。いつでもどこでも気軽に買えて、単に読めればいいだけだ。

 

 

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