[002]オバマ就任演説と「グリーン・ニューディール」の罠 |
2009年1月21日
たとえば、「すべての人々は平等、自由で最大限の幸福を追求する価値があるという神の約束がある」という言葉は、まさにアメリカ独立宣言そのものである。そして、「我々が誰なのか、我々がどれほど遠くまで旅してきたか、今日という日を、それを記憶に刻む日にしよう」というメッセージは、アメリカをもう1度偉大な国にしようということなのだろう。
大統領に当選以来、次々に新しい政策を打ち出して来た彼の政策の目玉は「グリーン・ニューディール」Green New Dealである。この「グリーン・ニューディール」というのは、連邦レベルで再生可能エネルギーを普及させて、10年間で500万人の雇用を生み出そうという壮大な計画だが、その財源1500億ドル(15兆円)は、なんと、「排出権取引」emissions tradingで捻出しようというのだ。
またしてもアメリカにカモられる日本
現在、日本のメディアも、自民党も民主党も、「日本もオバマにならって環境政策を景気対策の目玉にすべき」と主張している。
「グリーン」( =環境)に隠された意図
うがった見方かもしれないが、アメリカとイギリスは、自ら引き起こした新自由主義市場経済の破綻による金融恐慌のツケを、今度は排出権というバーチャルな取引で取り戻そうとしている。その負担の最大担い手は、日本である。
オバマを「救世主」と思うのはお人好し
最後に、オバマ政権のエネルギー長官は、スティーブン・チューという中国系のノーベル賞受賞学者である。また、新設のエネルギー・温暖化問題政策調整担当は、クリントン政権下で連邦環境保護長官を務めたキャロル・ブラウナーである。 |