特別記事(1)「世界からズレている日本の大学教育」 |
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はじめに(サイエンスは理科でも科学でもない) まず、こんなことを、あなたはお考えになったことはありませんか? なぜ、日本では大学に入るとき、大学そのものではなく、志望大学の学部ごとに入学試験を受けなければならないのか?(アメリカで は、専攻は2年時を終えてから。したがって、入学は大学そのもに入る) また、なぜ、日本には、文系、理系などという分け方があるのか? そして、ではなぜ、心理学は文系なのか?(心理学 は、社会科学なので科学の一分野。つまり本来は理系。欧米はではそうなっいる) さらに、経済学は、文系、理系のどっち?( これも、文系ではなく理系である) このように、日本の学問体系は世界とは異質で、さらに、学問・教養の入り口とされる「リベラル・アーツ」が確立されていません。つまり、日本の大学教育(初等教育、中等教育も)は、欧米世界から見るとデタラメをやっているのです。 こんなことは、日本の教育だけを受けてくると、考えもしませんが、私は、娘をアメリカの教育システムで育てたので、いつも考えさせられました。 そこで、本稿では、欧米では当たり前の「リベラル・アーツ」教育とはどんなものかを考察し、そのうえで、学問とはなにか? なぜ、日本の高等教育は、欧米とは異質で、ある意味でデタラメなのかを、解明してみたいと思います。 ■ 私の娘は、幼稚園からアメリカン・スクールに通い、大学、大学院はアメリカと中国で過ごしたので、一度も日本の学校に通ったことがありません。だから、日本語と同じように英語もネイティブですが、その娘が高校生のとき、こう私に聞きました。 「サイエンスを日本語ではなんて言うの?」 それで、私は「理科だよ」と答えました。英語圏では、初等教育(小学校)で「サイエンス」と言えば、それは「理科」のことだからで す。すると、娘は怪訝な顔で「じゃあ、経済学や心理学も理科なの?」と聞き返してきました。ここで、ふつうの日本人なら、「いや違う。それは、文系だか ら、理科じゃない」と答えるでしょう。 私は、最初、娘の質問の意味がわかりませんでしたが、娘がサイエンスを「学問、とくに科学」の意味で使っていることがわかったので、「そうだよ」と答えたのです。 すると、娘は「日本語ってなんか変だよ」と言うのです。 理科も科学も学問も、英語ではぜんぶ「サイエンス」です。これで問題ありません。しかし、日本人にとって、「経済学や心理学が理科」 というのは、納得がいかないでしょう。娘も日本人である以上、同じように違和感を覚えたのです。だから、わざとこんな質問をしてきたというわけです。 以来、私は、この違和感を解消するため、なぜ、「サイエンス」が日本語では、「理科、科学」の意味に限定されているのかを調べました。そうして、初めて、欧米の学問の大系がどうなっているのか、やっと理解したのです。 日本で高校まで過ごし欧米の大学に留学した人でも、この「サイエンス」の本当の意味を理解していない人が多いのに驚きます。なぜ、大 学で心理学を専攻して卒業すると、「BS」(bachelor of science:バチェラー・オブ・サイエンス)の学位がもらえるのか、最後に付いているscience(サイエンス)がなにかわかっていないのです。 じつは、日本の大学教授でさえ、このことがわからない人がいます。そうでなければ、「文学部心理学科」などのような学科が存在するわけがありません。 2008年4月に、私が編集長を務める光文社ペーパーバックスの編集部では『間違いだらけのMBA』(喜多元宏・著)という本を出しました。じつは、このなかの第4章に、これから書くことは詳しく解説されています。この第4章の内容はほとんど、私が著者の喜多氏に提供して構成したので、ここからは、その原稿をもとにして、書いていきます。
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