デイリースポーツ芸能面 |
1980年代の前半、スポーツ紙の『デイリースポーツ』芸能面に、何本か記事を書いた経験がある。そのうち、原稿が残っていたものを、ここに保存しています。
■“ポスト百恵”のエースへ――三原順子デイリースポーツ(1981年4月20日)
「私の好きなのは百恵さんだけ。あとは個人的に好きなタレントさんていないの。あの人のような生き方をしたいって、昔から思ってたんだ」と、ハスキーボイスでキッパリ言い切る三原順子は、この13日で16歳になったばかり。ハスキーボイスが妙にセクシュアルで、あどけなさを残すひとみは、かなりの落差がある。 歌でもデビュー「セクシー・ナイト」 予約レコード10万枚突破 「この声は生まれつきです。よく聞かれるけどおかしいですか?」 もちろん、そんなことはない。そういえば百恵の声もそれほどの女の子然としたツヤのある声ではない。 デビュー曲「セクシー・ナイト」はそんな彼女の音域にピッタリした軽い感じの60年代ロック。発売前から予約が10万枚を突破。ヒットは間違いない。 すでに今年はこういう形でデビューした新人がことごとく売れている。三原順子はこの最後の列車に乗って来た“ハートのエース”といえばいいのだろうか。 人気はご存じ“たのきん”から出た。「3年B組金八先生」のなかで、ややツッパった女生徒から一年後が現在の彼女である。 レコードデビュー前に、ブロマイド人気がNo.1になり、このエースはすでに十分シャフルされたエースなのである。 「小さいころは、すごく人見知りをしました。だって私、カギっ子だったんだもん。ウチが町工場やってて、父や母はかまってくれないの。友達もいなくていつも独りぼっち」 そこで、見かねた両親の勧めで劇団に入った。このとき8歳。おそらく、将来の自分について順子はうすうす知りながら、役者の道を歩いてきたわけである。 バイロンの言葉に「一夜明けたら、有名だった」とあるが、20世紀後半のショービジネスの世界ではこういうことは、起こらなくなった。世間では人気の爆発がそう見えても、必ず人気者にはキャリアが隠されている。 「何が好きって、ラーメンが一番好き。いつも食べてるわ」16歳の平凡さは食べ物だけかもしれない。百恵のしたたかさの後継者が、ここにある。
■WHY(なぜ)――60年代のポップスがバカみたいに売れるデイリースポーツ(1981年5月24日)
なぜか60年代ポップスが売れに売れている。その代表的な担い手の一人、大瀧詠一はこう言う。「ポップスはもともと10代の子供たちの音楽として生まれたけど、それがだんだん25歳の人も、30歳の人も、40歳の人も聴けるようになってきた。つまり、青春の概念が広がって、10代~40代くらいまでが青春期という時代になったわけ。そういう時代だからこそボクのように30を超えた男でも、こういう歌が歌えるし、不自然じゃない。ボクらもまだ青春にいるんですよ」(オリコン5月15日号) この言葉通り、彼の新作LP「ロング・バケイション」は、まさに60年代ポップスのおもちゃ箱のようなLPで、評判も上々ならセールスも好調。実際、この「ロンク・バケイション」だけに限らず、現在売れているLPのほとんどは、みな60年代ポップスのエッセンスをなんらかの形で持っている。今、最大のブームといわれる寺尾聡にしてからが、まさにこの典型。 「高校生などヤングには、寺尾の歌は新鮮味あふれるものに聞こえるらしいが、ボクら同世代の30男にとっては、限りなく、聴きやすいの一言ですね。なぜかって? それはボクらの時代の音楽だから」 と、あるレコード会社のディレクターも言う。 さて、今、これを読んでいられる読者の方々も、おそらくは、30代の方が多いと思う。いわゆるヤング・アダルトからミドル・エイジに属するといわれる“あなた”は、いったいどうお考えだろうか? 実は記者も同世代、そして、冒頭の大瀧詠一の意見にもディレクターの意見にも、お舞わずうなずいてしまう人間なのである。 去年から今年にかけて、モンキーズの一大ブームが起こった。まさに60年代ポップス復活を決定づけるブームで、もちろん今でも続いているわけだが、ブームが渦中にあったとき、仕掛け人の一人である日本フォノグラムの北沢透ディレクターはこう言った。 「本当に好きですよ。テレビCFに使ったことで、ある程度とは思ったけど、まさかこんなになるとはね」 しかし、その“まさか”の驚き裏にはある感慨が隠されていた。やっとボクらの世代が、時代を動かしていく時期になったというものだ。もっと説明すると、それはこういう意見に代表される。 「今まで音楽マーケットの実権を握っていたのは、いわば古き世代。オジンといわれる人たち。この世代は60年代に大人か、あるいは半大人であって、60年代ポップスの理解者であっても、体得者ではなかった。80年代となり彼らが次第に製作の現場からリタイアし、世代が体得者に移ったので、60年ポップスが街にあふれだしたわけですよ。シャネルズにしても、寺尾聡にしても、製作スタッフたちは、みなこの世代。彼らの好みがやっと自由に反映されるようになってきたわけです。ですからブームとはいっても、違う感覚を持った次の世代が社会の第一線に登場すれば、また変わっていくでしょう」 なるほどと思いませんか? 大瀧詠一がミュージシャンとして「今は、ボクを含めて10代~40代までが青春」と感じた皮膚感覚は、実は社会の中で、こういう世代交代が進んだからなのである。 人はだれでも、自分の生きる時代を選択できない運命にある。そういう意味でシャネルズも寺尾聡も大瀧詠一も、また他のポップス界の人気者も、さらにそれを作り出す製作スタッフも、みな時代の申し子だといえまいか?
■WHY(なぜ)――多くなったレコードの規制デイリースポーツ(1981年7月2日)
現実離れ、レコ倫規定・放送基準 今年は不思議なことに、放送禁止レコード、発売禁止レコードがやたらと多い。タモリのLP「タモリIII――戦後日本歌謡史」、原由子とベティの共作で話題を呼んだ「I LOVE YOUはひとりごと」なども哀れな運命をたどっている。また、レコードとは直接関係ないが、横浜銀蝿はあれだけはやっていても、ついにNHKの画面には登場できなかった。これらのチェックの理由はいったいなぜなのか? 改めて考え直してみるのも面白い。 タモリもやり玉――戦後日本歌謡史 まずはレコードだが、これには日本レコード協会倫理規定委員会=通称“レコ倫”というものがある。映画でいえば映倫。いわゆるレコードメーカーが識者を交えて自主的に規制する組繊で、毎月10日の定例委員会では、常時500枚近いレコードがチェックされている。 タモリのパロディー・レコードは著作権上の配慮から発売無期延期になった。なにせ出てくる歌がすべてパロディー。加山雄三の「君といつまでも」を例にとると、“♪しわすだなあ、僕は12月になるといつもしわすなんだ~”と、すべてこんな調子だからたまらない。タモリ流の徹底したパロディー精神が十分発揮されたと思えるが、過去の名曲をおちょくったと、頭の固い取り方をする人を恐れて、メーカーは自主規制してしまった。 「I LOVE YOU …」の方は、レコ倫は通過したが、民放の放送基準にひっかかった。歌詞中の“♪ときめきのオーラル”などという部分がワイセツだと決めつけられたらしい。もっとも、畑中葉子の「後から前から」や「もっと動いて」などと比べて、どっちがよりワイセツかなどと考えてみると、この放送禁止は非常にアイマイ。片やテレビで堂々と歌い、こなた有線でしか流れないというのでは納得できぬ人も多いと思う。 もっとも「あれはゲイを扱っているから」という観測もあるが真相は不明。 横浜銀蝿の「つっぱりHigh School Rockn Roll」は、NHKラジオ、FMでは流れたが、歌う本人たちは画面にいまだに登場していない。説によると彼らのおちこぼれ不良性が公共の電波にあわないと判断されたという。ひと昔前、長髪のためにグループサウンズがNHKに出演できなかったことを思い出した人が多いのでは……。 しょせんは“時代を映す鏡”にすぎぬ規制 さて、主な例をあげたが、こうみてくると、レコ倫規定や放送基準が現実離れしているとも思える。実際、そうした意見も多い。しかし、音楽とはあくまで“音を楽しむ”ものであり、楽しむ側の選択にすべてがかかっている。イタズラに規制しても、それで現実が消えるものでもない。 例えば、高倉健が歌う「網走番外地」は、テレビでは絶対聴けない歌のひとつである。放送基準からいって、ヤクザの世界を扱っているものは、好ましくないとされているからだ。 しかし、この歌は今まで歌いつがれ、カラオケでも人気のある曲の1つとなって、いわばスタンダード・ナンバー。市民権を得てしまったといえるだろう。 また、昨年の10月発売予定の「光州CITY」という曲は、レコ倫でチェックされ発禁となった。当時、韓国内で大騒ぎだった光州暴動をアオる歌と思われたのだが、暴動が治まった今となってはただ悲しいばかりの反戦歌にすぎないのでは………。 このように、発禁、放禁、出場規制は、いわば“時代を映す鏡”にすぎない。 どのレコードが良くて、どのレコードが悪いといえるのは、多分に時代の流れにさおを差しているからだ。音を楽しむという、音楽本来の見地からすれば、放禁も発禁も1つの楽しむべき話題にすぎないのだ。
■WHY(なぜ)――突如いまニュー・ロマンティックスデイリースポーツ(1981年7月3日)
今、またロンドンの音楽シーンに注目が集まっている。60年代にビートルズを生んで以来、世界の音楽シーンを常にリードしてきたロンドン。70年代のグラム・ロック、ベイ・シティ・ローラーズ、パンク…と続いて、ここしばらく動きが鈍っていたが、どっこいロンドンは生きていたのである。 「モダン・ガール」の大ヒットでたちまち世界を席けんしたシーナ・イーストンの登場は、実に久々のロンドン・ポップの復活といえるし、これと時を同じくして広まったニュー・ロマンティックス・ムーブメントは今後世界中に波及していきそうな勢いなのだ。 なぜ、衰退一途の大英帯国の首都が、これほどまでの力をまだ持っていたのだろうか? そもそも、このニュー・ロマンティックス・ムーブメントは、ビリーズという小さなクラブが発生地だった。そこに集まる若者たちは、D・ボウイやロキシー・ミュージックなどのかつてのモダン・ポップスに体を揺らし、体には奇抜ともいえるラジカルな衣装をまとっていた。やがてこの中から次代を担うミュージシャンが育った。現在活躍中のスパンダー・バレエや、S・ストレンジ率いるヴィサージたちだ。 彼らのサウンドは世紀末的なふん囲気に彩られているが、デカダンスという中にもどこか不思議な明るさも併せ持っていたから、英国のジャーナリズムはこぞって飛びついた。ニュー・ロマンティックスと呼ぶもの、モダン・クラシックと呼ぶもの、フューチャリスト(未来派)と呼ぶものと、命名の差はあったが、ルーツはひとつ、パンク以来衰退していたロンドンの音楽シーンに現れた“希望の星”であることには間違いなかった。 来日して話題をまき、全米ヒットチャートも制したシーナ・イーストンは、このニュー・ロマソティックス・ムーブメントの中でのシンデレラといえるのだ。 このニュー・ロマンティックスは音楽だけでなくファッションも変えつつある。この5月にロンドンに行った音楽記者のI君は「デパートのマネキンも今では中世風の衣装を着ていたよ」と驚いていたくらいである。 デカダンスの中にも不思議な明るさ――未来に何かを期待 もともとロンドンの音楽シーンは、ファッションと一緒に存在を主張してきた。T・レックスらのグラム・ファッション、セックス・ピストルズのカミソリやピンを散りばめたパンク・ファッションというように、今度のニュー・ロマンティックスも、だからこの例外ではなく、実に奇抜だ。 これは、前出のI君によれば「物価が高いからだね」というのに原因があるらしい。日本のようにブランド物の服をあれこれ引っ張り出しては悩むなどという光景を見たら、ロンドンの青年は卒倒してしまうと、彼は笑うのだ。 「それほど一般市民は地味で質素なんだ。だから、若者たちは古着屋で買った服を手直しして着飾り、自分を主張しているわけさ」 一見えらく派手に見える外観も内側をのぞけば、英国社会の現状を深く反映しているといるのだ。 「しかし、パンクのころのストレートな現状不満は、もはやなくなって、このニュー・ロマンティックスは、何かを期待させるから不思議だね。イギリスの青年たちも、やはり未来を志向していると思うと、ゾクゾクと来たね」と、I君は総括した。 このニュー・ロマンティックス、今後どんどん日本に上陸する。すでにスパンダー・バレエのLPは発売され、ヴィサージ、デュラン・デュランなどの新作も続々と登場する。もういちどロンドンのささやきに、耳を傾けてみたらどうだろうか。
■WHY(なぜ)――盛り上がらぬレコード大賞本命は寺尾だが、歌謡界の人間じゃないデイリースポーツ(1981年11月27日)
今年も早や大詰め。歌謡界では賞レースに火花を散らしているはずの季節なのに、なぜかいまひとつ盛り上がらない。毎年、目を血走らせて“欲しい、欲しい”の熱いラブコールが聞こえたのに、今年はどこを向いても聞こえてこないのだ。今年の業界の冷え込み方は前例がないほどのものという。いったい、どうしてこうなってしまったのだろうか? レコード売り上げも不振 まず第1の原因は、レコードの売れ行きがダウンしていることに尽きるという。レコード業界全体の売り上げは年間3000億円といわれるが、今年は昨年より10%以上落ちるのが確実視されている。 「 超ヒット曲がなかったこともありますが、貸しレコードのブームが最も痛い」(関係者)というわけで、先ごろ業界は貸しレコード店4社を著作権法をタテに告訴に踏み切っている。 こうした背景だからといっても、候補者が目白押しなら賞レースも救われるが、そうでないのが第2の原因。 去年の今ごろを思い出してもらいたい。五木ひろし、八代亜紀の両ベテランが、“五・八戦争”に火花を散らし、片やニュー・ミュージックから五輪真弓も挑戦という、型通りとはいえ、盛り上がりはあったのである。 「今年はもうああいう状態を望むべくもないでしょう。なぜならベテラン連中で活躍した者が一人もいないからですよ。最後まで残っていた八代にレコード大賞をあげて、もう持ち回りは終わってしまったわけで、その後のベテランは育っていないという現状だからです」(某評論家) 何もベテラン歌手に賞を取らせてあげるのが“賞レース”を盛り上げる方法でもないのだが、業界というところは不思議とこだわるので、さらにつまらなくさせてしまう原因を自ら作ってしまった。これが第3の原因。 既に発表されたことだが、レコード大賞は今年に限って特別賞を新設する。これは去年の新人、田原俊彦、松田聖子、河合奈保子らのパワーが一向に落ちないためにやむなく施した処置で、2年目新人賞に当たる“ゴールデンアイドル賞”を作ってしまったわけ。これによって、彼らは大賞資格と金賞10人ワクに入る資格が自動的になくなり、ベテラン勢は救済されるという次第だが、こういう八方丸くという処置ほど、見ていてハラハラドキドキというファン心理から離れているものはないだろう。 ベテラン連に快打なし さてここで、今年のレコードの実績をもう一度振り返ってみよう。 断トツはやはり「ルビーの指環」の寺尾聡で133万枚。次いで「奥飛騨慕情」(竜鉄也116万枚)「長い夜」(松山千春86万枚)「スニーカー・ブルース」(近藤真彦81万枚)「ハイスクールララバイ」(イモ欽トリオ80万枚)「街角トワイライト」(シャネルズ72万枚)…という順。 「実績重視という当たり前の方針を改めて打ち出した今年のレコード大賞ですから、恐らく寺尾で決まると思いますが、それでは面白くもない人々もいる。なぜなら、寺尾は役者で歌謡界の人間じゃないからです。しかし、同じようにニュー・ミュージックの連中も歌謡界の人間ではないとして、これまで同じ土俵に上げてこなかったのだから、そうなったとしても仕方がないでしょう。寺尾で決まりではあまりに本命すぎて盛り上がらないといっても、それは今までそのようにしてきたのだから、仕方のないことなのでは……」(某評論家) どうやら、あれこれと手を尽くしても、もう遅いという雰囲気で、このまま季節とともに冬が続いてしまうのだろうか? レコード大賞といってもTBSの一番組と割り切ってしまうにはまだまだ早い。大みそかを締めくくるひとつの祭典という見方は根強いのだ。最後に、レコード大賞とは何か? をしるしておこう。 「大衆性、創造性、芸術性に重点を置き、作詞、編曲、歌唱を総合審査」した上で、その年度のベストと目される楽曲に与えちれるものだというのだが……。
■60年代サウンドの華、デイブ平尾が復活低迷歌謡界に“本物”ひっさげカンフル剤デイリースポーツ(1983年3月19日)
30代には郷愁を、10代、20代には新鮮なニューサウンドをと、60年代サウンドの担い手、デイブ平尾が復活する。デイブといえば、人気GS、ゴールデン・カップスのボーカリスト。R&B(リズム&ブルース)をベースにした独特の唱法で、数あるGSの中でもカリスマ的な存在だった男。アイドル全盛、ジャリタレはんらんの歌謡界にあって、久々の本物復活といえるのだが、なぜ今ごろに――。 既にデイブは六本木のど真ん中にパブを持ち、昨年11月から自らマイクを握っている。パブの名はずばり「ゴールデン・カップ」連日連夜の大盛況で、デイブ復活のうわさを耳にしたかつてのファンや芸能人たちでいっぱい。 特にGS時代のヒット曲「長い髪の少女」「いとしのジザベル」などを歌うと、店中大合唱になるほどで、復活ムードはまさに盛り上がっている、「こんなにみんながノッてくれるとは思わなかったね。おれはきょうまで全くマイペース。横浜で生まれて、横浜で育って、その中でいいと思ったものをやってきた。だから、周りはどんどん変わったかもしれないけど、おれは全然気にしなかったし、それでよかったと思っているんだよ」デイブは自信たっぷりに言う。 それもそのはず。かつてのゴールデン・カップスは確実にGSの頂点に立つバンドだったからだ。ミッキー吉野、ルイズ・ルイス、柳ジョージらの人気者を輩出していることを考えれば、その実力がズバ抜けていたことは明らか。 「多くのGSが音楽的には何も残さなかったが、ゴールデン・カップスだけは残したんですよ」と、デイブ復活を強力にプッシュしているキングレコード関係者の目も輝いている。 店の客の中に、沢田研二やテレビ「おれたちヒョーキン族」でホタテとして子供たちのアイドルとなった安岡力也(元シャープ・ホークス)らの顔が見えるのも、デイブの根強い人気を物語っている。 復活は2日後の21日。 「横浜ルネッサンス」というLPは、現在、発売を待つばかりとなっている。 「みんな喜んで曲を提供してくれ、しかも、おれのことを分かってくれていたから、横浜の雰囲気がタップリ出ているよ」 阿木耀子、宇崎竜童のヒットメーカーや藤竜也、竹田和夫らが参加、評判は上々。R&Bを基調とし、無国籍の男と女が登場、けん怠とシニカルが入りまじる全10曲は、まさにルネッサンスというのにふさわしい。 「まさか昔と同じ状況が帰ってくるとは思わないよ。おれが育ったころと比べて、横浜は全然変わっちまったからね。だから、ルネッサンスというのはひとつの願いだね。熱く燃えた60年代の横浜をもういちど、心の中で確認してみてほしいよ」復活する限りは、このLPを大ヒットしてみせると意欲も満々。 折しも、デイブに限らず“横浜サウンド”は今、静かなブームの中にある。 横浜育ちの新しい世代、石黒ケイの歌や、ナイスミドル藤竜也の歌の評判は高い。デイブの復活は、音楽的には全く低迷している歌謡界に対する不満の表れ。強力なカンフル剤となることは間違いない。
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