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Home [005]サブプライムと毒入りギョーザ、どっちが罪が重いか?

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[005]サブプライムと毒入りギョーザ、どっちが罪が重いか?

2009年2月8日

ウォール街が崩壊したのでなくモラルが崩壊した

 昨年の9月末、リーマンショック後にNY株が急落していたとき、米国ハドソン研究所の上席研究員・磯村順二郎氏から電話があった。

 磯村氏とは、それまで有志による「日本の財政危機を救うためのプロジェクト」(内容は詳しく書けない)で、何度か相談にのっていただいていたが、その折々に氏が言っていたのは、「いまの金融資本主義には節度、モラルがない」ということだった。日本が巨額の財政赤字を積み上げているのは問題だが、それは日本だけでなく、アメリカも他の先進国も変わりない。だから、日本だけのことを論じても仕方ないのではないかというのが、磯村氏の考えだった。

 で、9月末の電話だが、このとき開口一番、磯村氏が言ったのは、「山田さん。ボクが言ったとおりでしょう。ウォール街の崩壊とか、市場原理主義の崩壊とか言われていますけど、これはモラルの崩壊ですよ」ということだった。


 2007年にサブプライム問題が顕在化したときから、磯村氏は、このことを指摘していた。
ウォール街もシティも、それを取り巻く英米の権力者たちも、年々、モラルを失っていった。それが、今回の金融危機の本当の原因であるのは、いまとなれば間違いないところだ。
 
 したがって、景気対策のためにいくら税金をつぎ込もうと、今回の危機は回復しないだろう。

モラルの回復なしにおカネをつぎ込むのはムダ

 経済は、おカネやモノでだけで成り立っているのではない。経済活動をするのは、人間だから、「信用」や「モラル」がなければ、おカネもモノも社会の中を循環しない。送り手と受け取り手が、お互いに相手を信用できなければ、おカネもモノも動かない。相手にモラルがないのに、誰がおカネを貸すだろうか?

 金融危機が起こってからいままで、この問題はまったく解決していない。

 なのに、各国政府は、財政出動で国民のおカネをつぎ込み、景気を回復させようとしている。日本でも、その額を積み上げれば、経済が回復するかのように言っているメディアや識者がいるが、彼らはなにもわかっていない。

 いま、アメリカがしなければいけないことは、世界中に謝罪することだ。サブプライムを証券化して世界中にバラまいたことを謝罪しなければ、どこの政府もアメリカを助けようとはしないだろう。

 イギリスも同じだ。ウォール街とシティがモラルを忘れ、強欲に走ったのは明らかである。神谷秀樹氏の『強欲資本主義 ウォール街の自爆』を読むと、彼らの精神がいかに病んでいるかよくわかる。

中国の毒入りギョーザよりひどいサブプライムの輸出

 ゴールドマンサックスもリーマンも、英米の金融機関の人間はほとんどが、CDSが「詐欺商品」だと知っていたはずだ。とすれば、これは、中国ギョーザ事件と本質は同じだ。CDSもギョーザも、その中に毒が入っていて、外国に輸出された。
 
 そして、毒が発見されるや輸入国は大混乱に陥った。

 しかし、被害者には失礼だが、毒入りギョーザの被害と今度のサブプライムの被害を比べれば、その破壊力は圧倒的にサブプライムの方である。毒入りギョーザを輸出した中国は、いちおう謝罪した。しかし、アメリカは今日まで謝っただろうか?

 アメリカは、1990年代に「失われた10年」を続ける日本に、「東京発の世界不況を起こすな」とさかんに言ってきた。ところが、今度は、その自分たちが「ニューヨーク発の世界不況」を起こしてしまった。

アメリカを建国したピューリタンの精神が失われた

 資本主義は、強欲では成り立たない。マックス・ウェーバーが『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』で述べたように、資本主義の成立基盤は、ピューリタンの禁欲主義である。そして、アメリカはこのピューリタンによってつくられた国だ。

 ウェーバーの考え方は、さかのぼれば「アメリカ建国の父」ベンジャミン・フランクリンに通じる。フランクリンは、「神からの使命である天職をまっとうすることが、人間各自の義務」とし、「その天職は貨幣で測れる」と考えた。ひらたく言えば、神から与えられた使命を、一生懸命にまっとうした対価として、はじめておカネが得られるというわけだ。

 こうして、天職とおカネが一致したので、利益追求という自己目的は正当化された。しかし、それは、あくまで、プロテスタントの倫理、モラルのうえに成立するものだ。その意味で、ウォール街の人々は、本来のアメリカ人ではない、建国の父たちも嘆く、反逆者ではないか。

20世紀最大の発明はクレジットカード?

 いま、資本主義は終わりのようなことまで言われだした。たしかに、モラルが回復しない限り、そうなるだろう。

 日本には、西欧の資本主義を受け入れる思想がもともとあり、それは仏教思想の「何の事業も皆是仏行なり」だと述べたのは、山本七平だった。山本七平の『日本資本主義の精神—なぜ、一生懸命働くのか 』(PHP文庫)を読むと、日本をつくった2人の思想家、鈴木正三と石田梅岩の思想が、プロテスタントの世俗的禁欲主義に近いものだとわかる。

 オバマは就任演説の中に、建国時のエピソードを交えた。それは、アメリカ人に、「祖先のようにマジメに働け」というメッセージだったのだろうか?

 ウォール街やハリウッドは例外として、アメリカには、マジメに働き、つつましく生きている人も多い。ウォール街やハリウッドだけが、アメリカではない。
実際、自分の仕事と娘をとおして多くのアメリカ人と接したが、中国人のようにすぐ「給料はいくらか?」「年収は?」「どんな暮らしをしているのか?」など、ずばずば聞いてくるアメリカ人は少ない。

 大都市でも農村でも、多くのアメリカ人はマジメに働いている。ただ、みんなクレジットカードを持っているということが、最大の不幸かもしれない。あるアメリカ人は、「20世紀最大の発明はクレジットカードだ」と、私に言った。「なぜ?」と聞くと、「借金のために働かされるようになったからだ」と言った。

 アメリカの財政赤字はもはや返せるものではない。今回の金融危機で発生した不良債権も返せる限度を越えている。しかし、それを働かないで返そうとするなら、アメリカと言う国には未来はないと思う。

 

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