12/04/18●「デジタルで1ドル稼ぐとプリント7ドル失う」新聞デジタルシ化のジレンマ |
アメリカの新聞のデジタルシフトは加速しているが、デジタルシフトすればするほど苦境に陥るという悪循環に陥っている。これまでは、新聞社がデジタル事業で1ドル稼ごうとすると、代償としてプリント事業で7ドル失う(Pew Research Centerの調査結果)とされたが、このほど、その調査は甘すぎるという指摘が出た。
指摘したのは、メディア産業のコンサルタントのAlan D. Mutter氏。「REFLECTIONS OF A NEWSOSAUR」のアラン・マッタ―氏の記事によると、新規のデジタル事業で1ドル稼ごうとすると、これまでのプリント事業で 27ドルを失うことになるという。 アメリカの新聞の売上の約8割は広告収入が占めている。だから、新聞社の経営は広告売上に頼ってきた。以下は、「The Atlantic」に掲載された新聞広告売上高の推移だが、これを見ると21世紀になって新聞広告は急降下している。プリント版とデジタル版を足した新聞広告の売上高は2005年に494億ドルあったのが、2011年に239億ドルに落ち込んでいる。
プリント広告の激減をカバーしようとデジタル版を進めたが、そのデジタル版の広告は伸びるものの単価が低くプリント版をカバーできない。 2006年から2011年までの間に、プリント広告の売上高は267億ドルも減ったが、オンライン広告売上は12億ドルしか増えていない。そこで、デジタル事業で1ドルを得るには、プリント事業で27ドルを失うという結論になったようだ。 《参照記事》 |