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『米中冷戦 中国必敗の結末』(MdN)

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『コロナショック』(MdN新書)

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『コロナ敗戦後の世界』 (MdN新書) 

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近著4冊

  

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[267]カジノ法案、オスプレイ事故、あまりにひどい「偏向報道」
2016年 12月 15日(木曜日) 17:33

アメリカでもMSM(メインストリーム・メディア)の偏向報道に対する不信感が高まっているが、日本の場合は偏向報道に加えて、明らかな情報操作(スピン)が行われている。「カジノ法案」「オスプレイ事故」報道は、その典型だ。

 

■信じがたい新聞各紙の「カジノ反対」社説

 

 まず、「カジノ法案」の報道だが、新聞各紙がなぜみな反対して、いい子ぶっているのか本当にわからない。まるで、この法案が通れば、明日にもカジノができ、国民がギャンブル漬けになって、ひどい目にあうような印象操作が平然と行われている。以下は、主要3紙の社説のタイトル。

【読売】カジノ法案審議 人の不幸を踏み台にするのか

【朝日】カジノ法案 危うい賭博への暴走

【日経】拙速なカジノ解禁は問題多い

 このうちとくに、「朝日」はひどい。「刑法が禁じる賭博に、民間業者が営むカジノという新たな例外を認めようとする法案だ。国内外の反社会的勢力に利用されないか。治安が悪化しないか。国民の懸念は根強い。」

 新聞記者はけっこうギャンブル好きだ。競馬も麻雀もパチンコもやる。それなのに、よくもまあ、こんな社説が書けるものだと思う。

 

■ギャンブル依存症を言うならパチンコは?

 

 はっきり言って「カジノ法案」と言っても、本当は「IR法案」であり、さらにプロセス法案であって設置法ではない。つまり、この法案が通ったからといって、すぐにカジノができるわけでないし、1年後に設置法ができたとしても、本当にできるとしたら5、6年後だ。

 しかも、いまさら、海外のカジノビジネスが、マカオでもシンガポールでも売り上げを落としているカジノを日本につくるだろうか? 日本は、どこの町にもカジノ(パチンコというスロット)がある国だ。

 それはそうと、メディアが問題視しているのが、ギャンブル依存症だ。テレビのワイドショーはわざわざ韓国の江原(カンウォン)まで行って、「韓国ではカジノ解禁により依存症患者が増えて社会問題化しました」などと大嘘のレポートをしている。確かに、カジノ依存症患者は増えたが、それは韓国が2006年にパチンコを禁止したためだ。

 韓国のパチンコは「メダルチギ」(釘なしパチンコ)といって、最盛期には全国に2万店あり、依存症患者を大量生産していた。ところがワイドショーは、このことを一切無視して、「韓国のようになる」と言いたいのだろが、それを言うなら、日本でのパチンコを禁止するというのが正論だ。カジノではない。

 しかし、日本のテレビなどのメディアはパチンコ産業の広告漬けだから、カジノとパチンコを同一に論じられない。パチンコの存在を隠して、完全な情報操作を行っている。

 

■かつて推進派だったのに猛反対という茶番

 

 カジノ法案の成立を阻止するために、民進党は不信任案まで出した。この民進党を、批判しないのも、メディアとしてはおかしい。なぜなら、彼らは一時カジノ促進派だったからだ。

 

「なにが成長戦略だ。人の金、負けた金が利益になるようなカジノが本当にこの国の経済の柱になるのか」(蓮舫代表)「日本をギャンブル大国にでもしたいのか。カジノ法案を強行採決するのは、まさに数のおごりだ」(安住淳代表代行)などと、彼らはいまさら、なにを言っているのか? 民主党政権時、カジノ検討ワーキングチームが超党派で組織され、カジノ法案は正式承認されている。前原誠司氏などはカジノ推進議連の中心メンバーだった。

 

 ようするに、彼らは、カジノのことなど本気で考えたことはなく、出来ようと出来まいとどうでもいいのだ。ただ、反対すれば野党らしいと思っているだけだ。とくに、国民が依存症になるなどいうのは、国民の自由を無視し、愚民扱いしている点で、鼻持ちならない考え方だ。

 日本の問題点は、刑法で賭博を禁じているのに、事実上はギャンブル大国だということ。しかも、国が胴元だということ。さらに、パチンコのように賭博場が住民の生活圏の中に溶け込んでいることだ。

 

■カジノ法案の背景にある人間関係

 

 ところで、カジノ法案成立が急がれたことには「裏」があるという。陰謀説と言うほどではないが、確かに、いろいろなことがつながっている。

 そのラインを手短に書くと、

 

 ソフトバンクの孫正義社長→サンズ会長シェルドン・アデルソン氏→ドナルド・トランプ次期大統領→ネタニヤフ・イスラエル首相→安倍晋三首相

  となる。

 

 孫正義氏は12月6日にNYのトランプタワーを訪ね、トランプ次期大統領と会談した。これを仲介したのを彼は「共通の知人」と言ったが、それはおそらくアデルソン氏だ。アデルソン氏はトランプ氏の選挙の最大の資金提供者で、ネタニヤフ首相の親友だ。

 安倍首相は昨年1月イスラエルを訪問し、イスラエル主導の中東和平に賛同している。安倍首相は2014年10月に辞任したとはいえ、それまでカジノ議連の最高顧問を務めてきた。

 ソフトバンクは、1995年、店頭上場時にコムデックスを8.6億ドルで買収している。このコムデックスの持ち主がアデルソン氏だった。アデルソン氏はその資金を元手に、ラスベガスでサンズを会社ごと格安で買い、1999年にベネチアン・ホテルとして開業してカジノ業界に進出。その後、マカオ、シンガポールとカジノビジネスを拡大してきた。

 アデルソン氏は2014年3月に来日した際、「私は日本のカジノビジネスに100億ドルを用意している」と豪語していた。

 

■大口顧客も小口顧客も減っているという現実

 

 以上をつなげると、カジノが今後解禁され、日本でカジノができるとしたら、サンズになるだろうとする見方が鉄板となる。

 しかし、前記したように、もう世界のカジノビジネスは衰退している。すでに、フィリピンのマニラにも巨大カジノができて、チャイニーズのハイローラーはアジア各地に散ってしまった。しかも、習近平の贅沢禁止令で派手なマネロンもできなくなくなった。

 また、いまのカジノは、監視カメラ、IT機器が張り巡らされている。テーブルが「i-table」なら、カードによる自動決済ができる。もはや、マネロンができるような怪しいところではないのだ。

 では、小口の一般ギャンブラーはどうかといえば、こっちも、もうおカネを落とさない。いま、ラスベガスに行くと、1階のフロアにあるのは、スロットの1セントマシンばかりだ。昔は、スロットの25セントマシンがずらっと並んでいて、人がいっぱいだった。

 こんな状況で、本当に日本でカジノをつくる事業体があるだろうか? サンズを筆頭にMGMなどのラスベガス資本、メルコ・クラウンなどが本当にやってくるだろうか?

 

■日本的なカジノでなければ成功しない

 

 悪いが、カジノにハマる客は減っている。とくに、いまの若者は、スマホゲームばかりやっていて、カジノにはあまり興味がない。とすると、日本でも韓国と同じようにパチンコを禁止しないと、カジノはビジネスにならないだろう。

 また、カジノによって賭博を合法化するなら、賭け麻雀、賭け花札などもOKにしなければおかしい。そうして、そうした日本的ギャンブルを日本のカジノに取り入れれば、日本人を中心に集客は可能になるかもしれない。また、外国人客も、世界のほかのカジノと違うので、興味を示すかもしれない。

 いずれにせよ、カジノ法案の報道には、このような視点はゼロだ。大メディアはカッコだけつけて、あたかも自分たちの主張が正義のように報道している。

 まったくもって、見ていられない。

 

■本当に「沖縄県民の怒りは頂点」なのか?

 

 続いて、オスプレイ事故についてだが、これは「ヤフー個人」欄に先に書いたので、以下、それをほぼ再録する。

 まず、言いたいのは、今回のオスプレイの墜落は、単なる事故で、それ以上のものではないということ。ただ、死者がでなかった点、海上に墜落した点で「不幸中」の幸いだった。

 米軍機は最近では、9月に沖縄本島の沖合でAV8攻撃機ハリアーが墜落、12月初めに高知県・室戸岬沖約100キロの海上でFA18ホーネット戦闘攻撃機が墜落している。前者ではパイロットは助かり、後者では死亡しているが、この二つの事故に関しては、メディアはただ事実関係を報道しただけだった。

 ところが、今回は違う。オスプレイをまるで「悪魔のヘリコプター」扱いして、「それみたことか」式に報道した。この点を強調して、社説にまで仕立て上げた新聞もあった。つまり、メディアはこの事故を起こるべくして起こった事故だと言いたいのだ。そして「市街地に落ちていたらどうするんだ」とし、「沖縄県民の怒りは頂点」などと、続報を自ら膨らませていった。

 テレビは住民にインタビューし「怖いです。なんとかして欲しい」などいう声を垂れ流した。こんなふうに思っている住民など一部しかいないのに、あたかも沖縄住民はみなそう思っているように報道するのだから、偏向もはなはだしい。

 

■信じがたい副知事の「植民地」発言

 

 このような偏向報道があるから、沖縄県の安慶田光男副知事は“調子にのって”、ローレンス・ニコルソン中将(沖縄米軍のトップ)に直接抗議に出向き、その後、「謝罪はまったくなかった。本当に植民地意識丸出しだなと感じた」という恥知らずな会見をしてしまった。

 さらに、翁長雄志知事は、必要もないのに上京して、政府に抗議、普天間基地に配備されているオスプレイを撤去させると息巻いた。

 軍用機だろうと民間機だろうと、事故が起きたときは、まず乗員の安否の報道が優先だ。次に、事故原因だ。しかし今回、日本のメディアはそんなことは二の次で、恣意的な報道に終始した。

 

■ニコルソン中将の話を恣意的にしか伝えず

 

 米軍の発表によると、事故を起こしたオスプレイは、空中給油の訓練中に、燃料を送るホースが切れて羽根に当たったために、飛行に障害をきたした。そのため、パイロットは住宅地の上空を通って嘉手納基地や普天間飛行場に戻るルートを避け、キャンプシュワブのある名護市に向かったという。

 したがって、メディアはニコルソン中将のインタビューをもっと詳しく伝えるべきだろう。しかも、オスプレイは日本防衛のための訓練を行っていたのだ。

 ところが、メディアは「住民に被害を与えなかった。感謝されるべきだ」「(事故を)政治問題にするのか」というところばかり切り取って、ニコルソン中将の発言を伝えた。

 ニコルソン中将はこのように言っていた。

「よく訓練されたパイロットたちの素晴らしい判断と技能で最悪の事態を避けることができました」「沖縄の一般市民をいっさい危険にさらさないですみました」「若いパイロットたちは入院中です。私は彼らを誇りに思っています」「事故自体そのものは遺憾に思うし謝意を表明します」「航空自衛隊、海上保安庁をはじめ日本や沖縄の関係各所の迅速な対応にも感謝します」「日本を守るために多くの兵士が訓練しています。任務の内容について謝ることはありません」(Yahooニュース、コメント欄から)

 正確には、このサイトですべてがわかる。

http://tkatsumi06j.tumblr.com/post/154513044606/動画付き会見書き起こし全文対訳

 「この事故については、当然ながら遺憾に感じております。しかし、わが若きパイロットが行った素晴らしい働きと、沖縄の人々に類が及ばないようにと行った判断については、遺憾に思っておりません。」「(パイロットは)両名とも到着時には意識があり、両名とも話すことができました。1名は明日、骨折を抱えながら〔肩を指しながら〕退院できると思いますが、もう1名のほうは若干深刻でもう少し入院を続けるでしょう。」

 この司令官は、軍人として立派である。

 

■オスプレイの事故はそれほど多くない

 

 このような偏向にさらに輪をかけているのが、日本のメディアがオスプレイの利点をまったく伝えないことだ。

 日本のメディアによると、オスプレイは事故多発の危険なヘリだという。しかし、本当にそうなら、自国の若者を死なせてしまうのだから、なぜアメリカ軍自体が使用を止めないのか?

 じつは、オスプレイの事故はそれほど多くない。産経新聞記事によると、海兵隊の平均事故率は2.45となっていて、オスプレイの事故率は1.93と平均を下回っているという(記事のこの部分ははなぜか削除された)。それとは別に、ヘリコプターというのは結構事故が多いが、どちらかというと軍用機より民間機のほうが多い。

 そもそもオスプレイは、通常飛行をするために開発されたものではなく、主に特殊作戦で使用するのを目的とするために開発された。そのため、夜間や低空など過酷な条件での飛行が多い。だから、訓練を徹底して行っている。今回も、そんななかで起きた。要するに、オスプレイは一般の飛行機のように、安全な条件下での飛行を目的としていない。

 

■入院しているパイロットを見舞いに行け

 

 この点で言うと、これまでオスプレイは大活躍してきた。たとえばフィリピンが巨大台風の災害を受けたとき、ネパールで大地震が起こったとき、オスプレイは被災現場に大量の物資を運んだ。つまり、日本のように台風や地震などの自然災害が多い国には、オスプレイは必要なヘリなのである。実際、熊本地震の際は、オスプレイが大活躍した。

 しかし、こうしたことを、日本のメディアはいっさい報道しない。

 翁長知事と安慶副知事は、行くべき場所を間違えている。まず行くべきなのは、オスプレイのパイロットたちが入院している病院である。そうして、彼らに、日本国民と沖縄県民の謝意を伝えるべきだろう。

 

 
[266]大相場になった為替と株。初雪。手術。ジャパンカップ。流行語。
2016年 12月 01日(木曜日) 20:21

昨日、東京女子医大を退院して家に戻った。入院したのは先週の23日。翌24日に開腹による尿管剥離手術を受けたので、ちょうど1週間入院していた。開腹手術なのでまだ傷口がかなり痛み、今日も、ほぼ1日横になっていた。そして、窓からぼんやりと冬景色を眺めていた。

 それにしても、月日はあっという間に過ぎていく。

 

 手術前日、たまたま日本に立ち寄ったH氏が訪ねてくれたので、1時間ほど、現在の為替、株などの相場についての見方を聞いた。

「為替はともかくドル買い。いま大相場に突入しています。125円までは大した抵抗がないから、すぐに行くでしょうね。その先、ドル/円の行き着くところは見当もつきません。80円から125円まで行ったので、今回は100円からですから145円までは行くのは確実でしょう」

 現在、H氏はドルを買い続けている。これは、トランプだろうとクリントンだろうと関係ない相場の流れの必然だという。ソロスに言わせれば「市場は常に間違っている」ので、H氏のような見方の方が理にかなっている。いまや円を買う人はいないだろう。H氏は「予想屋さんたちが言っているように失速して折り返すことなどありあえない」とし、「ユーロも0.8に向っていく」と断言した。ダウも日経もみな買いであるという。

 ただし、それがいつまでかは誰にもわからない。トランプ政権になり、アメリカは「グレートアゲイン」に突き進むが、それによって世界中が好景気になるということはありえないだろう。日本経済の衰退は今後もずっと続く。

 

 手術日の24日は、雪の朝だった。病室の窓から、新宿の高層ビル群が見えるが、舞う雪の向こうにビル群は霞んでいた。11月に東京都心で初雪が観測されたのは54年ぶりの出来事だと、テレビニュースは報じていた。

 そんななか、手術室に運ばれ、全身麻酔となったので、その後の記憶はない。気がつくと病室で、それ以来、ずっと痛みをこらえながらベッドの上にいた。ただし、「体を動かす方が回復が早いですよ」と言うので、痛みをこらえて起き上がり、ほんの少しでも歩くことを心がけた。

   

 というわけで、26日(日)のジャパンカップは、初めて病室のベッドの上でテレビ観戦となった。出走馬のなかで、もっとも希望を持てる名前の馬は?ということで、レインボーラインを買ってみたが、6着だった。

 それにしても、なんの盛り上がりもない史上最低のジャパンカップだった。超スローで誰も動かず、向う正面で、もうキタサンブラックの勝ちは確定した。

 今年の外国馬はたった3頭。それなのに、テレビのアナウンサーは「世界のホースマンが注目するレースです」などと、まったく現実を無視した実況をしていた。

 本当に昔が懐かしい。文字どおり、国際G1の時代があった。凱旋門賞馬トリプティクは早くから来日し、富士ステークスを勝ってJCで1番人気になった。記者会見に行くと、ビアンコーヌ調教師は「彼女は絶好調だ。勝つために日本に来た」と豪語した。しかし、ルグロリューの4着に敗けた。

 

 寝ているのでテレビばかり見ている。毎朝、必ず朝ドラの『べっぴんさん』と、その前の『ごちそうさん』を見る。『真田丸』と『昼オビ』も必ず見ている。また、FOXクラシックで『大草原の小さな家』を必ず見る。こうしたドラマを見ていると、時間の感覚がなくなる。自分が生きているこの時代とすべての時代がつながっていて、人は時間を超えて生きているのではないかと思う。

 

 12月になったので、今年を振り返る気分が強くなった。テレビも年末になったせいか、今年を回顧するような番組が始まっている。先ほどは、ニュースで、年末恒例の「2016ユーキャン新語・流行語大賞」の年間大賞とトップ10が発表され、年間大賞は「神ってる」に決まったと言っていた。

 ちなみに、トップ10は「ゲス不倫」「聖地巡礼」「トランプ現象」「PPAP」「保育園落ちた日本死ね」「(僕の)アモーレ」「ポケモンGO」「マイナス金利」「盛り土」だ。この選考はなにか、非常に偏っているような感じがする。

 それにしても、月日は夢のように過ぎていく。

 
[265]トランプのアメリカを受け入れられる不思議。本当に日本人なのか?
2016年 11月 11日(金曜日) 11:11

トランプショックから抜けきれない。CNNをつけ、NYの反トランプデモを見ていた。ユニオンスケアから57丁目のトランプタワーまで行進する若者たちの心情が痛いほどわかる。トランプタワーの前に横付けされたトラックが、分断されたアメリカを象徴している。アメリカは変わってしまった。自由と平等、そして世界に開かれた国ではなくなってしまった。

 

 トランプ当選は、やはり「悪夢」である。とてつもない喪失感がある。ヒラリーかトランプかという予想を外したからではない。トランプの当選がないとしたことは、職業的に不明を恥じるしかないが、一人の日本人に帰ればトランプ当選は受け入れがたいことだ。

 

 トランプ当選を当てた評論家が、いま持ち上げられているが、それはそれでいいと思う。職業的にいい仕事をしたことに間違いないし、見事だからだ。ただし、この人たちが心情的にトランプを応援していたとすれば、その心情は理解できない。なぜなら、トランプは、白人の貧困層や転落中間層の心情を吸い上げて当選したからだ。

 つまり、「俺たちが不幸になったのは、移民のせいだ。彼らを排斥しろ」という訴えの根底には、人種差別がある。

 

 差別されているのは、黒人、メキシカンなどのヒスパニック、エイジアンなどである。つまり、私たち日本人は、トランプによって憎悪を植えつけられた白人に差別される側に位置する。「出ていけ!」と言われているのも同然だ。

 

「隠れトランプがいっぱいいた。裕福な白人も本音を言うとトランプ支持だった」と解説している人がいたが、それが本当だとしても、この現実は日本人としては悲しいことだ。そんなことを得意がって“アメリカ通”として話すのは、自分が白人の側だと勘違いしているとしか思えない。本当に日本人なのだろうか?

 

 自由と平等、そして開かれた国の恩恵を受け、子供をインターナショナルスクールからアメリカの大学に留学させた親としては、トランプのアメリカは、国家理念を捨てかねない危険な国になったとしか思えない。その意味で、トランプのこれまでの数々の暴言が、単なる演出にすぎなかったことを願っている。ただ、テレビ討論や演説を見たかぎりでは、彼の本音としか思えなかったが-----。

 

 私たち日本人は、トランプに投票したアメリカの下層白人より下に位置する。まして、東部のエスターブリッシュメントから見れば極東の単なるイエローにすぎない。レイプ魔と言われたメキシカン以下かもしれない。

 日本人でトランプを心情的に受け入れられるのは、中西部に行って白人から「このジャップが!」などと言われたことがない人か、それともこの国で自分が日本人であるという自覚なしに育った人だけだろう。

 NYの反トランプデモのなかにはNYUの学生がいっぱいいた。彼らがなぜデモをしたのか? 改めて考えてみてほしい。

 
[264]トランプ大統領誕生に愕然! 不明を恥じるとともに、本当にこれで大丈夫なのかアメリカ!
2016年 11月 09日(水曜日) 18:57

まさかまさかのトランプ大統領の誕生に、びっくりを通り越してしまった。驚愕だ。速報を見るたびにそんなバカなと思っていたが、ペンシルベニアをトランプが取ったことですべてが終わった。

 ずっとCNNを見ていたが、報道する側全員がトランプリードに驚きつつ戸惑っている様子に、見ているこちらの方が情けなくなってしまった。

 このブログでも、メルマガでも、ほかのコラム記事でも、私は「トランプが勝つわけがない」として、最近、何本か記事を書いてきた。当初はトランプが勝つ方が面白いと思っていたが、あるときから、彼のあまりのバカさ加減に腹が立って態度を変えた。

 いまさら悔やんでも仕方がないが、予測が外れたことは事実だ。自分の不明を恥じるしかない。

 

 しかし、なぜこんなことになったのだろうか?

 隠れトランプ支持者が予想外に多かったということか? ヒラリーがとことん嫌われたということなのか? 白人の貧困層、中間層の不満が予想以上に大きかったということなのか?

 これらのどれもその通りだと思うが、確実に言えることは、トランプが大統領にふさわしいと思って投票した人は少ないということだろう。多くの人がなんらかのチェンジを起こせるなら、ヒラリーよりトランプのほうだと投票したにすぎないということだろう。

 

 とすれば、これは本当にまずい。どうしようもなくまずい。トランプに投票した人々は、トランプがなにか自分たちにしてくれると思っているようだが、70歳の頑固で頭が固い暴言オヤジが、庶民のためになにかをするはずがない。

 ウケ狙いの減税ぐらいはするだろうが、バラまきに走れば、結局は庶民にツケが回る「Make America Great Again」は空手形で、嘘だ。

 

 ヒラリーの出身校、ウェズリーの女学生たちが、ヒラリーの敗戦を聞いて泣き崩れ、「信じられない」「これから先よくないことが起こるのか不安」と言う様子が、テレビに映っていた。まさにその通り。なにが起こるかわからない。

 こんなおバカな大統領がホワイトハウスに入ると思うと、アメリカは大丈夫なのかと思う。もっとおバカなメラニアが彼と一緒にホワイトハウスに入り、ファーストレディになるのだから、民主政治は本当に素晴らしい。

 彼のために、血を流してもいいというアメリカ軍人、若者たちがはたしているのか? 共和党の主流派はどうするのか? いずれも未知数だ。

 政策バカだから、結局は政策を専門家に丸投げするかもしれないと言っても、大統領は大統領である。その発言は重い。

 

 トランプ大統領の誕生で、アメリカという国に対する信頼は失われた。ロシアも中国も、彼をバカにしてかかるだろう。とくにロシアのプーチン大統領はニンマリだろう。私も、アメリカ観が大きく変わった。もはやアメリカに対して憧れる気持ちはなくなった。

 アメリカの若者たちも同じだろう。勉学に励み、いい大学に行き、そして社会に出てなんらかの貢献をすることで、喜びと金、名誉を得る。努力すれば、夢は必ず叶う。そうした「アメリカン・ドリーム」は、トランプによってとことん破壊されるだろう。

 トランプ当選で、ニューヨークはお通夜状態になった。エンパイアスエテートビルには、ライトアップで選挙速報が映し出されていたが、もう消えた。その写真を載せて、アメリカン・ドリームの終焉の記念としたい。 今夜は早く寝るしかない。

  

 選挙速報でライトアップされたエンパイアステートビル

 
[263]トランプ惨敗で「ナスティウーマン」が大統領に。日本は徹底した属国路線を!
2016年 11月 02日(水曜日) 10:20

「ワシントンポスト」紙とABCテレビの世論調査で、トランプの支持率がヒラリーを1ポイントリードしたと、メディアが騒いでいる。しかし、トランプの惨敗は必至だ。「USA TODAY」の「ELECTIONS OUTLOOK」を見ると、ヒラリー263人、トランプ180人とダブルスコアになっている。Tossupは95人だから、これを全部落とせば、アメリカ大統領選挙史上、記録的な大敗を喫するだろう。

 スイングステート(激戦州)が勝負だなどと言われているが、選挙人が多いフロリダ、オハイオ、バージニアなどは、ことごとく落とすはずだ。とすると、取るのは10州ほど、選挙人は150人程度ではないだろうか?

 

 だいたい、世論調査(ポール)は信用できない。これは支持率であって、実際の投票行為にはあまり影響しない。ポールはあくまで誰を支持するかの回答で、その通りに投票に行くかどうかとは関係がない。そもそも有権者登録しなければ投票に行けない。また、有権者登録した人間のうちの10人に6人しか大統領選には投票しないというデータもある。 

 見ていると、もうトランプ自身も負けを確信しているようだ。10月21日のペンシルベニアでのキャンペーンでは、自分の当選を「世界にショックを与えるだろう。ブレグジット以上(の驚き)になるはずだ」とぶち上げた。要するに、ブレグジットのような逆転劇がなければ勝てないということだ。

 

 はっきり言って“毒舌大旋風”を巻き起こしたときは、トランプ大統領も「あるかもしれない」と思えた。しかし、1年間も同じ毒舌を繰り返していたら、誰だって飽きる。中身がないからだ。 

 当初、トランプは毒舌を計算してやっている。大統領候補の指名を得るための「戦術」で、ウケ狙いであんな発言を繰り返しているのではと思った。ところが違った。

 トランプは、単なる教養ゼロの差別丸出しの金持ち“クイーンズおやじ”に過ぎなかった。これでは、UペンのウォートンMBAが泣く。

 トランプ支持層のほとんどが低学歴、低所得の白人ブルーカラーであると、すでにはっきり分析されている。

 しかし、そういう層は選挙に行かない。トランプと同じクイーンズで育った白人ブルーカラーが、地下鉄Fラインでマンハッタンに行き、金ピカのトランプタワーを見てどう思うか考えてみればいい。

  

 信じがたいが、11月8日は火曜日だ。この火曜日投票は法律で決まっている。車も飛行機もない昔、投票に何日もかかったときにできた制度をそのまま使っている。火曜日なんかに投票に行ける、一般ピープルがどれほどいるだろうか? とくに、時給で働いている低所得者層は仕事があって行けっこない。

 2014年の中間選挙では、低所得者層の80%は投票しなかった。また、オバマ大統領が再選された2012年の大統領選挙でも、実際に投票した有権者の割合は、年収2万ドル以下が48%、7万5000ドル以上が78%となっている。

 

 では、最初に述べた「USA TODAY」の「ELECTIONS OUTLOOK」に戻るが、ヒラリーの263人は、過去6回の大統領選ですべて民主党が勝った19州に基づいている。この19州の選挙人を全部足すと242人になる。過去6回、共和党が全部勝ったのは13州で選挙人は102人。この時点でダブルスコア以上である。

  というわけで、今回、結果がこの通りに出れば、スイングステートのほぼすべてでトランプは勝たなければならない。不可能だろう。 

 激戦州はメディアによると、13州ある。このうちネバダ、ジョージア、アリゾナなどは、所得の増加が全米平均を下回っているのでトランプは有利だという。しかし、選挙人数は少ない。

  

 こうして、中間層も低所得者層も本当は支持していない「ナスティウーマン」が、アメリカ初の女性大統領になる。しかし、このヒラリーは日本にとっては、かなり手強い。夫のクリントン時代、どれだけ日本企業が痛めつけられたか思い出して欲しい。

 ただ、対中強硬派で、習近平が唱えた「G2」論を一蹴している点は、日本にとっては希望だ。とはいえ、アメリカ第一主義、エリート主義、white supremacyの塊だから、日本は徹底して属国路線でついていくしかない。

 と思うと、安倍首相は来年早々に渡米して、ヒラリー大統領に恭順の意を示すほかないだろう。

 
[262]トランプタワー前で「民主党に投票を」プラカードが! PDF 印刷
2016年 10月 19日(水曜日) 20:39

 昨日、今日の暑さは異常だ。昨日は華氏82度(摂氏26度)、今日は85度(摂氏28度)で、これは10月として記録的な暑さだという。やはり、地球温暖化は本当なのだろうか?

 午後から5番街に出かけ、たまたまトランプタワーの前を通りかかったら、パンツ1枚だけの宣伝マン2人がギターを弾きながら、通行人に呼びかけていた。その後ろで、「TRUMP STUMPED」というプラカードを掲げる男、「VOTE DEMOCRATS」というプラカードを掲げる男もいた。トランプタワーの前で、「民主党に投票を」と言うのだから、どうしようもない。

 トランプは自滅してしまったので、大統領選は終わったも同然だ。テレビを見ていてもつまらない話ばかりが延々と続く。一般の関心も薄くなった。これほど盛り上がらない大統領選は、かつてなかっただろう。

  

 

  これから、ラスベガスで最後のテレビ・デベートがある。あと30分ほどで始まる。しかし、ここで逆転してもトランプの勝ち目はないだろう。選挙は八百長と、陰謀説まで持ち出したら、すべては終わりだ。

 ブックメーカー「Paddy Power」は、ヒラリーに賭けていた人間に早くも払い戻しを始めたという。もう賭けは成立しなくなってしまった。

 
[261]国債金利とはコントロールできるものなのか? これ以上“通貨毀損”を続ければ、円安の歯止めはなくなる PDF 印刷
2016年 10月 11日(火曜日) 09:14
トランプは完全に終わった。第2回のテレビ討論会はひどすぎた。冒頭に女性蔑視発言を突っ込まれると、「家族とアメリカ国民に謝る」と言いながら、「ところでイスラム国は」と話をすり替え、「イスラム国はやっつけなければならない」と言った。支離滅裂だ。

 なんで、こうなるのか?

 もはやウォール街は大統領選挙などどうでもよくなり、FRBは11月にも利上げに踏み切るかもしれない。11月がなくとも、大統領選挙で控えていただけだから、12月にはするだろう。そうなれば、ドル高は確実だ。

 

 ところで、日銀の黒田東彦総裁は、10月8日、ワシントンの講演で、マイナス金利の深掘りなどの追加の金融緩和は現時点では必要はないと言ったという。これは、「必要ない」ではなく、「やりたくてもできない」の間違いだろう。

 実際、もう金融緩和は限界で、これだけやっても実体経済はうんともすんとも言わないばかりか、衰退を続けている。日本経済の指標となる数値は、ほとんどが悪化してきた。とくに消費の落ち込みはひどく、アベノミクスになってから1回も上向いていない。

 

 ところが、大手メディアは、この状況を「不況」「景気後退」とは報じない。アベノミクスはまるで効果がないことが判明したのに、そうとは書かない。本当に不思議だ。

 そもそも、国が金融政策と財政政策をいくらしようと、実体経済にはそれほど影響しない。経済は極めて自律的なものだ。ケインズの亡霊を退治しないことには、余計な支出ばかりかさんで、この先、日本経済はもっと悪くなるだろう。

 

 日銀は、9月21日の金融政策決定会合で、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」と名付けた、訳のわからない新金融政策を発表した。長期金利の目標数値を決め、10年国債の利回りが現状程度(ゼロ%)で推移するよう、長期国債の買い入れを行うという。

 

 はたして、そんなうまいことが可能だろうか? 金利を中央銀行が決めていた昔ならともかく、いま、そんなことができるのか? できれば、いずれ国債市場というものはなくなってしまうのではなかろうか。

 こうなると、もはや日本は資本主義経済とは言い難い。すでに、クジラの株買いで、市場経済は死んだ。株に公的資金がここまで注ぎ込まれたことはかつてなかった。日本は中国よりももっとひどい社会主義統制経済になってしまっている。

 

 日銀のバランスシートの膨らみかたは、もはや尋常ではない。日銀自身のデータによると、国債保有残高は6月末時点で398兆円に達している。国債全体に占める割合は36%。じきにGDPに匹敵する額になるだろう。

 これはもう完全な財政ファイナンスで、円という貨幣の価値をどんどん毀損している。やがて、誰も止められない円安が訪れるだろう。それがいつになるかはわからないが、このままではそうなることは確実だ。

 

 こんななか、日本の個人投資家たちはなにを考えているのだろか。投資家にとっては、投資によってリターンが得られればいいので、日本経済が衰退していこうと、円安になろうと、じつはどうでもいい。アベノミクスという政策の是非など、投資とはまったく関係のない話だ。世界にはリターンが見込める金融商品はいくらでもある。

 それなのに、日本の経済評論家の多くは、日本経済は復活すると言いまくっている。つまり、日本に投資せよということになるが、そんなことをしたら大怪我をしてしまうだろう。

 

 愛国心と投資とはまったく関係ない。たとえば、競馬なら、凱旋門賞には毎年のように日本馬が出走する。今年もマカヒキが出て人気先行で惨敗した。この人気をつくりあげたのは日本人だが、これを毎年続けていたら、どうなるだろうか?

 いくら日本馬に勝ってほしいと願って投資しても、おカネを失うだけになる。日本で生まれ日本で生きている以上、この国がよくなっていってほしい。しかし、その思いは投資では叶えられない。このジレンマに、多くの個人投資家が悩み、国を憂えている。

 しかし、メディアはそんなことはお構いなしに、政権寄りの報道を続け、経済評論家は“日本経済復活本”“日本は最強本”を出し続ける。今年もまた暮れになれば、そういう本がいっぱい出るだろう。

 
[260]マカヒキ出走「凱旋門賞」を巡るどこか虚しい大騒ぎ
2016年 10月 01日(土曜日) 14:29
今年からJRAが凱旋門賞の馬券を売ることになった。しかも、ただ1頭出走する日本馬マカヒキが、現地のブックメーカーのオッズで2番人気になった。さらに、今回は地上波によるテレビの生中継もある。

 -----というわけで、例年になく、欧州の2流のG1にすぎない凱旋門賞が盛り上がっている。

 

 しかし、よくよく考えると、どこか虚しい。なぜなのだろうか?

 それはまず、馬券にある。JRAが売るとはいえ、この馬券は日本だけのプール方式。つまり、ガラパゴス馬券だから、現地とオッズが大きく違ってくる可能性がある。もしかしたら、マカヒキが1番人気になるかもしれない。

 となると、これはオッズではない。単なる人気投票だ。それほど、日本の馬券購入者は愚かだろうか?


 毎週、JRAの馬券を買っているファンは、今回は苦渋の選択を迫られる。お金か? 馬か? それとも日本か?という選択だ。お金が好きなら、マカヒキなどどうでもよく、ただギャンブルとして買えばいい。馬が好きなら、自分の好みの馬を買えばいい。ところが、マカヒキが出ているというだけで、これを買うとなると、こういう人間は、お金も馬も好きではなく、単に日本が好きということになる。日本が勝てばなんでもいいのだ。そこまで、競馬ファン、つまり、ウィークエンド・ギャンブラーは愚かだろうか?

 

 さらに、もっと困っているのは、競馬記者、評論家などの“プロ”と言われる人々だろう。これまでなら、海の向こうのレースに日本馬が出るだけだから、愛国心丸出しで、勝ってほしいと言っていればよかった。それが、今回は馬券を売るので、ファンのために、まともに予想しなければならない。

 そうなると、向こうの競馬に対する知識・知見がないうえ、取材もしていない、情報もないのだから、プロとしてのメンツが保てない。それに、ほとんどの人間が日本語以外できない。いったい、どんな予想とコメントが出るのか、私はレースよりもこちらのほうに興味がある。

 

 ただ、私がもっとも嫌いなのは、向こうの競馬を「本場の競馬」と称し、凱旋門賞を「世界最高峰の一戦」と言って、「やはり違いますね」「素晴らしいですね」などと言う人たちだ。文化・伝統に対する見識ゼロのこういう人間たちが、じつは競馬の本当の面白さを歪めて伝えてきた。

 凱旋門賞は、例年、ロンシャン競馬場で行われるから、どこからどう見ても「ズブい馬」ナンバー1決定戦だ。しかも、近年はアメリカ馬がまったく出ていないので、欧州のローカルG1だ。いったい、どこが本場なのだろうか?

 情けないのは、こんなレースさえ、日本馬が勝っていないことだ。すでに日本調教馬は世界トップクラスだから、もう勝っていい。しかも、今年はロンシャンでなくシャンティイ競馬場で行われる。ここなら、スピードとキレ主体の日本馬でも十分通用する。

 

 ただ、マカヒキには勝ってほしいが、勝つと勝ったで、見たくない光景がある。それは、騎手、調教師、馬主などの関係者が喜ぶ以上に、キャスターから解説者、ゲストまで、みな大喜びすることだ。その浅ましい姿を本当に見たくない。

 日本が世界を負かすことが、そんなに嬉しいのか?

 

 Harzand beats US Army Ranger to win the Derby

 http://www.sportinglife.com 

 というわけで、なんか手放しで楽しめない凱旋門賞になってしまった。私の予想、私がなにを買うかは、別の「G1予想」コラムに書いた。繰り返すと、英ダービー馬のハーザンドだ。日本ダービー馬マカヒキより弱いのは明らかだし、前走のチャンピオンSではまったく見せ場なしの8着と惨敗している。明らかに調子もよくない。だから買いだ。

 私は勝つと思う馬は買わない。負けると思う馬を買う。馬そのものを、また競馬というスポーツそのものを、本当は好きではないからだろう。

 
[259]日銀は「支離滅裂」FRBは「ヤルヤル詐欺」、それでも資本主義は終わらない PDF 印刷
2016年 9月 23日(金曜日) 05:32

注目されていた日銀の政策決定会合と、FRBの連邦公開市場委員会(FOMC)が終わった。ひと言で言うと、日銀は「支離滅裂」で、FRBは「ヤルヤル詐欺」だ。

 まず、日銀だが、結局、総括するというのは見せかけで、いままで通り「緩和」続行となった。2%の物価目標も続行である。しかし、そのために10年物国債金利がゼロ%になるようにもっと買い入れるというのだから、よくわからない。金利ゼロ、マイナス金利を続けて、どうして物価が2%も上昇するのだろうか? 説明してほしい。 まったく「支離滅裂」だ。

  次にFRB。こちらは、利上げがないことは、大方が予想していた。で、その通り見送った。しかし、毎回「利上げをするかもしれない」とし、これまで何度見送っただろうか? これでは「ヤルヤル詐欺」としか思えない。ドルは基軸通貨なのだから、ちゃんと金利を付けなければ、世界経済は回らない。

 

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[258]蓮舫は日本の政治家としてはアウト。二重国籍問題を考える。
すでに産経新聞のウエブサイト「IRONNA」に寄稿し、蓮舫氏に日本の政治家たる資格はない、現時点では「アウト」だと書いた。法的にはクリアしているとはいえ、まだ台湾国籍の放棄手続きが完了していないのだから、事実上の二重国籍のままである。とすれば、そんな状態で、民主党代表になってはいけない。政治家のような公的な職務に就く人間に、このような曖昧さがあってはいけない。

 日本の政治は日本人によってなされなければならない。これが、原則というか、絶対的なルールだ。そこで、日本人とはなにか?ということになるが、日本では、国籍法などのルールが明確でない。国籍と市民権、永住権を区別していない。そのため、蓮舫氏のようなケースへの判断が甘くなるのだ。

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[257]リオ五輪の熱狂が冷めたら日本の危機が深まっていた PDF 印刷
2016年 8月 24日(水曜日) 00:32

リオデジャネイロ五輪の熱狂が終わったと思ったら、いきなり台風が来て、周囲の景色がすっかり変わってしまった。雨に濡れた道路には落ち葉が散在し、空を見上げれば雨雲が風に流されて移動している。もう猛暑は戻ってこないだろう。

 それにしても今回の五輪報道は度を超えていた。当初はメダリストが誕生するたびに感激し、テレビの前で涙ぐんでいたが、連日の「ニッポン、ニッポン」コールに段々に熱が覚めてしまった。

 選手の世代交代が進み、若い世代が生き生きと活躍するのを見ると、本当に胸が締め付けられる。「あなたたちだけが今後の日本の希望の星だ」と、思わず言いたくなる。

 しかし、熱が覚めて冷静になってみると、オリンピックでのメダル数と反比例して、日本の危機が確実に進んでいる。「いつまでも浮かれている場合ではないだろう」と、テレビに向かって言いたくなる。

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[256]脱力感でいっぱいの都知事選。もう老人は立候補してほしくない PDF 印刷
2016年 7月 16日(土曜日) 14:07
 都知事選挙が始まった。舛添要一“公私混同”知事の「ボーナス、退職金を懐にした逃げ切り」後だから、“まとも”な候補者を選びたい。都民ならみなそう思っているだろう。しかし、その思いはかなわない。

 

■迷走後に残ったのは、がっかりの3人 

 

 ここまで与野党の候補者選びは迷走に迷走を続け、結局、主要3候補に絞られたものの、その顔ぶれにはがっかりする。

 本当に、次の3人の誰かが都知事なるとしたら、「都民のみなさん」はかわいそうだ。

 

・小池百合子“先行逃げ切り狙い”“わがまま反乱(?)“元防衛相

・増田寛也“実務ならお任せ(?)”“東京1極集中反対”“西松建設疑惑”元総務相

・鳥越俊太郎“ガン克服”“安倍政治に疑問”“戦後民主主義の申し子”ジャーナリスト

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16/07/15●アマゾン「電書読み放題」に講談社、小学館が作品提供するも先行きは「?」 PDF 印刷
2016年 7月 15日(金曜日) 14:03

アマゾンの定額読み放題サービス「キンドル・アンリミテッド日本版」がいよいよ日本でも始まる。注目は、どんなラインナップになるかだが、日経新聞の7月15日の報道では、講談社や小学館のほか、複数の中堅出版社などが参加する見通しだという。KADOKAWAは検討中で、集英社は参加を見送るという。

 日本の電子書籍市場は、漫画に偏っているので、大手漫画出版社が参加しないかかぎり会員は集まらない。また、その作品に新作や話題作が含まれていないと、会員数は増えない。

 アメリカの「キンドル・アンリミテッド」では作品数が100万冊を超えているが、日本版では「5〜6万冊」というから、どうなるかまったくわからない。

 

 もし、会員数が集まらなければ、出版社も著者もほとんどリターンがえられない。月額980円の提供だから、仮に10万人としてアマゾンに入るのは月に9800万円。その半額の4900万円が利用量「読まれた回数」に応じて出版社に支払らわれるが、その額は微々たるものになる。

 著者にはここから15%が支払われるとすれば、このようなサービスに作品を提供する意味(収益面での)はない。アマゾンは作品集めに、初年度にかぎって単品販売と同額を出版社に支払う特別条件を提示しているというが、この条件はいずれ変更される。

 

 要するに、ネットでのサブスクリプションモデルはサービス提供するネットビジネス側だけが収益を上げられる構造になっている。ドコモの雑誌読み放題サービス「dマガジン」は好調だが、提供側の雑誌出版社の雑誌が部数減で次々に廃刊していけば、このサービスは成り立たなくなる。それなのに、こうしたサブスクリプションモデルを礼賛しているジャーナリストがいる。 

 

 音楽配信の世界では、「Apple Music」、「Amazon Prime Music」などの定額制サービスが世界的に主流になったが、ミュージシャンにはライブという収益源がある。しかし、漫画家や作家などにはそういうものがない。

 作品づくり、著作者の発掘・養成などにまったく投資していない側だけが得をする構造は、どこかおかしい。いずれ、それを楽しむ消費者側もソンをする。

 アマゾンをはじめとするネットサービス提供業者は、もっと、著作者や作品作りに理解を示すべきだ。アマゾンは、せめて75%は出版社側に戻すべきだろう。

 
[255]「舛添“無言逃亡”」「参院選」「英EU離脱」「地銀崩壊」「AI革命」「爆買い終了」----未来が見えない時代に突入 PDF 印刷
2016年 6月 23日(木曜日) 18:12

最近、とことん時代の変化が激しいと感じることが多い。この変化の激しさに、はたして私たちの意識は追いついているのだろうか? ただ、翻弄されているだけではないのか? 昨日、メディアの知人たちと一献を傾けながら本当にそう感じた。

「いったい、この先どうなるのか?」ということに、誰一人明確な答を持っていないのだ。

 

■「舛添“逃げ切り失敗”劇場」の終焉

 

 この2カ月間、騒ぎに騒いだ「舛添“逃げ切り失敗”劇場」だが、6月20日の「無言逃亡」によって、あっけなく終幕した。残ったのは「セコイ」という言葉だけだったのではないか?

 舛添氏はたしかに許せないが、彼がこうしたことができたのは、自治体の条例、政治資金規正法などが「ザル法」だからだ。さらに言えば、日本の政治が民主体制とは言い難い、異質のシステムで動くからだ。

 今回のことのきっけとなった「文春砲」が放たれるまで、舛添前知事の評判はよかった。それは、彼が頭脳明晰のゆえに、この日本システムをよく学習してきたからだ。それは、一言で言うと「バカ殿システム」(=神輿システム)である。 

 日本の組織においては、トップは下に担がれる「神輿」、つまり「バカ殿」でいいのである。いくら、自分をアタマがいいと思っても、そのアタマを使ってはならない。アタマがいいほど「バカ殿」を演じなければ、必ず「神輿」を外される。

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[254]舛添「逃げ切り劇場」の結末は? こうなったらとことん粘ってほしい。
2016年 6月 09日(木曜日) 20:34

この1カ月間、舛添「逃げ切り劇場」を見続けている。今日までに都議会の本会議での代表質問や一般質問が終わったが、舛添氏のタフさにぶりは、本当に尊敬に値する。驚異の粘り腰だ。ここまで、鉄面皮、粘り腰を発揮されると、1日でも長く粘って「劇場」を続けてほしいと思う。

 

 この前までは、このまま「逃げ切ろう」という魂胆が許せず、一刻も早く「出走停止」にし、「永久追放」してほしいと思ってきたが、いまは考えが変わった。このまま「辞職します」と頭を下げて、いなくなってしまったら困る。 

 そうなったら、見ているほうの落胆のほうが大きすぎるからだ。

 テレビも同じだろう。ここまで盛り上がって視聴率が取れるコンテンツはそうそうない。しかも、毎日ナマ中継ができる。ワイドショー関係者は、「都民の声」を代弁しつつ、「辞められたら困る」というのがホンネだろう。

 都議会の総務委員会は、9日の理事会で、13日に舛添氏の出席を求め、集中審議を開くことを決めたが、そこまでは持ってほしいと願っているはずだ。私は、さらに粘ってほしいと思うが、どうなるだろうか?

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[253]タックスヘイブンを“悪”とするメディアの偏向報道
2016年 5月 30日(月曜日) 20:33

「パナマ文書」の報道が始まってから、「タックスヘイブンは悪」というイメージが一般に広がっている。文書に名前があっただけで「怪しい」とし、これまでメディアはこぞってグローバル企業、富裕層、有名人を批判してきた。さらに、グローバル企業による「租税回避」に関しても、「抜け道を防げ」と訴えてきた。

 このような報道姿勢は一見して正しいことのように思える。なぜなら、一般国民は真面目に納税しているのに、一部の富裕層やグローバル企業だけが租税回避によりトクしていると考えられるからだ。

 しかし、このようなある意味で一般国民の嫉妬心をあおる報道は、じつは一般国民の自由を奪い、国家による徴税という「暴力」を加速させる。つまり、一般国民のためとしながら、一般国民のためにならない。

 たしかに、テロや暴力組織のマネーロンダリング(資金洗浄)は防がなければならい。また、税金を決める側の政治家がいくら合法的とはいえタックスヘイブンを利用して節税するのは、倫理的に許せない。

 しかし、かといって、それ以外のタックスヘイブン経由の投資や、節税などを厳しく取り締まることは、いまのグローバル経済を破壊し、さらに人権や自由を奪うことになる。

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[252]スタートアップの祭典「第2回 SLUSH ASIA」に行ってみた
2016年 5月 15日(日曜日) 18:46
 5月14日の土曜日、千葉・幕張メッセで行われていた「第2回 SLUSH ASIA」に足を運んだ。HALL 1の入り口を入って階段を降りると、会場内は人工のスモークが漂い、そのなかをレーザー光線が流れるという演出がなされていてかなり薄暗かった。

 メインのステージでのセッションをしばらく見て、その後、デモブースをいくつか回った。民間月面探査チーム「HAKUTO」、IoTの活用で介護サービスを実現する「Live Connect Care App」、「NOKIA」の360度ヴァーチャル映像のデモなどが興味を引いた。また、サブセッションの1つで行われていた講演に耳を傾けた。

 

 SLUSHは、2008年にヒューレットパッカードを退職した2人の若者がヘルシンキで始めたスタートアップのイベント。いまや欧州No.1のスタートアップイベントになり、昨年、日本で初めて開催された。今回は2回目だが、初めて出かけたので、1回目と比較はできないが、あまり熱気は感じられなかった。

 知人とビールを飲みながら、セッションを見ていたりしたこともあるがだろうが、日本人のスタートアップが少ないからかもしれない。60チームのスタートアップのなかから優勝したのは、昨年に続き台湾勢だった。

 ただ、私のような60代の人間はほとんどいない。若者が圧倒的に多かったのでほっとした。

  

 

  

 
[251]「パナマ文書」が突きつける問題は、日本が重税国家だということ!
2016年 5月 13日(金曜日) 04:59
パナマ文書中にある法人名、個人名に基づいた大げさな報道が続いている。“脱税”だと言ってみても、現在のメディアの取材力では、それを証明する取材はできないだろう。ただ単に名前が挙がった人間のところに行ってみても、それが単なる「ナーミニー」(名義人)なら、その裏にいる「ベニフィシャリー」(本当の受益者)にたどり着くのは大変な作業だ。

 

 それに、富裕層だけがトクしているという見方はおかしい。政治家は追及してもかまわない。また、マネロンは徹底的に追及すべきだ。しかし、単なる節税目的で資産をタックスヘイブンに移している人間を、まるで「売国奴」のように扱うのはおかしい。

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[250]オバマ大統領、広島訪問で本当の涙を流すために-------。
2016年 4月 24日(日曜日) 03:17

熊本大地震で日本中が打ちひしがれているさなか、「オバマ大統領、広島訪問へ。現職アメリカ大統領初」というニュースは、日本人にとっては素晴らしいニュースだ。さっそく、いろいろな声が出ているが、日本の将来にとっても、これは本当に素晴らしいニュースだと思う。

「ありがとうございます。生きているうちに現職のアメリカ大統領の広島訪問を観られるなんて思いもしなかった!この光景を見ながら泣くでしょう」

 と、ネットの声にあったが、おそらく私も泣いてしまうだろう。5月27日、彼が慰霊碑の前に立ち、なにか言い出しただけで、涙が出てくると思う。

 とはいえ、今回の訪問に関してはいろいろな見方がある。そこで以下、泣く前に、このことを整理しておきたい。

 まず、この訪問がなぜ実現したのかだが、これにはいくつかの理由が考えられる。

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[249]トランプ大統領候補に日本人は感謝すべき PDF 印刷
2016年 4月 21日(木曜日) 10:17

昨日、「ビートたけしのTVタックル」の収録(放映は24日)に出演して、言い足りなかったかったことがあるので、書いておきたい。この日のテーマは「トランプ大統領誕生で日本は?」というもので、トランプ大統領に反対か賛成かで議論するという趣向だった。 

 それで、トランプ反対派にパックンとケビン・メア氏。賛成派ということで私と藤井厳喜氏が出演した。しかし、あまり議論はかみ合わなかった。なぜなら、アメリカ人であるパックンとケビン・メア氏は彼が大統領としてふさわしいかどうかということを問題にしているのに対し、私は日本人として彼がこれまで日本に対して言ってきたことの価値を問題にしていたからだ。

 

■パックンとケビン・メア氏の意見

 

 ショーンKと違ってホンモノのハーバード卒業生であるパックンの意見は、素晴らしかった。パックンはトランプ氏を「アメリカの恥」と思っている。一言で言えばメキシカンはレイプ魔だなどと言い放つポピュリストには大統領になってほしくない。そんなことになったら、アメリカから逃げると言うのだ。パックンのようなアメリカの知的エリートにとっては、トランプ氏のようなお金持ちなのに、平気で暴言を吐き、知性なし丸出し(に見える)オジさんは許容できないのだ。

 元外交官で日米の安全保障問題の専門家であるケビン・メア氏は、トランプ氏のような単純極まりない安全保障論は、やはり許しがたい。「彼の世界観は古すぎる、時代遅れ。日米安保、核保有は彼が言うような問題ではない」と言った。これもまたその通りで、私が反論するようなことではない。日米安保は日本にとってもアメリカにとっても合理的な選択で、アメリカの傘の下で日本の平和が維持されてきたのは紛れもない事実だからだ。

 

■日米安保を「ディール」という意味

 

 では、なぜ私は言い足りなかったのか?

 それはトランプ氏がこれまで日本に対して言ってきたことは、本来、日本人自身が議論しなければならないことだからだ。それを彼は赤日の下に突きつけてくれた。

 いままで、日本に対してこれほどあからさまに、こんなことを言った大統領、大統領候補がいただろうか?

 “If Japan gets attacked, we have to immediately go to their aid, if we get attacked, Japan doesn’t have to help us.”“That’s a fair deal?”(「もし日本が攻撃されたら私たちは直ちに救援に行かなくてはならない。もし私たちが攻撃を受けたら日本は私たちを助けなくてもいい。」「この取引は公平なのか?」)

  トランプ氏は、日米安保を取引(ディール)と捉えている。国際条約はビジネスのようなディールではないが、それでもディールと捉えることで、私たち日本人に「いったいどっちが得しているのか?」と、考えさせてくれる。

 少なくとも、これまでの日本はそんなことは考えなくてよかった。また、トランプ氏は「米軍撤退もありえる」「日本の核保有はありえる」とまで言っている。このようなトランプ氏の発言は、これまで「平和ボケ」という惰眠のなかで暮らしてきた日本人を覚醒させるものだ。

 

■日米関係は暗黙の了解があった

 

 最近のアメリカ大統領は、日本は「かけがえのない同盟国」とは言うものの、それは表向きにすぎず、日本はアメリカの属国にすぎないのだからと、ほとんど関心を持たなかった。

 クリントン大統領は「ジャパンパッシング」(日本素通り)だったし、ブッシュ大統領は拉致被害者に同情はしたがそれだけ。また、オバマ大統領はすきやばし二郎の寿司と引き換えに「尖閣は日米安保の範囲」と言ったにすぎない。ミッシェル夫人は子連れで日本を通り過ぎて中国に1週間も滞在した。

 そういうなかでも、日米安保、アメリカの核の傘、平和憲法と一部が信じ込んでいる憲法が続いてきたのは、日米の暗黙の了解があったからだった。もちろん、「安保ただ乗り論」などが言われ、一部の人々はわかっていたが、国民全体が理解していたとは言い難い。

 だから、日本の左翼は「辺野古反対」「米軍は出て行け」と旗振り運動を続けられたし、保守派は「日本独立」を標榜して「憲法改正」を唱導し、安倍首相は「戦後レジームの脱却」というスローガンを掲げられた。

 

■左翼も保守も目を覚ますときが来た

 

 しかし、トランプ氏が言うようなことがもし現実となり、日米安保と核の傘がディールとなれば、米軍は出て行ってしまうのだから、左翼は旗を振れなくなる。「米軍は絶対に出ていかない」ことを前提にした自己満足運動をやっていている意味はなくなる。国会議事堂前で、「SEALs」が「戦争させない」なんて叫んでも日本は平和にならない。

 保守側も、自衛隊戦力を大幅に拡充し、核開発も行わなければいけないので消費税増税は2%ではすまない。少なくともGDPの5%、25兆円、消費税になおして10%は必要だろう。そんなことになれば日本経済は持たない。

 パックンは「アメリカ人の40%が共和党。その共和党の40%がトランプ支持者。だから、トランプはアメリカを代表していない」と言ったが、それでもアメリカの一部は代表している。

 そしてトランプ氏のスローガンは「MAKE AMERICA GREAT AGAIN」(偉大なるアメリカの再興)だ。トランプ氏が大統領になったらどうなるのかは予測できないが、すくなくとも現時点で、トランプ大統領候補は、私たちが考えないですませてきた問題を突きつけてくれた。

 この点をもって、トランプ氏がアメリカ大統領にふさわしかどうかは問題ではなく、現時点で、私たち日本人は彼に感謝すべきだ。

 
[248]4月から始まるTPP国会審議は“茶番劇”になるのか? PDF 印刷
2016年 3月 30日(水曜日) 23:41

いいよ4月がやって来る。これから、日本の国会では「TPPに関する一括法案」の特別委員会による審議が始まる。これまでの報道を見ると、自民・公明の与党側は、GW前に衆院を通過させ、参院でも5月下旬には承認・成立させたい意向のようだ。

 これに対して、TPPそのものに反対の共産党と社民党を含む野党側は、例によって審議時間の延長作戦をやったり甘利明前TPP担当相の招致要求をしたりして、参議院選挙前に得点を稼ぐ戦術に出るのは間違いない。

 つまり、これから国会はTPPをめぐって、壮大な“茶番劇”が繰り広げられる可能性が大だ。

 もし、この“TPP劇場”に与党側が勝って、予定どおり法案が国会の承認を得られれば、これは“歴史的な出来事”になる。おそらくオバマ大統領はひっくり返って喜ぶだろう。なぜなら、自分ができそうもなくなった議会による承認を日本が先にやってくれることになるからだ。

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  • [NEWS]『円安亡国』(文春新書)発売
  • [231]ギリシャ危機、上海株暴落、安保法制、そして突然の猛暑
  • [230]シャープ、一時凌ぎ再建案に見る「撤退戦」の難しさ
  • [229]「戦後70周年談話」の文言をチェックするメディアの愚。チェックはアメリカに頼めばいい。
  • [228] たった2つのグラフでわかるアベノミクス「異次元緩和」は大失敗
  • [227]静かにそして徐々に紙の雑誌の「死」が近づいている
  • [226] 株価上昇でわかった「日本の個人投資家はアベノミクスを信じていない」
  • [225]ストリーミングによっても救われない音楽業界は、明日の出版業界なのか?
  • [224]ピケティを礼賛するメディアの愚。なぜ格差が開いてはいけないのか? 資産に課税? 冗談ではない。
  • [223]イスラム国人質拉致事件に関する素朴な疑問のいくつか。
  • [222]私たちは地獄行きの急行列車「アベノミクス号」に乗っている
  • [221]総選挙が終わって思う「安倍首相は経済に本気ではないのではないか?」
  • [NEWS]新著『永久円安』(ビジネス社、1500円+税)
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