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    Welcome to My  Website

     このサイトは、山田順の個人的なウェブサイトです。

  コンテンツの一部は情報発信のために書いていますが、ほとんどは個人的な記録の蓄積を目的としています。

 

 *このサイトのイラストは、「海の素材屋」
(http://uminosozaiya.com/)のフリー素材を使わせてもらっています。
 素晴らしいイラストをありがとう。 
 

  以下のブログとは別にメールマガジン(有料)
 を発行しています。

 こちらから→http://foomii.com/00065

  

 また、YAHOO!ニュース「個人」欄でコラムを
   書いています。

  こちらから→http://bylines.news.yahoo.co.jp/yamad

  

 産経新聞運営のサイト『IRONNA』 でも
 コラムを書いています。

  こちらから → https://ironna.jp/blogger/97

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  こちらから → https://www.facebook.com/profile.php?id=100062248806504

 最新刊3冊

   

『米中冷戦 中国必敗の結末』(MdN)

https://books.mdn.co.jp/books/3219403034/
『コロナショック』(MdN新書)

 https://www.amazon.co.jp/gp/product/4295200077?pf_rd_r

『コロナ敗戦後の世界』 (MdN新書) 

https://www.amazon.co.jp/コロナ敗戦後の世界-MdN新書-山田-順/

dp/4295200913/ref=sr_1_2?dchild=1&qid=1606968867&s

=books&sr=1-2 

 

近著4冊

  

永久属国論(さくら舎)

www.amazon.co.jp/o/ASIN/4865811176/hnzk-22

東京「近未来」年表 (さくら舎)

 https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784865811773

希望の地としての新興アジア

-私たちが失ったものがそこにある(実務教育出版)

地方創生の罠-イースト新書(イーストプレス)

隠れ増税(青春出版)

https://www.amazon.co.jp/dp/4413045114

     

 



[276]北朝鮮危機。”オレさま”トランプが「外交巧者」のまさか?
2017年 4月 14日(金曜日) 23:04

やはり、トランプはとんでもない“お人好し”の“オレさま大統領“(オレさま第一主義=アメリカ第一主義)だ。あれほど、中国に強硬だったのに、中国のリーダー習近平主席が少しでも“恭順の意”を示すと、コロッと“絶賛”だから、信じがたい。

 

 習近平と電話会談し、その後のホワイトハウスでの記者会見でなにを言ったか。「北朝鮮は問題だ。問題は処理される」と述べたうえに、「習近平は懸命に頑張っている」と言ったのだ。さらに、中国が核実験やミサイル発射の阻止に向け影響力を行使することを確信しているとも、自信たっぷりに示唆した。

 要するに、「オレさまが言ったので習近平が動いた。北に圧力をかけてくれる」と、自慢したわけだ。

  そしてさらに、先日の米中首脳会談で習近平と時間を共にしたことで「習が好きになり、尊敬するようになった。彼は特別な男だ。彼は(北朝鮮に)全力で対処するだろう」と述べたのである。社交辞令としても、度がすぎている。

 

・President Trump on Wednesday hailed China's President Xi Jinping as a 'gentleman' as someone who 'wants to do the right thing'

・He said Xi 'wants to help us with North Korea' and that he and the Chinese leader had 'chemistry' following their meeting last week at Mar-a-Lago

・On Thursday Trump said he had 'great confidence' China would deal with North Korea; otherwise, he warned that the U.S., 'with it's allies' will

・ 'North Korea is a problem, the problem will be taken care of,' Trump stated 

 (以上、「Mail Online」の記事のリードより。よく要約されている)


 こうして、トランプは中国を「為替操作のグランドチャンピオン」( grand champions of currency manipulation )としていたのを撤回してしまった。さらに、この分でいくと制裁関税を課すこともしなくなるだろう。貿易不均衡是正などできないかもしれない。

 

 日本のメディア記事は、習近平がトランプに屈したように伝えているが、中国にとっては、北を諌めるだけで、“トランプ以前の状態”に戻れるのだから儲けものだ。それに、核心的利益の「南シナ海」が、この件ですっ飛んでしまった。

 この後、トランプは南シナ海に艦隊を派遣して、「航行の自由作戦」を行えるのか? なにしろ、習近平とは「ウマが合う」し、習近平は「特別な男」である。 

 「WSJ」紙のインタビューでは、トランプはこう言っている。 “We have a very good relationship, we have great chemistry together.” 

 これでは、最強の“ドラゴンスレイヤー”ピーター・ナヴァロ国家通商会議代表も呆れるだけだ。

 

 トランプの“オレさま自慢”は留まるところを知らない。シリア攻撃のくだりは、アメリカの報道を見ると、「見たこともないほど、最高にきれいなチョコレートケーキ」 (most beautiful piece of chocolate cake you've ever seen)を食べている際に行われた。

 

 「たったいま、シリアに59発のミサイルを撃った」

 トランプがこう言うと、習近平は10秒間黙り込んだ。この10秒間というのは、トランプ自身がそう言っただけだ。

つまり、この部分も、「ミスター・シーを黙らせたのだから、オレさまはすごい」という自慢話である。しかも、自分の別荘で出す料理の自慢までしている。

 

 空母カールビンソン打撃群(CSG)が行き先をオーストラリアから西太平洋に変更させられたのは、米中首脳会談後のこと。ここでも、トランプはツイッターで自慢している。

 “We are sending an armada - very powerful. We have submarines - very powerful.”(Fox Newsより)

 

  なんと、自分の艦隊を歴史上有名なスペインの「無敵艦隊」(the Armada)になぞらえているのだ。「the Armada」でなく「an armada」としているが、無敵艦隊は英国艦隊に敗れ、その後、スペインは世界帝国から陥落してしまった。縁起が悪いなんて考えもしないのか。それとも、歴史の知識がないのか。

 さらに。「潜水艦もあるぞ、強いんだぞ」だから、まるで子供の自慢話だ。大統領が、自国の最強の軍事力に関して、こんな幼稚な言い方をしていいのか?

 

 話を戻して、シリアへのミサイルアタックはどう決まったのか? これは、「The Daily Telegraph 」(デイリーテレグラフ)のインタビューに息子のエリック・トランプが答えている。記事のタイトルは、「Ivanka Trump influenced my father to launch Syria strikes, reveals brother Eric」で、彼女は3児の母という立場から、「ひどいわ!」と言ったのだ。“Ivanka is a mother of three kids and she has influence. I'm sure she said: 'Listen, this is horrible stuff,' ”(「デイリーテレグラフ」記事)

 要するに、トランプは娘に「パパ、やって」と言われて、ミサイルを撃ったことになる。その結果、最強の “オルト右翼”スティーブン・バノンは「アメリカ第一主義に反する」と反対したため、「NSC」(国家安全保障会議)をクビになってしまった。

 

 ただし、バノンは、この10日前にすでにヘタをうって、政権の要職から外される状況になっていた。それは、「オバマケア」(ACA:Affordable Care Act )の撤廃を目指す代替法案 の下院通過に失敗したからだ。

 共和党の若きリーダー、ポール・ライアン下院議長はバノンと組んで、この法案通過に尽力した。しかし、中身がスカスカだったため、共和党保守過激派、とくに下院自由議員連盟は反対していた。

 

 ところが、バノンは議員たち向かって「いいかみんな、これは話し合いではない。デベートでもない。法案に賛成する以外、君たちに選択肢はない」“Guys, look. This is not a discussion. This is not a debate. You have no choice but to vote for this bill.”(axiom.com)と言ったため、火に油を注ぐ結果になった。オバマケアの撤廃は、トランプの公約の最重要課題だから、これで、支持率もさらに落ち込み、政権の求心力も一気に落ちた。

 そこに、起こったのが、シリアにおける化学兵器使用だった。

 

 このような政権を、なぜなか日本のメディアや識者は、「今回のことは非常によく計算された結果だ」「トランプは交渉がうまい。意外に外交巧者だ」と評している。

 その根底には、中国や北朝鮮がアメリカによって叩かれることを長く望んできたことがあるのは、間違いないだろう。「嫌中」「嫌韓」「嫌北」感情に引きずられすぎている。

 しかし、トランプが本当はどういう大統領なのか? その政権はどういうことになっているのか? よく検証してみたほうがいい。

 

 いまだに、トランプ政権は主要官僚の半分も決められないでいる。しかも、大統領府内もトランプファミリー、トランプお友達グループ、共和党内各派閥が、揉めに揉めている。

 習近平もプーチンもトランプより「一枚以上」上なのなは間違いないだろう。彼らはトランプを見て、ニンマリしているに違いない。こんな情けない大統領を見るのは、これまでなかった。

 *この記事は「yahoo個人」に書いたものです。

 https://news.yahoo.co.jp/byline/yamadajun/20170414-00069933/

 

 
[275]「森友学園ドラマ」の結末はどうなるのか? どちらが嘘つきなのか早く解明してほしい!
2017年 3月 27日(月曜日) 05:29

このところ、ずっと「森友学園ドラマ」をウオッチングしている。当初の「学園ドラマ」は「国会ドラマ」に移行して、結末がまったく読めなくなってしまった。ただし、先週の「籠池証人喚問」あたりから、少しムードが変わってきたようだ。

 もはや私は取材の現場にはいない。だから、ウオッチングしながら、メディア関係者などから事情を聞くだけだが、水面下で大きな変化が起こっているように感じる。

 つまり、政権が吹き飛ぶ可能性もあるのではないか? そんなムードになってきたということだ。自民も公明・維新も、そして官邸も完全に対応を間違えてしまったようだ。はっきり言って「籠池爆弾」を舐めきっていたようだ。しかし、もうそうはいかなくなってきた。

 

 このムードを助長しているのが、一部の気骨ある評論家とジャーナリスト、一部週刊誌、ネットメディア、それに自民党内の反主流派だ。これらが、自民の主流派、安倍擁護の大手新聞やテレビなどの大メディア、主流派の評論家と軟弱ジャーナリストなどを切り崩す可能性が出てきている。

 この問題は、右と左の政争の具ではない。まして、与党と野党の政争の具でもない。よって、左派勢力も野党も、じつはお呼びではない。国会で「そういうのを口利きと言うんです」などと言って追及する野党議員を見るほど、哀しいことはない。

 また、安倍擁護の与党議員たちが「あなたは、詐欺師だ」「嘘つきだ」と言うのも、見ていて腹が立つ。とくに、証人喚問での維新の下地議員の質問は馬鹿すぎて見ていられなかった。籠池理事長が「松井知事にはしごを外された」と言ったことに対し、「松井さんはあんたにはしごをかけてあげたのに、あんたが自分ではしごから落ちたんだよ」と言うにおよんでは、呆れるしかなかった。

 内田樹氏が指摘しているように、これでは、「認可に府知事が介入した」と言っているのと同じだからだ。

 

 やはり、ここ2週間の菅野完氏の活躍と「週刊新潮」の記事はすごいと言うしかない。菅野氏がすべての保守勢力から見放された籠池ファミリーを動かさなかったら、こうはいかなかった。これは、どんな既成メディアの記者にもできなかったことだ。

 また、「週刊新潮」は、昭恵夫人がじつは「私人」ではないこと、しかも夫とともに大きな影響力を持っていることを浮き彫りにする記事を掲載している。もう一つの「森友学園」とされる「加計学園」問題などを積極的に取り上げている。

 

 もはや「国有地払い下げ問題」「3種類の異なる契約書問題」などは、ほぼどうでもよくなった。私的には「寄付金100万円問題」がもっとも知りたいことになった。なぜなら、この問題は、籠池サイドか安倍サイドのどちらかが「嘘つき」であるという問題だからだ。片や偽証罪に問われる証人喚問、片やフェイスブックによる反論などという問題もどうでもいい。

 ともかく国民が知りたいのは、単純に「どっちが嘘つき」かということではないか。つまり、事実はなにかだ。これは、水掛け論ではない。水掛け論は議論がいつまでも平行線になることであって、事実認定の話ではない。事実は一つしかないのだから、この問題は解決する。

 

 もし、100万円寄付が本当なら、昭恵夫人はいったいどんな封筒に100万円を入れてきたのか? 熨斗付きの奉書封筒なのか? そうなら表書きに「御寄付、安倍晋三」とあるのではないか? とすれば、その封筒を保管しないはずがない。また、その中身が100万円だと確認したのはいつなのか? すぐに開けて確認し、「領収書は?」と聞いたのか? 寄付金は控除を受けられるので、普通なら領収書をもらうが、なぜいらないのか?

 また、講演に際して昭恵夫人はどうやって来阪したのか? 講演を依頼したなら交通費は主催者持ちが当然だ。森友側はそれを負担していないのか?-------などなど。

 こういった点をもっとはっきりさせてほしい。ディテールがもっとほしい。

 

 なお、この件に関しては、すでに次の2つの記事を書いている。よかったら、そちらも読んでほしい。

■「森友学園ドラマ」の真犯人は「忖度」で本当にいいのか?(Yahoo個人)

https://news.yahoo.co.jp/byline/yamadajun/20170327-00069171/

■籠池さん、あなたは実に哀しい人だ(産経新聞のオピニオンサイト「IRONNA」)

http://ironna.jp/article/6020

 
[274]今週は大変な1週間。WBC、国会証人喚問、高校野球、大相撲、サッカーW杯、トランプ、北朝鮮、そしてドバイWC
2017年 3月 20日(月曜日) 04:26

3連休なので、今週のスタートは火曜日だから、いつもより1週間が短い。しかも、イベントが目白押し。こんな1週間は珍しいと思う。なんか、そわそわしている。

 今日からまた寒くなるという。今年は春が遅いのだろうか?

 先週の月曜日に、手術後の検診結果を聞きに行き、ほぼ安心していい状況になった。2月24日に尿管に入っていたステントを抜いたが、その後のクレアチンなどの数値は、ほぼ正常値を保っていた。超音波エコーで見ると、左の腎臓は右の半分ぐらいの大きさだが、尿が通るようになったので問題はないという。元には戻らないが、機能はこれ以上衰えないという。

 というわけで、もうステント交換の必要も、クスリも飲む必要もなくなった。ただ、お腹の真ん中に、縦に長く手術の傷跡が残った。

 

 さて、今週だが、まずすぐに、WBCの準決勝がやってくる。日本時間22日(水)朝10:00から、侍ジャパンはアメリカのメジャー軍団と戦う。残念だが、日本の投手陣は通用しないだろう。5、6点は覚悟しなければいけない。惨敗だけはしてほしくないというのが、正直なところだ。

 もし、勝てば、翌日23日(木)10:00から決勝戦がある。ところが、この時間は、森友学園・籠池元理事長の国会証人喚問があり、これと完全にバッティングする。この元理事長の“命乞い”答弁は、本当に見物だ。

 方針転換して、自分から話すのだから、保守人間たちの裏切り、インチキぶりによほど頭にきたのだろう。

 

 保守などと言っても、誰も国など愛していない。本当にこの国を愛しているのは、毎日、残業をやらされても、仕方ないと働いている人々たちだ。人の上に立つ人間ほど、国など愛さない。それはポーズだ。

 証人喚問以後の展開はまったく、読めない。本当なら、政権が吹っ飛ぶスキャンダルのはずなのに、まだ大手メディアは政権擁護に固執している。

 

 大相撲も、連日目が離せない。白鵬休場で、“出来レース”が噂される稀勢の里と高安の同部屋マッチレースの行方が気になる。それとも、本当にガチンコになったのか?

 密かに、ダメ大関と化した照ノ富士の復活があるように思っているが、どうだろうか。

 始まった選抜高校野球も目が離せない。私の地元・神奈川代表は出場していないが、やはり、清宮選手がいる早稲田実業の試合は見たい。相手は明徳義塾で、なんと、WBCの決勝、証人喚問と同じ23日の午前中に開始される。第2試合、午前11時半開始だ。

 まだある。サッカーW杯、最終予選のUAE戦がこの日の夜にある。と言っても日付が変わった3月24(金)午前0時半からだ。前回負けているだけに、もしここで負ければほぼ終わりだろう。面白味ゼロのハリル・ホジッチ監督のせいか、応援には身が入らないが、勝ってほしい。

 

 そして、ここからは私の仕事も含めて、大いに気になることだが、まずは、毎週、毎週、本当に楽しませてくれるトランプ政権が、今週はなにをやってくるかだ。“オレさま大統領”は健在で、少しもまともにならない。

 ドイルのメルケル首相も呆れ返ったぐらいだ。本当に、どうするのだろう。

  また、FRB利上げ後の円ドルの動向もきになる。利上げしたのに円高に振れるのがよくわからない。この後、年内にあと2回値上げがあると、イエレン議長は示唆しているが、そうなると、日本はこのまま異次元緩和・ゼロ金利を続けられるのだろうか? すでにアベノミクスは失敗に終わっている。

 そして北朝鮮も不気味だ。髪型を変えない、馬鹿お坊っちゃまクンは、“火遊び”を止めない。ロケットエンジンの地上燃焼実験を成功させたと息巻いているから、またミサイル発射をやる可能性がある。

 

 このような1週間の後、また、土日となるが、25日の土曜は、ドバイワールドカップがある。2011年の大震災の直後、ここをヴィクトワールピサが勝ったことが忘れられない。あのとき、ああ、日本は大丈夫なんだと、涙が出た。

 それからもう6年もたった。

 昨年11月末に手術してから、リハビリでずっと家にいた。そうしたら、すっかり出不精になって、家で原稿を書きながらテレビばかり見ている日々が続いている。

 
[273]世界はどこへ?トランプの“オレさま暴走”を止めるのはマーサー父娘か?
2017年 3月 05日(日曜日) 16:22

最近のトランプの言動を見ていて、本当に不思議なのは、なぜこの人は大金持ちなのにこんな考え方をするのだろうか? ということ。

 どう考えても、彼がいまだに「白人下流層」にうけようとする理由が見当たらない。もう1度製造業を復活させ、雇用を増やし、彼らにブルーカラーとして働いてもらって、なにがアメリカのためになるのか? アメリカの街がフォードやGMのクルマだらけになればいいのか?メキシカンや黒人がいなくなれば、アメリカは復活するのか? あまりに愚かすぎて、聞いているだけ嫌になる。

 

 トランプはもう十分満足したはずである。なにしろ、アメリカ大統領にまでなったのだ。これ以上、「オレさまはすごい。このオレさまを、みんな愛してくれよ!」を続けてなんになるというのか?

 もういい加減、まじめに世界のことでも考えればいいと思うが、そんなことはおかまいなしだ。練習をして臨んだ議会演説ではまともだったが、ツイッターになるとバカ丸出しだ。

「シュワルツェネッガーは自主的に番組を降板したんじゃない。彼はひどい(哀れむべき)視聴率のせいでクビになった。私のせいではない。偉大な番組の、悲しい結末だ」

「神聖な選挙戦の最中に私を盗聴するとは、オバマ氏も落ちたものだ。なんて悪いやつだ」

 こんなことを言いまくって、いったいなんになるのか。

 

 トランプの政策は支離滅裂だが、本当に実行されるかもしれない。大減税(金持ち優遇)、莫大な公共投資(バラ巻き)、ドットフランク法骨抜き(金融バブル再現)、オバマケアの全面破棄(貧乏人は救わない)、国防予算増額、軍の増強、核戦力の強化(世界最強の米軍をつくり、悪いやつらはぶっ潰す)、パリ条約からの離脱(地球温暖化なんか知ったことではない)、国境の壁建設(ともかくメキシカンは来るな)、移民、難民、イスラム排斥(白人がいちばん偉いんだ)-----。

 この全部が行われたら、アメリカは壊れるかもしれない。いや、世界も壊れてしまうだろう。

 しかし、ウォール街はどうでもなれと、トランプ・バブルに乗っている。ダウは上がり続けている。

 

 トランプの言っていることは、どこから見ても共和党の保守主義とは違う。「小さな政府」を標榜する新自由主義とは正反対だ。ケインズ主義の「大きな政府」だ。しかも、自国民に対して徹底して「ナショナリズム」を煽り、国境を閉じ、自国産業を優先するのだから、「反グローバリズム」である。また、白人低所得層の味方を演じ、エスタブリッシュメントは打倒するというのだから、労働者革命、共産主義革命に近い。

 いまや世界はリアル世界ばかりではない。ネットで世界中が瞬時に結ばれるヴァーチャル世界もある。しかも、これから人類は、ロボットやAI(人口頭脳)と共生していかねばならない。シンギュラリティもやってくる。

 

 トランプ政権の黒幕は「オルト右翼」のスティーブン・バノン(首席戦略補佐官)と言われているが、本当はヘッジファンドの「ルネッサンス・テクノロジーズ」のCEOロバート・マーサーと、彼の娘のレベッカだ。このマーサー父娘は、バノンのほかにケリーアン・コンウェイ(上級顧問)ほか、多くの息のかかったスタッフを送り込んでいる。

 ただ、この父娘はバノンほどの過激思想の持ち主ではないし、トランプほどのバカではない。ルネッサンス・テクノロジーズの取引は、いまやAI(人口頭脳)がやっている。

 いずれ、トランプを見限るなら、できる限り早くやってほしい。

 

 
[272]甘すぎる日本のメディアの分析。日米首脳会談への大いなる危惧
2017年 2月 05日(日曜日) 23:33

今週は、日米首脳会談が行われるが、日本のメディアの報道を見ていると、なにかうまくいきそうな雰囲気になっている。安倍首相はトランプに気にいられている。トランプは、これまでのような理不尽な要求はして来ないだろうというのが、大方の見方になっている。

 しかし、本当だろうか? 単なる「希望的観測」ではないのか。

 

 こんな希望的観測が出たのは、昨日行われた稲田朋美防衛相とマティス米国防長官の会談が型通りの「顔見せ」で、日本側の期待通りだったからだろう。読売新聞は、次のように報じている。

 

《両氏は沖縄県・尖閣諸島について、米国の対日防衛義務を定めた安全保障条約第5条の適用対象だとする米国の立場を改めて確認。米国が日本に提供するいわゆる「核の傘」による「拡大抑止」の重要性についても認識の共有を図った。》

《在日米軍駐留経費の負担問題は議題にならなかったが、マティス氏は会談後の共同記者会見で「日米の経費分担は他国のモデルになる」と述べ、日本の負担は適切との認識を示した。》

 

 しかし、これはマティスがそう言っただけに過ぎない。トランプは違うはずだ。日本からもっとカネ(米軍の用心棒代)を取ると言ってきたことを、この“オレさま”大統領が変えるわけがない。これまで、選挙中に言ってきたことをほぼすべて実行しているのだから、「経費分担は他国のモデルになる」とマティスが言っただけでは安心できない。まちがいなく、トランプは日本にたかってくるはずだ。

 

 実際、安全保障担当補佐官マイケル・フリンは、「日本にはNATO加盟国と同じ防衛費GDP2%を要求する」と言っていると聞く。トランプは、マティスよりフリンの言うことの方を聞くという。

 となれば、安倍首相が、手土産で年金資金(GPIF)の4500億ドル(約50兆ドル)を差し出し、「これで、どうかアメリカで雇用をつくってくだい」と言っても、効果なしだろう。

 

 さらに、最悪な情報が伝えられている。

 トランプはアジア情勢にまったく興味がなく、北朝鮮は潰そうと思っているが、なぜ日本を防衛しなければならないのかわかっていないという。これまでに、直接会談、電話会談などで、安倍首相が日米同盟の重要性について説明しても、ピンときてなかったという。

 そして、挙句の果てにこう言ったという。

「そんな南シナ海が大事なら、自分でやればどうか。日本は軍を出せばいいではないか」

 

 トランプにまともに付き合っていくと、日本は潰れる。「トランプ政権は対中強行路線を取ってくれるので、日本にとってはありがたい」などと寝言を言っていると、中国に本当にぶつけられ、ハシゴを外される可能性がある。

 中国と戦争するのはアメリカではなく日本だ。気が小さい“自己中男”のトランプがやるわけがない。

 
[271]歴史に名を残す「偉大なる大統領」となったトランプ
2017年 1月 31日(火曜日) 20:35

この記事は、「Yahoo個人」欄に書いた記事と同じものです。この2週間、トランプ大統領の動向を注視してきましたが、いい加減、飽きてきました。なぜなら、彼がやることはまったくぶれていないからです。メキシコ大嫌い。イスラムは害悪。白人以外は人間ではない---など、本当にわかりやすいことばかりです。では、以下、記事を再録しておきます。

 

【トランプはたった2週間で歴史に名を残す「偉大なる大統領」になった!】

 

 就任してまだ2週間。なんと、トランプが歴史に名を残す“偉大なる大統領”だということが、もう確定した。いまや、トンデモ大統領令の連発で、世界中が大混乱しているが、よくよく考えてみれば、これらはすべてわかっていたことだ。なぜなら、トランプは少しもブレていない。前から言っていたことを、忠実に、猛スピードでやっているにすぎないからだ。こんな大統領は、アメリカ史上初めてである。

 

 「難民の受け入れ凍結」と「イスラム圏7か国の出身者の入国禁止」を指示した大統領令に、いまさら驚くことなどない。むしろ、トランプが人種差別主義者、白人優位主義者ということを思えば、この程度なら「軽い」ほうである。

「なにをやってくるかわからない」と言っている評論家、メディアがあるが、そんなことはない。彼のやっていることは単純だ。これからも、選挙戦で言ってきたことをやるだけだ。

 

 この2週間ではっきりしたことが3つある。

(1)選挙戦で言ったことをそのままやること。大統領になったからといってなんら変わらない。公約は実行するのだ。この点で、公約をすぐ破る某国政治家は足元にも及ばない。本当に偉大な大統領だ。

(2)彼の頭の中には、自由、正義、民主主義、法の支配、人権、平等といった、アメリカの国家としての理念や普遍的価値観がまったくない。おそらく、アメリカ人なら必ず暗唱できる「The Pledge of Allegiance」(忠誠の誓い)を暗唱できないかもしれない。独立宣言になにが書いてあるのかも知らないだろう。とすれば、偉大すぎて言葉を失う。

(3)トランプは資本主義を知らない。だから、思ったまま言える。メキシコ国境の壁の建設費用をメキシコが払わないなら、メキシコ製品に関税20%を課して費用を捻出するという。となると、費用はアメリカ人が払うことになるが、この矛盾に気づかない。本当に偉大だ。

 

 しかし、こんなことが起こるとは、昨年の11月まで、夢にも思わなかった。それまでは、仕事とはいえ、世界情勢、経済情勢を真面目に分析していた。しかし、いまや、そんなことはする気も起こらない。

 民主主義が完全に機能すると、こういうことが起こるということなのだろう。トランプは、アメリカ人の「知性」を代表している。アメリカは低度情報化社会、集合愚の社会になった。見ていて、面白くてたまらない。アメコミより面白い。敬虔な英国教会司祭の娘である英メイ首相と会談後、「おて手」つないで歩いてしまうのだ。

 

 ところで、こうしたトランプによる混乱で、経済情勢も混乱するという見方が一般化している。お利口評論家は、口を揃えて「トランプ大統領は不確実要素」と言う。しかし、これは嘘である。トランプがこれまで言ってきたこと、たとえば大減税や大規模公共投資をやれば、不確定要素などない。

 短期的にアメリカ第一主義は大勝ちし、NY株価は上がり、ドルはますます強くなり、石油価格は下がるだろう。投資家に愛国心など必要ない。儲けさせてくれればいいのだ。

 この点でも、トランプは偉大なる大統領だ。 

 
[269]悲報2!トランプはやはりただの「オレさま」大統領に過ぎなかった!
2017年 1月 12日(木曜日) 13:58

大統領選後初めての記者会見というので、チャンネルをCNNにして、本当に驚いた。眠気が吹き飛んだ。まず、開始時間が遅れた。次に、会見というよりメディア攻撃、オレさま発言のオンパレードなのに驚いた。

 これがアメリカ大統領なのか?こんな大統領でアメリカ、いや世界は大丈夫なのだろうか? 本当に心配というか、やけくそな気持ちになってきた。

 これでは、真面目に政治、経済、世界情勢を語れない。大統領になれば少しは変わるかと思ったが、やはりトランプはトランプでしかなかった。

 

 前々から思ってきたが、トランプは「オレさま」大統領である。トランプは自分こそがイデオロギーだと思っている。つまり、オレさまは偉い。神がつくった最高の雇用の大統領になるということは、自分は神がつくった最高の人間だと言うことだ。

 ロシアのハッキングがあったことは認めたが、CNNとバズフィードが報道したロシアに弱みを握られていること(モスクワの夜の出来事:売春婦との行為)に関しては、当然だが認めず、キレまくった。

 ツイッターでも、情報機関が「フェイクニュース」として意図的にメディアに流したとし、「われわれはナチス・ドイツに住んでいるのか?」と言っていたが、CNNのジョン・アコスタ記者の質問は認めなかった。というより、指差して彼を指名しながら拒否して恥をかかせた。さらに、バズフィードを「ゴミの山」と呼んだ。信じがたいことだ。

 

 まあ、これがトランプだと言えば楽しめるが、これはドラマではない。エンタメでもない。人々の税金が注ぎ込まれ、紛争や戦争を引き起こしかねない政治闘争の現場だ。もういい加減、ラストベルトのトランプに投票した有権者たちも、トランプのペテン師ぶりに気がつくべきだろう。

 日本の識者、メディアのなかには、トランプが対中国で強硬路線なので歓迎する向きがあるが、トランプの頭のなかは、じつは中国も日本もいっしょだ。

 それは、ロシア、中国、日本、メキシコなどを同列に並べ、自らが大統領になれば、「(これらの国は)アメリカに対してはるかに敬意を払うようになる」と、オレさま自慢したことで明らかだ。トランプは、どの国だろうと自分の利益にならない国は相手にしないのだ。日本が忠実な下僕でない限り、守りもしないだろう。

 

 最悪なのは、利益相反に関して女性弁護士に15分も語らせたことだ。自分で言えばいいものを、大統領職はほかの政府高官とは違い、利益相反が適用される法律がないと強調したうえ、ビジネスは全部2人の息子に任せるとしたことだ。第三者による「ブラインド・トラスト」(白紙委任信託)ではなく、身内である。つまり、彼はここでも1度手に入れたものはオレのもの、「オレさま主義」のカタマリなのだった。

 

 この後は、いよいよ20日の大統領就任式である。ここで、歴代大統領たちは「私は合衆国大統領の職務を忠実に遂行し、全力を尽して合衆国憲法を維持、保護、擁護することを厳粛に誓う」と、神に誓ってきた。トランプもこれをやることになるが、このままではなにか白々しい。

 就任式で大逆転のサプライズが用意されているとは、とても思えない。

 

 アメリカ人は、子供のころから学校に行けば、毎朝、教室にある星条旗の前で、片手を胸に当て、アメリカという共和国に、「忠誠の誓約」(The Pledge of Allegiance)を唱える。これが日課だ。

 I pledge allegiance to the Flag of the United States of America, and to the Republic for which it stands : one Nation under God, indivisible, With Liberty and Justice for all.

(私は、わがアメリカ合衆国の国旗、すべての人々に自由と正義が存する、分かつことのできない、神の下での一つの国家である共和国に忠誠を誓う)

 この誓いの言葉を、トランプは本当に暗記しているのだろうか? 彼の頭のなかには、アメリカをアメリカたらしめている「自由」「平等」「人権」などはひとかけらもなく、「オレさま」しかないように思えて仕方がない。

 
[269]悲報!トランプの「オレさま政治」の悪夢が始まった!
2017年 1月 11日(水曜日) 02:06

やっぱりというか、案の定というか、トランプはとんでもない大統領になりそうだ。日本のメディアは、いまだに歓迎ムードの大甘報道を続けているが、その期待はいずれ裏切られるだろう。トランプは彼を支持したアメリカ国民にとっても、日本人にとっても「最悪」のアメリカ大統領だ。

 なぜ、そう思うのか? 以下、記録のために列記しておきたい。

 

■「オレさま主義」のナルシスト

 

 トランプには政治的な定見、主義というものがない。あるとしたら、それは自分がいちばん正しいという「オレさま主義」だ。彼がツイッターで呟くことは、自己中心話のオンパレード。しかも、ツイッターは担当の秘書にこう書けと指示してやっている。だから、夜中でも早朝でも平気で発信するという、迷惑極まりないことをやっている。

 トランプの当選が決まった後の2016年11月11日、MSNBCの「モーニングショー」で、マイケル・ムーアが言ったことは本当だ。ムーアは「トランプは任期4年をまっとうできない」と言い、その理由をこう説明した。

「これからそういうことが起きる。(私たちは)トランプの任期4年まるまる苦しむ必要がなくなる。奴は、ドナルド・J・トランプのイデオロギー以外なんのイデオロギーも持っていないからだ。あんなナルシストは、自分の天下になればますます自分に酔うだろう。奴は必ず、たぶん無意識に法を犯す。なにが自分にとって最善かということしか考えていないからだ」

 司会のミカ・ブルゼジンスキーが「トランプに災難が降りかかるよう願っているか」とたずねると、「奴こそが災難だ」とムーアは答えた。

 

■「なんでもディール」のバカ

 

 トランプは「自分は賢い。だからアドバイザーはいらない。自分のアドバイザーは自分自身だ」と公言してはばからない。しかも、彼が好きな言葉は「ディール」(取引)である。トランプにとって、いい取引ができるかどうかが人生のすべてなのである。

  彼の自伝的な本のタイトルは、なんと『The Art of Deal』である。彼はこれでずっと生きてきた。大統領になったのだから変わるかと思ったが、今日までまったく変わっていない。

 トランプは、「政治なんてビジネスのように運営できる」と思っている。そうでなければ、孫正義やジャック・マーと笑顔で会談し、トヨタを脅かしてみたりしない。

  ともかく、雇用さえつくれば「メイク・アメリカ・グレート・アゲン」ができると信じ込んでいる単純バカだ。メキシコでクルマをつくらず、アメリカでつくれば、クルマの値段は跳ね上がる。そうすると、彼を支持した白人ブルーカラーはクルマすら買えなくなる。そんなこともわからないということは、彼は勉強嫌いで、学習しないということだろう。

 

■支持者に対する裏切り

 

 トランプは、選挙戦中、ロシアによってリークされたヒラリー陣営のメールで、彼女がゴールドマンサックスで高額な講演料をもらっていたことを激しく批判した。

「ヒラリーはウォール街の手先だ」「ワシントンのエスタブリシュメントたちは金に汚い」などと言いまくった。その結果、「ヒラリーはジョージ・ソロスら国際ユダヤ資本の回し者だ」という見方が一般的になり、これがヒラリーにとって大きなダメージとなった。

 しかし、ヒラリーに対して言ったことは、そのままブーメランとなって、いまトランプに対して当てはまる。なぜなら、トランプ政権の閣僚には、金持ちエスタブリシュメントがずらりと並んだからだ。

 結局、彼は彼を支持した白人の下流の人々の暮らしなど、どうでもいいのだ。

 『アプレンティス』を見て溜飲を下げていた人々は、トランプがアメリカのCEOになれば、ワシントンのエスタブリッシュメントに「お前はクビだ」と言い渡してくれると思い込んでしまった。彼らは騙されたのだ。

 

■金持ちとウォール街の味方

 

 トランプ政権には、ウォール街出身者がずらりと並んだ。

 財務長官スティーブン・ムニューチンは、元ゴールドマンサックスのピカピカの金融マンで、なんと、ドット・フランク法の骨抜きを狙っている

 国家経済会議(NEC)委員長のゲーリー・コーンも、元ゴールドマンサックスのCEOで、ピカピカのウォール街リッチだ。さらに、ゴールドマンサックスで言うなら、首席戦略官兼上級顧問のオルタナ右翼の筆頭スティーブン・バノンも、元ゴールドマンサックスの社員である。

 トランプは、経済政策のアドバイス組織「戦略的政策フォーラム」を新設した。この議長を務めるのは、プライベートエクイティ投資会社ブラックストーン・グループのCEOスティーブ・シュワルツマン。彼もまた、ウォール街の大物だ。さらに、このフォーラムのメンバーには、JPモルガン・チェースのCEOジェイミー・ダイモン、GEの元社長のジャック・ウェルチなどの大富豪がズラリと並ぶ。

 トランプ政権は、まさに、お金持ちクラブであり、こうなるとトランプは完全なる「ウォール街の味方」と言うしかない。これでは、アメリカの1対99の格差はさらに広がるだろう。

 

■白人至上主義とイスラム嫌い

 

 やはり、トランプは自分と同じような「白人至上主義者」で「イスラム嫌い」人間が大好きだった。そういう人物を好んで、外交・国防政策の中枢に選んだ。

 その典型が、国防長官になるジェームス・マティス海兵隊大将だ。彼は元中央軍司令官で、あだ名は“狂犬マティス”“戦う修道士”。このようなあだ名がつくのは、ある意味で名将の証しだが、マティスがイスラム嫌いの戦争好きなのは間違いない。

 マティスは、かつてこう発言した。「あなたがアフガンに行くと、ベールを被らないからと5年間も女性たちを殴りつけてきた連中がいる。あなたは、かような連中が男らしさのかけらもないということを知る。こういう連中を撃つことは非常に楽しい。実際、戦いというやつは楽しい。こういう連中を撃つことは楽しい。正直、私は喧嘩好きである」

 国土安全保障長官になる元海兵隊大将のジョン・ケリーも、モスリムが嫌いだ。彼は息子をアフガンのタリバン掃討作戦で亡くしている。グアンタナモ基地の閉鎖に反対し、トランプの不法移民対策強化に賛成してきた。

 さらに、イスラム嫌いの強硬派と言えば、国家安全保障担当の大統領補佐官になったマイケル・フリン元国防情報局長官(元陸軍中将)だろう。彼のイスラム嫌いは、筋金入りだ。フリンは、イスラム教を「宗教を隠れ蓑にした政治的イデオロギー」だと断定し、「ナチズム、ファシズム、共産主義と同じだ」と敵視している。彼に言わせるとイスラム教は世界にとっての「癌」ということになる。

 トランプは、ISに関しては、「ロシアと協力して叩き潰す」と言い、イランに関しては、経済制裁の解除は間違いだったとして、「ミサイル開発や人権問題に関する新たな制裁を科す」と言ってきた。おそらく、これは実行されるだろう。つまり、トランプ政権は明らかに反イスラム、そして親イスラエルだから、もしかしたらアメリカが新十字軍となって、イスラムと戦う可能性は十分ある。

 そうなれば、日本はアメリカ側について参戦させられるだろう。

 

■「親ロシア」という白人連帯

 

 トランプが「反中国」で、対中強硬路線を取りそうなことは日本にとっては歓迎できる。しかし、プーチン好きで「親ロシア」なのはいただけない。ソ連崩壊後、トランプは何度もロシアに足を運び、モスクワにトランプ・インターナショナル・ホテルを建てようとしてきた。しかし、今日まで実現していない。だから彼は、ロシアに対して甘いのだ。

 トランプはなんとかロシアと「ディール」しようと、国務長官にレックス・ティラーソンを起用した。ティラーソンは、エクソン・モービルのCEOだが、プーチンがもっとも親しいアメリカ人である。しかも、ロシアから「友好勲章」を授与されている。ティラーソンは、ロシアの国営石油会社ロスネフチとべったりで、これまでクリミア併合による対ソ経済制裁の解除を主張してきている。

 おそらくトランプは、ロシア人を同じ白人であること、同じキリスト教徒であることで共感を持っている。だから、トランプはロシアと組んで、ともかくイスラムを叩きたいのかもしれない。

 しかし、このような考え方をされると、日本にとっては最悪だ。トランプもプーチンも白人至上主義だから、中国や韓国、そして日本などのイエローを、イスラムと同じように見下しているのは間違いないからだ。

 

■親日派なんてどこにいる?

 

 トランプ政権に何人か「親日派」がいるとして、日本のメディアは歓迎している。しかし、これはとんでもない思い違いだ。

 インディアナ州知事だったマイク・ペンス副大統領は、インディアナ州が日系企業誘致に熱心だったことで、「親日」とされるが、別に日本だけが好きなのではない。彼はリジジャスライトの法律家だけに、日系企業がアメリカでトラブルを起こせば、徹底して叩きに走るだろう。

 日本のメディアが「親日派」としてもっとも歓迎しているのが、商務長官になるウィルバー・ロス。投資ファンドの大物で、総資産は29億ドルという大金持ちだ。

 2000年に幸福銀行(当時)を買収したので「親日派」とされるが、投資家がどこかの国を贔屓にするなどということはありえない。

 彼は、元ロスチャイルド社に24年勤めた金ピカのユダヤ資本家であり、これまで破綻したアメリカの製造業を買い叩いて儲けてきた。いわば、白人ブルーカラーの敵であり、広く言えば日本の製造業の敵でもある。

 また、彼は日本なんかよりロシアのほうが好きだ。彼は、ロシアの3番手の石油ガス会社テューメン・オイル(TNK)の会長ヴィクトル・ヴェクセリベルクのビジネスパートナだからだ。

 キャロライン・ケネディ大使に代わって駐日大使になるウィリアム・ハガティは、コンサル会社から転じて投資金融会社を創立して成功した人物。ボストン・コンサルティング勤務時代の1980年代に東京に3年間駐在していたことから、親日派とされる。

 しかし、外資の東京駐在員が親日であることは、私の経験上あまりない。イルカと京都が大好きだったケネディ大使のほうがよっぽどマシだ。

 

■一般人(99%)には「悪夢」

 

 というわけで、トランプは「オレさまはすごい」を見せつけるためにバブルを起こす。実際、もう起こっている。だから、1%の人々にとっては大歓迎である。大減税と巨額の公共投資をやるのだから、NYダウは上がりドル高になるのは当然だ。日本もこの恩恵を受けて、日経平均は上がり、円安は進んだ。今後、円は確実に1ドル140〜150円になるだろう。

 しかし、こうしたことは、一般ピープル=99%の人々にとってほとんど関係のない話である。というか、むしろ「悪夢」だ。格差はあって当然だが、露骨な金持ち優遇政治は、アメリカにふさわしくない。民主政治はやはり大多数の幸福を追求すべきだ。

 歴代アメリカ大統領というのは、これまで曲がりなりにも「尊敬できる人物」が就いてきた。また、共和国アメリカの民主政体のトップとして、国民に対しての責任感があった。さらに、アメリカは世界覇権国だから、世界のリーダーたる自覚も持っていた。

 しかし、トランプにそんな面があるだろうか?

 「自由」「平等」「人権」など、アメリカが持つ基本的な理念など、トランプの頭の中にはひとかけらもないのではないか? この先、世界は「オレさま主義」のとんでもないナルシストによって振り回されるのは間違いなくなった。

 
[268]2016年を振り返る「10大ニュース」を見て思うこと
2016年 12月 30日(金曜日) 18:10

とうとう2016年も暮れようとしている。先ほど近所の書店に行き、ビジネス書や経済書を中心に新刊棚を眺めていた。やはりいちばん目についたのは「トランプ大統領」関連本。「トランプで世界はどう変わるのか?」というテーマの本が何冊も出ている。

 次に目についたのは、毎年恒例だが、「2017年、世界はこう変わる」といった経済の予測本。これらも何冊も出ている。

 で、結局、これらの本をまとめて考えてみると、「激変」「激動」という言葉(キーワード)に行き着く。つまり、毎年、世界は激変、激動し、来年もまた激変、激動の年になるというのだ。

 

「激変」「激動」というのは、本当に便利な言葉だ。そう言うことで、なにかあわただしく歴史が動き、そのなかで私たちが生きているということを感じさせる仕掛けになっている。

 編集者はとかく、本に大げさなタイトルをつけたがる。その結果、毎年、世界は激変、激動することになるが、はたして本当に激変、激動するだろうか? もちろん、「2017年、世界は別に変わらない」では、そんな本を買う人はいないだろう。

 というわけで、年の瀬なので、今年の大きなニュースを、記録のために、ここにまとめておきたい。以下は、もっとも一般的と思える読売新聞の「2016年日本の10大ニュース」の上位20位である。これは読者投票によるランキングだ。

http://www.yomiuri.co.jp/feature/top10news/20161223-OYT8T50000.html

1位 熊本地震、50人死亡、震度7を2回記録(4月)

2位 都知事に初の女性、小池百合子氏(7月)

3位 リオ五輪 史上最多のメダル42個(8月)

4位 天皇陛下が生前退位のご意向示唆(8月)

5位 オバマ米大統領が広島訪問(5月)

6位 大隅良典氏にノーベル生理学・医学賞賞(10月)

7位 北海道新幹線(新青森―新函館北斗)開業(3月)

8位 知的障害者施設で19人刺殺事件(7月)

9位 18歳から選挙権施行、実施(7月)

10位「ポケモンGO」日本で配信開始(7月)

〈11〉伊勢志摩サミット開催

〈12〉参院選で与党大勝、改憲派3分の2超

〈13〉長野でスキーバス転落、15人死亡

〈14〉元プロ野球選手・清原容疑者を逮捕

〈15〉日銀がマイナス金利導入決定

〈16〉113番新元素は「ニホニウム」

〈17〉台風10号、岩手・北海道で死者22人

〈18〉イチロー、日米通算最多安打

〈19〉博多駅前の市道が大規模陥没

〈20〉日本ハムが10年ぶり3度目の日本一

 

 ただ、以上は、すべて国内ニュースなので、海外ニュースも含めるとどうなるだろうか? 以下は、ネットの調査会社マクロミルが20歳~69歳の男女(マクロミル提携モニタ)2000サンプルから集計した「2016年重大ニュース」トップ10である。

https://www.macromill.com/honote/20161206/report.html

1位
アメリカ次期大統領にドナルド・トランプ(59.4%)

2位
地震の多発(熊本地震、鳥取地震、東北地方等)(53.4%)

3位
天皇陛下に生前退位 報道(42.9%)

4位
高齢者の運転事故多発(38.8%)

5位
イギリスが国民投票でEU離脱決定(34.0%)

6位
SMAP解散(33.4%)

7位
築地市場移転・豊洲新市場盛り土問題 (33.0%))

8位
小池百合子新東京都知事誕生(32.7%)

9位
韓国 朴槿恵大統領 不祥事報道(30.8%)

10位
オバマ大統領が広島訪問(30.5%)

 

 というわけで、今年も暮れていくが、この「10大ニュース」を見て、今年を象徴し、さらに私たちの未来にとって重要な二つのことが抜けていることに気がついた。

 

 一つは、伊勢志摩サミット後に、安倍首相が消費税率の10%への引き上げを延期すると表明したことだ。これは、非常に大きな出来事である。なぜなら、当初の予定どおりなら、年が明けた2017年4月から、消費税は10%になるはずだったからだ。

 つまり、もしこれがなかったら、いまごろから、先を見越して、大幅な景気後退に見舞われていたはずだ。トランプラリーなどと言って、今日の大納会の終値が1万9114円37銭となり、日経平均の終値が5年連続で前年末の終値を上回ったなどと言っていられない状況になっていたはずである。

 アベノミクスは大失敗している。しかし、それが一般に強く認識されないのは、消費増税先送りと政府の巧妙な世論操作のせいである。

 

 次は、今年が「AI元年」「IoT元年」であったということだ。今後の世の中の様々な出来事、とくに私たちの生活を変えていくあらゆるイノベーションは、「AI」「IoT」で起こっていくのは間違いない。それなのに、今年の10大ニュースの中に、これがない。AI(アルファ碁)が囲碁の名人を撃破したというニュースが、かろうじて30位ぐらいまで見るとランキングしている。

 いずれにせよ、メディアに言わせると、毎年、世界は激変、激動していくというのだから、落ち着いて生きていられない。
 
[267]カジノ法案、オスプレイ事故、あまりにひどい「偏向報道」
2016年 12月 15日(木曜日) 17:33

アメリカでもMSM(メインストリーム・メディア)の偏向報道に対する不信感が高まっているが、日本の場合は偏向報道に加えて、明らかな情報操作(スピン)が行われている。「カジノ法案」「オスプレイ事故」報道は、その典型だ。

 

■信じがたい新聞各紙の「カジノ反対」社説

 

 まず、「カジノ法案」の報道だが、新聞各紙がなぜみな反対して、いい子ぶっているのか本当にわからない。まるで、この法案が通れば、明日にもカジノができ、国民がギャンブル漬けになって、ひどい目にあうような印象操作が平然と行われている。以下は、主要3紙の社説のタイトル。

【読売】カジノ法案審議 人の不幸を踏み台にするのか

【朝日】カジノ法案 危うい賭博への暴走

【日経】拙速なカジノ解禁は問題多い

 このうちとくに、「朝日」はひどい。「刑法が禁じる賭博に、民間業者が営むカジノという新たな例外を認めようとする法案だ。国内外の反社会的勢力に利用されないか。治安が悪化しないか。国民の懸念は根強い。」

 新聞記者はけっこうギャンブル好きだ。競馬も麻雀もパチンコもやる。それなのに、よくもまあ、こんな社説が書けるものだと思う。

 

■ギャンブル依存症を言うならパチンコは?

 

 はっきり言って「カジノ法案」と言っても、本当は「IR法案」であり、さらにプロセス法案であって設置法ではない。つまり、この法案が通ったからといって、すぐにカジノができるわけでないし、1年後に設置法ができたとしても、本当にできるとしたら5、6年後だ。

 しかも、いまさら、海外のカジノビジネスが、マカオでもシンガポールでも売り上げを落としているカジノを日本につくるだろうか? 日本は、どこの町にもカジノ(パチンコというスロット)がある国だ。

 それはそうと、メディアが問題視しているのが、ギャンブル依存症だ。テレビのワイドショーはわざわざ韓国の江原(カンウォン)まで行って、「韓国ではカジノ解禁により依存症患者が増えて社会問題化しました」などと大嘘のレポートをしている。確かに、カジノ依存症患者は増えたが、それは韓国が2006年にパチンコを禁止したためだ。

 韓国のパチンコは「メダルチギ」(釘なしパチンコ)といって、最盛期には全国に2万店あり、依存症患者を大量生産していた。ところがワイドショーは、このことを一切無視して、「韓国のようになる」と言いたいのだろが、それを言うなら、日本でのパチンコを禁止するというのが正論だ。カジノではない。

 しかし、日本のテレビなどのメディアはパチンコ産業の広告漬けだから、カジノとパチンコを同一に論じられない。パチンコの存在を隠して、完全な情報操作を行っている。

 

■かつて推進派だったのに猛反対という茶番

 

 カジノ法案の成立を阻止するために、民進党は不信任案まで出した。この民進党を、批判しないのも、メディアとしてはおかしい。なぜなら、彼らは一時カジノ促進派だったからだ。

 

「なにが成長戦略だ。人の金、負けた金が利益になるようなカジノが本当にこの国の経済の柱になるのか」(蓮舫代表)「日本をギャンブル大国にでもしたいのか。カジノ法案を強行採決するのは、まさに数のおごりだ」(安住淳代表代行)などと、彼らはいまさら、なにを言っているのか? 民主党政権時、カジノ検討ワーキングチームが超党派で組織され、カジノ法案は正式承認されている。前原誠司氏などはカジノ推進議連の中心メンバーだった。

 

 ようするに、彼らは、カジノのことなど本気で考えたことはなく、出来ようと出来まいとどうでもいいのだ。ただ、反対すれば野党らしいと思っているだけだ。とくに、国民が依存症になるなどいうのは、国民の自由を無視し、愚民扱いしている点で、鼻持ちならない考え方だ。

 日本の問題点は、刑法で賭博を禁じているのに、事実上はギャンブル大国だということ。しかも、国が胴元だということ。さらに、パチンコのように賭博場が住民の生活圏の中に溶け込んでいることだ。

 

■カジノ法案の背景にある人間関係

 

 ところで、カジノ法案成立が急がれたことには「裏」があるという。陰謀説と言うほどではないが、確かに、いろいろなことがつながっている。

 そのラインを手短に書くと、

 

 ソフトバンクの孫正義社長→サンズ会長シェルドン・アデルソン氏→ドナルド・トランプ次期大統領→ネタニヤフ・イスラエル首相→安倍晋三首相

  となる。

 

 孫正義氏は12月6日にNYのトランプタワーを訪ね、トランプ次期大統領と会談した。これを仲介したのを彼は「共通の知人」と言ったが、それはおそらくアデルソン氏だ。アデルソン氏はトランプ氏の選挙の最大の資金提供者で、ネタニヤフ首相の親友だ。

 安倍首相は昨年1月イスラエルを訪問し、イスラエル主導の中東和平に賛同している。安倍首相は2014年10月に辞任したとはいえ、それまでカジノ議連の最高顧問を務めてきた。

 ソフトバンクは、1995年、店頭上場時にコムデックスを8.6億ドルで買収している。このコムデックスの持ち主がアデルソン氏だった。アデルソン氏はその資金を元手に、ラスベガスでサンズを会社ごと格安で買い、1999年にベネチアン・ホテルとして開業してカジノ業界に進出。その後、マカオ、シンガポールとカジノビジネスを拡大してきた。

 アデルソン氏は2014年3月に来日した際、「私は日本のカジノビジネスに100億ドルを用意している」と豪語していた。

 

■大口顧客も小口顧客も減っているという現実

 

 以上をつなげると、カジノが今後解禁され、日本でカジノができるとしたら、サンズになるだろうとする見方が鉄板となる。

 しかし、前記したように、もう世界のカジノビジネスは衰退している。すでに、フィリピンのマニラにも巨大カジノができて、チャイニーズのハイローラーはアジア各地に散ってしまった。しかも、習近平の贅沢禁止令で派手なマネロンもできなくなくなった。

 また、いまのカジノは、監視カメラ、IT機器が張り巡らされている。テーブルが「i-table」なら、カードによる自動決済ができる。もはや、マネロンができるような怪しいところではないのだ。

 では、小口の一般ギャンブラーはどうかといえば、こっちも、もうおカネを落とさない。いま、ラスベガスに行くと、1階のフロアにあるのは、スロットの1セントマシンばかりだ。昔は、スロットの25セントマシンがずらっと並んでいて、人がいっぱいだった。

 こんな状況で、本当に日本でカジノをつくる事業体があるだろうか? サンズを筆頭にMGMなどのラスベガス資本、メルコ・クラウンなどが本当にやってくるだろうか?

 

■日本的なカジノでなければ成功しない

 

 悪いが、カジノにハマる客は減っている。とくに、いまの若者は、スマホゲームばかりやっていて、カジノにはあまり興味がない。とすると、日本でも韓国と同じようにパチンコを禁止しないと、カジノはビジネスにならないだろう。

 また、カジノによって賭博を合法化するなら、賭け麻雀、賭け花札などもOKにしなければおかしい。そうして、そうした日本的ギャンブルを日本のカジノに取り入れれば、日本人を中心に集客は可能になるかもしれない。また、外国人客も、世界のほかのカジノと違うので、興味を示すかもしれない。

 いずれにせよ、カジノ法案の報道には、このような視点はゼロだ。大メディアはカッコだけつけて、あたかも自分たちの主張が正義のように報道している。

 まったくもって、見ていられない。

 

■本当に「沖縄県民の怒りは頂点」なのか?

 

 続いて、オスプレイ事故についてだが、これは「ヤフー個人」欄に先に書いたので、以下、それをほぼ再録する。

 まず、言いたいのは、今回のオスプレイの墜落は、単なる事故で、それ以上のものではないということ。ただ、死者がでなかった点、海上に墜落した点で「不幸中」の幸いだった。

 米軍機は最近では、9月に沖縄本島の沖合でAV8攻撃機ハリアーが墜落、12月初めに高知県・室戸岬沖約100キロの海上でFA18ホーネット戦闘攻撃機が墜落している。前者ではパイロットは助かり、後者では死亡しているが、この二つの事故に関しては、メディアはただ事実関係を報道しただけだった。

 ところが、今回は違う。オスプレイをまるで「悪魔のヘリコプター」扱いして、「それみたことか」式に報道した。この点を強調して、社説にまで仕立て上げた新聞もあった。つまり、メディアはこの事故を起こるべくして起こった事故だと言いたいのだ。そして「市街地に落ちていたらどうするんだ」とし、「沖縄県民の怒りは頂点」などと、続報を自ら膨らませていった。

 テレビは住民にインタビューし「怖いです。なんとかして欲しい」などいう声を垂れ流した。こんなふうに思っている住民など一部しかいないのに、あたかも沖縄住民はみなそう思っているように報道するのだから、偏向もはなはだしい。

 

■信じがたい副知事の「植民地」発言

 

 このような偏向報道があるから、沖縄県の安慶田光男副知事は“調子にのって”、ローレンス・ニコルソン中将(沖縄米軍のトップ)に直接抗議に出向き、その後、「謝罪はまったくなかった。本当に植民地意識丸出しだなと感じた」という恥知らずな会見をしてしまった。

 さらに、翁長雄志知事は、必要もないのに上京して、政府に抗議、普天間基地に配備されているオスプレイを撤去させると息巻いた。

 軍用機だろうと民間機だろうと、事故が起きたときは、まず乗員の安否の報道が優先だ。次に、事故原因だ。しかし今回、日本のメディアはそんなことは二の次で、恣意的な報道に終始した。

 

■ニコルソン中将の話を恣意的にしか伝えず

 

 米軍の発表によると、事故を起こしたオスプレイは、空中給油の訓練中に、燃料を送るホースが切れて羽根に当たったために、飛行に障害をきたした。そのため、パイロットは住宅地の上空を通って嘉手納基地や普天間飛行場に戻るルートを避け、キャンプシュワブのある名護市に向かったという。

 したがって、メディアはニコルソン中将のインタビューをもっと詳しく伝えるべきだろう。しかも、オスプレイは日本防衛のための訓練を行っていたのだ。

 ところが、メディアは「住民に被害を与えなかった。感謝されるべきだ」「(事故を)政治問題にするのか」というところばかり切り取って、ニコルソン中将の発言を伝えた。

 ニコルソン中将はこのように言っていた。

「よく訓練されたパイロットたちの素晴らしい判断と技能で最悪の事態を避けることができました」「沖縄の一般市民をいっさい危険にさらさないですみました」「若いパイロットたちは入院中です。私は彼らを誇りに思っています」「事故自体そのものは遺憾に思うし謝意を表明します」「航空自衛隊、海上保安庁をはじめ日本や沖縄の関係各所の迅速な対応にも感謝します」「日本を守るために多くの兵士が訓練しています。任務の内容について謝ることはありません」(Yahooニュース、コメント欄から)

 正確には、このサイトですべてがわかる。

http://tkatsumi06j.tumblr.com/post/154513044606/動画付き会見書き起こし全文対訳

 「この事故については、当然ながら遺憾に感じております。しかし、わが若きパイロットが行った素晴らしい働きと、沖縄の人々に類が及ばないようにと行った判断については、遺憾に思っておりません。」「(パイロットは)両名とも到着時には意識があり、両名とも話すことができました。1名は明日、骨折を抱えながら〔肩を指しながら〕退院できると思いますが、もう1名のほうは若干深刻でもう少し入院を続けるでしょう。」

 この司令官は、軍人として立派である。

 

■オスプレイの事故はそれほど多くない

 

 このような偏向にさらに輪をかけているのが、日本のメディアがオスプレイの利点をまったく伝えないことだ。

 日本のメディアによると、オスプレイは事故多発の危険なヘリだという。しかし、本当にそうなら、自国の若者を死なせてしまうのだから、なぜアメリカ軍自体が使用を止めないのか?

 じつは、オスプレイの事故はそれほど多くない。産経新聞記事によると、海兵隊の平均事故率は2.45となっていて、オスプレイの事故率は1.93と平均を下回っているという(記事のこの部分ははなぜか削除された)。それとは別に、ヘリコプターというのは結構事故が多いが、どちらかというと軍用機より民間機のほうが多い。

 そもそもオスプレイは、通常飛行をするために開発されたものではなく、主に特殊作戦で使用するのを目的とするために開発された。そのため、夜間や低空など過酷な条件での飛行が多い。だから、訓練を徹底して行っている。今回も、そんななかで起きた。要するに、オスプレイは一般の飛行機のように、安全な条件下での飛行を目的としていない。

 

■入院しているパイロットを見舞いに行け

 

 この点で言うと、これまでオスプレイは大活躍してきた。たとえばフィリピンが巨大台風の災害を受けたとき、ネパールで大地震が起こったとき、オスプレイは被災現場に大量の物資を運んだ。つまり、日本のように台風や地震などの自然災害が多い国には、オスプレイは必要なヘリなのである。実際、熊本地震の際は、オスプレイが大活躍した。

 しかし、こうしたことを、日本のメディアはいっさい報道しない。

 翁長知事と安慶副知事は、行くべき場所を間違えている。まず行くべきなのは、オスプレイのパイロットたちが入院している病院である。そうして、彼らに、日本国民と沖縄県民の謝意を伝えるべきだろう。

 

 
[266]大相場になった為替と株。初雪。手術。ジャパンカップ。流行語。
2016年 12月 01日(木曜日) 20:21

昨日、東京女子医大を退院して家に戻った。入院したのは先週の23日。翌24日に開腹による尿管剥離手術を受けたので、ちょうど1週間入院していた。開腹手術なのでまだ傷口がかなり痛み、今日も、ほぼ1日横になっていた。そして、窓からぼんやりと冬景色を眺めていた。

 それにしても、月日はあっという間に過ぎていく。

 

 手術前日、たまたま日本に立ち寄ったH氏が訪ねてくれたので、1時間ほど、現在の為替、株などの相場についての見方を聞いた。

「為替はともかくドル買い。いま大相場に突入しています。125円までは大した抵抗がないから、すぐに行くでしょうね。その先、ドル/円の行き着くところは見当もつきません。80円から125円まで行ったので、今回は100円からですから145円までは行くのは確実でしょう」

 現在、H氏はドルを買い続けている。これは、トランプだろうとクリントンだろうと関係ない相場の流れの必然だという。ソロスに言わせれば「市場は常に間違っている」ので、H氏のような見方の方が理にかなっている。いまや円を買う人はいないだろう。H氏は「予想屋さんたちが言っているように失速して折り返すことなどありあえない」とし、「ユーロも0.8に向っていく」と断言した。ダウも日経もみな買いであるという。

 ただし、それがいつまでかは誰にもわからない。トランプ政権になり、アメリカは「グレートアゲイン」に突き進むが、それによって世界中が好景気になるということはありえないだろう。日本経済の衰退は今後もずっと続く。

 

 手術日の24日は、雪の朝だった。病室の窓から、新宿の高層ビル群が見えるが、舞う雪の向こうにビル群は霞んでいた。11月に東京都心で初雪が観測されたのは54年ぶりの出来事だと、テレビニュースは報じていた。

 そんななか、手術室に運ばれ、全身麻酔となったので、その後の記憶はない。気がつくと病室で、それ以来、ずっと痛みをこらえながらベッドの上にいた。ただし、「体を動かす方が回復が早いですよ」と言うので、痛みをこらえて起き上がり、ほんの少しでも歩くことを心がけた。

   

 というわけで、26日(日)のジャパンカップは、初めて病室のベッドの上でテレビ観戦となった。出走馬のなかで、もっとも希望を持てる名前の馬は?ということで、レインボーラインを買ってみたが、6着だった。

 それにしても、なんの盛り上がりもない史上最低のジャパンカップだった。超スローで誰も動かず、向う正面で、もうキタサンブラックの勝ちは確定した。

 今年の外国馬はたった3頭。それなのに、テレビのアナウンサーは「世界のホースマンが注目するレースです」などと、まったく現実を無視した実況をしていた。

 本当に昔が懐かしい。文字どおり、国際G1の時代があった。凱旋門賞馬トリプティクは早くから来日し、富士ステークスを勝ってJCで1番人気になった。記者会見に行くと、ビアンコーヌ調教師は「彼女は絶好調だ。勝つために日本に来た」と豪語した。しかし、ルグロリューの4着に敗けた。

 

 寝ているのでテレビばかり見ている。毎朝、必ず朝ドラの『べっぴんさん』と、その前の『ごちそうさん』を見る。『真田丸』と『昼オビ』も必ず見ている。また、FOXクラシックで『大草原の小さな家』を必ず見る。こうしたドラマを見ていると、時間の感覚がなくなる。自分が生きているこの時代とすべての時代がつながっていて、人は時間を超えて生きているのではないかと思う。

 

 12月になったので、今年を振り返る気分が強くなった。テレビも年末になったせいか、今年を回顧するような番組が始まっている。先ほどは、ニュースで、年末恒例の「2016ユーキャン新語・流行語大賞」の年間大賞とトップ10が発表され、年間大賞は「神ってる」に決まったと言っていた。

 ちなみに、トップ10は「ゲス不倫」「聖地巡礼」「トランプ現象」「PPAP」「保育園落ちた日本死ね」「(僕の)アモーレ」「ポケモンGO」「マイナス金利」「盛り土」だ。この選考はなにか、非常に偏っているような感じがする。

 それにしても、月日は夢のように過ぎていく。

 
[265]トランプのアメリカを受け入れられる不思議。本当に日本人なのか?
2016年 11月 11日(金曜日) 11:11

トランプショックから抜けきれない。CNNをつけ、NYの反トランプデモを見ていた。ユニオンスケアから57丁目のトランプタワーまで行進する若者たちの心情が痛いほどわかる。トランプタワーの前に横付けされたトラックが、分断されたアメリカを象徴している。アメリカは変わってしまった。自由と平等、そして世界に開かれた国ではなくなってしまった。

 

 トランプ当選は、やはり「悪夢」である。とてつもない喪失感がある。ヒラリーかトランプかという予想を外したからではない。トランプの当選がないとしたことは、職業的に不明を恥じるしかないが、一人の日本人に帰ればトランプ当選は受け入れがたいことだ。

 

 トランプ当選を当てた評論家が、いま持ち上げられているが、それはそれでいいと思う。職業的にいい仕事をしたことに間違いないし、見事だからだ。ただし、この人たちが心情的にトランプを応援していたとすれば、その心情は理解できない。なぜなら、トランプは、白人の貧困層や転落中間層の心情を吸い上げて当選したからだ。

 つまり、「俺たちが不幸になったのは、移民のせいだ。彼らを排斥しろ」という訴えの根底には、人種差別がある。

 

 差別されているのは、黒人、メキシカンなどのヒスパニック、エイジアンなどである。つまり、私たち日本人は、トランプによって憎悪を植えつけられた白人に差別される側に位置する。「出ていけ!」と言われているのも同然だ。

 

「隠れトランプがいっぱいいた。裕福な白人も本音を言うとトランプ支持だった」と解説している人がいたが、それが本当だとしても、この現実は日本人としては悲しいことだ。そんなことを得意がって“アメリカ通”として話すのは、自分が白人の側だと勘違いしているとしか思えない。本当に日本人なのだろうか?

 

 自由と平等、そして開かれた国の恩恵を受け、子供をインターナショナルスクールからアメリカの大学に留学させた親としては、トランプのアメリカは、国家理念を捨てかねない危険な国になったとしか思えない。その意味で、トランプのこれまでの数々の暴言が、単なる演出にすぎなかったことを願っている。ただ、テレビ討論や演説を見たかぎりでは、彼の本音としか思えなかったが-----。

 

 私たち日本人は、トランプに投票したアメリカの下層白人より下に位置する。まして、東部のエスターブリッシュメントから見れば極東の単なるイエローにすぎない。レイプ魔と言われたメキシカン以下かもしれない。

 日本人でトランプを心情的に受け入れられるのは、中西部に行って白人から「このジャップが!」などと言われたことがない人か、それともこの国で自分が日本人であるという自覚なしに育った人だけだろう。

 NYの反トランプデモのなかにはNYUの学生がいっぱいいた。彼らがなぜデモをしたのか? 改めて考えてみてほしい。

 
[264]トランプ大統領誕生に愕然! 不明を恥じるとともに、本当にこれで大丈夫なのかアメリカ!
2016年 11月 09日(水曜日) 18:57

まさかまさかのトランプ大統領の誕生に、びっくりを通り越してしまった。驚愕だ。速報を見るたびにそんなバカなと思っていたが、ペンシルベニアをトランプが取ったことですべてが終わった。

 ずっとCNNを見ていたが、報道する側全員がトランプリードに驚きつつ戸惑っている様子に、見ているこちらの方が情けなくなってしまった。

 このブログでも、メルマガでも、ほかのコラム記事でも、私は「トランプが勝つわけがない」として、最近、何本か記事を書いてきた。当初はトランプが勝つ方が面白いと思っていたが、あるときから、彼のあまりのバカさ加減に腹が立って態度を変えた。

 いまさら悔やんでも仕方がないが、予測が外れたことは事実だ。自分の不明を恥じるしかない。

 

 しかし、なぜこんなことになったのだろうか?

 隠れトランプ支持者が予想外に多かったということか? ヒラリーがとことん嫌われたということなのか? 白人の貧困層、中間層の不満が予想以上に大きかったということなのか?

 これらのどれもその通りだと思うが、確実に言えることは、トランプが大統領にふさわしいと思って投票した人は少ないということだろう。多くの人がなんらかのチェンジを起こせるなら、ヒラリーよりトランプのほうだと投票したにすぎないということだろう。

 

 とすれば、これは本当にまずい。どうしようもなくまずい。トランプに投票した人々は、トランプがなにか自分たちにしてくれると思っているようだが、70歳の頑固で頭が固い暴言オヤジが、庶民のためになにかをするはずがない。

 ウケ狙いの減税ぐらいはするだろうが、バラまきに走れば、結局は庶民にツケが回る「Make America Great Again」は空手形で、嘘だ。

 

 ヒラリーの出身校、ウェズリーの女学生たちが、ヒラリーの敗戦を聞いて泣き崩れ、「信じられない」「これから先よくないことが起こるのか不安」と言う様子が、テレビに映っていた。まさにその通り。なにが起こるかわからない。

 こんなおバカな大統領がホワイトハウスに入ると思うと、アメリカは大丈夫なのかと思う。もっとおバカなメラニアが彼と一緒にホワイトハウスに入り、ファーストレディになるのだから、民主政治は本当に素晴らしい。

 彼のために、血を流してもいいというアメリカ軍人、若者たちがはたしているのか? 共和党の主流派はどうするのか? いずれも未知数だ。

 政策バカだから、結局は政策を専門家に丸投げするかもしれないと言っても、大統領は大統領である。その発言は重い。

 

 トランプ大統領の誕生で、アメリカという国に対する信頼は失われた。ロシアも中国も、彼をバカにしてかかるだろう。とくにロシアのプーチン大統領はニンマリだろう。私も、アメリカ観が大きく変わった。もはやアメリカに対して憧れる気持ちはなくなった。

 アメリカの若者たちも同じだろう。勉学に励み、いい大学に行き、そして社会に出てなんらかの貢献をすることで、喜びと金、名誉を得る。努力すれば、夢は必ず叶う。そうした「アメリカン・ドリーム」は、トランプによってとことん破壊されるだろう。

 トランプ当選で、ニューヨークはお通夜状態になった。エンパイアスエテートビルには、ライトアップで選挙速報が映し出されていたが、もう消えた。その写真を載せて、アメリカン・ドリームの終焉の記念としたい。 今夜は早く寝るしかない。

  

 選挙速報でライトアップされたエンパイアステートビル

 
[263]トランプ惨敗で「ナスティウーマン」が大統領に。日本は徹底した属国路線を!
2016年 11月 02日(水曜日) 10:20

「ワシントンポスト」紙とABCテレビの世論調査で、トランプの支持率がヒラリーを1ポイントリードしたと、メディアが騒いでいる。しかし、トランプの惨敗は必至だ。「USA TODAY」の「ELECTIONS OUTLOOK」を見ると、ヒラリー263人、トランプ180人とダブルスコアになっている。Tossupは95人だから、これを全部落とせば、アメリカ大統領選挙史上、記録的な大敗を喫するだろう。

 スイングステート(激戦州)が勝負だなどと言われているが、選挙人が多いフロリダ、オハイオ、バージニアなどは、ことごとく落とすはずだ。とすると、取るのは10州ほど、選挙人は150人程度ではないだろうか?

 

 だいたい、世論調査(ポール)は信用できない。これは支持率であって、実際の投票行為にはあまり影響しない。ポールはあくまで誰を支持するかの回答で、その通りに投票に行くかどうかとは関係がない。そもそも有権者登録しなければ投票に行けない。また、有権者登録した人間のうちの10人に6人しか大統領選には投票しないというデータもある。 

 見ていると、もうトランプ自身も負けを確信しているようだ。10月21日のペンシルベニアでのキャンペーンでは、自分の当選を「世界にショックを与えるだろう。ブレグジット以上(の驚き)になるはずだ」とぶち上げた。要するに、ブレグジットのような逆転劇がなければ勝てないということだ。

 

 はっきり言って“毒舌大旋風”を巻き起こしたときは、トランプ大統領も「あるかもしれない」と思えた。しかし、1年間も同じ毒舌を繰り返していたら、誰だって飽きる。中身がないからだ。 

 当初、トランプは毒舌を計算してやっている。大統領候補の指名を得るための「戦術」で、ウケ狙いであんな発言を繰り返しているのではと思った。ところが違った。

 トランプは、単なる教養ゼロの差別丸出しの金持ち“クイーンズおやじ”に過ぎなかった。これでは、UペンのウォートンMBAが泣く。

 トランプ支持層のほとんどが低学歴、低所得の白人ブルーカラーであると、すでにはっきり分析されている。

 しかし、そういう層は選挙に行かない。トランプと同じクイーンズで育った白人ブルーカラーが、地下鉄Fラインでマンハッタンに行き、金ピカのトランプタワーを見てどう思うか考えてみればいい。

  

 信じがたいが、11月8日は火曜日だ。この火曜日投票は法律で決まっている。車も飛行機もない昔、投票に何日もかかったときにできた制度をそのまま使っている。火曜日なんかに投票に行ける、一般ピープルがどれほどいるだろうか? とくに、時給で働いている低所得者層は仕事があって行けっこない。

 2014年の中間選挙では、低所得者層の80%は投票しなかった。また、オバマ大統領が再選された2012年の大統領選挙でも、実際に投票した有権者の割合は、年収2万ドル以下が48%、7万5000ドル以上が78%となっている。

 

 では、最初に述べた「USA TODAY」の「ELECTIONS OUTLOOK」に戻るが、ヒラリーの263人は、過去6回の大統領選ですべて民主党が勝った19州に基づいている。この19州の選挙人を全部足すと242人になる。過去6回、共和党が全部勝ったのは13州で選挙人は102人。この時点でダブルスコア以上である。

  というわけで、今回、結果がこの通りに出れば、スイングステートのほぼすべてでトランプは勝たなければならない。不可能だろう。 

 激戦州はメディアによると、13州ある。このうちネバダ、ジョージア、アリゾナなどは、所得の増加が全米平均を下回っているのでトランプは有利だという。しかし、選挙人数は少ない。

  

 こうして、中間層も低所得者層も本当は支持していない「ナスティウーマン」が、アメリカ初の女性大統領になる。しかし、このヒラリーは日本にとっては、かなり手強い。夫のクリントン時代、どれだけ日本企業が痛めつけられたか思い出して欲しい。

 ただ、対中強硬派で、習近平が唱えた「G2」論を一蹴している点は、日本にとっては希望だ。とはいえ、アメリカ第一主義、エリート主義、white supremacyの塊だから、日本は徹底して属国路線でついていくしかない。

 と思うと、安倍首相は来年早々に渡米して、ヒラリー大統領に恭順の意を示すほかないだろう。

 
[262]トランプタワー前で「民主党に投票を」プラカードが!
2016年 10月 19日(水曜日) 20:39

 昨日、今日の暑さは異常だ。昨日は華氏82度(摂氏26度)、今日は85度(摂氏28度)で、これは10月として記録的な暑さだという。やはり、地球温暖化は本当なのだろうか?

 午後から5番街に出かけ、たまたまトランプタワーの前を通りかかったら、パンツ1枚だけの宣伝マン2人がギターを弾きながら、通行人に呼びかけていた。その後ろで、「TRUMP STUMPED」というプラカードを掲げる男、「VOTE DEMOCRATS」というプラカードを掲げる男もいた。トランプタワーの前で、「民主党に投票を」と言うのだから、どうしようもない。

 トランプは自滅してしまったので、大統領選は終わったも同然だ。テレビを見ていてもつまらない話ばかりが延々と続く。一般の関心も薄くなった。これほど盛り上がらない大統領選は、かつてなかっただろう。

  

 

  これから、ラスベガスで最後のテレビ・デベートがある。あと30分ほどで始まる。しかし、ここで逆転してもトランプの勝ち目はないだろう。選挙は八百長と、陰謀説まで持ち出したら、すべては終わりだ。

 ブックメーカー「Paddy Power」は、ヒラリーに賭けていた人間に早くも払い戻しを始めたという。もう賭けは成立しなくなってしまった。

 
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